Skip links

NEW!!【活動報告】第40 回「映画「太陽の蓋」上映とアフタートーク」「講師:黒岩たかひろ」講演編レポートを公開!

第40回は、2026年5月10日、新潟県新発田市で開催されました。
2011年の福島第一原発の事故を描いた映画『太陽の蓋』を上映し、この映画のプロデューサーで武蔵野政治塾事務局長・橘民義と、前衆議院議員・黒岩たかひろさんとのアフータトークでした。

【上映会の冒頭、黒岩さんから、この映画で「菅直人首相」を演じた俳優・三田村邦彦さんが新発田市出身であること、三田村さんから、この上映会開催にあたってのメッセージを預かったことが紹介され、そのメッセージが朗読されました。】
「こんにちは。新潟県の観光特使、新発田市の観光大使、そして新発田市出身の三田村邦彦です。
本日お伺いできればよかったのですが、私は昨日に新橋演舞場で幕が開いた、『明日の幸福』に出演しております。
最初にお断りしておきますが、私は支持政党はありません。常に中立、あるいは政党は関係なく、個人の考えを尊重する人間です。この『太陽の蓋』に出演するにあたり、菅元総理とお会いをし、当時の話をお聞きしました。あの時なぜヘリで現地へ向かわれたのか? それは東電から何が起こっているのか、何も官邸に上がってこなかった。だから自分で確認に行くしかなかった。とにかく何が起きているのかもわからない。
そして私が驚いたのは、福島原発の場所ですが、当時からあの場所では津波の危険性があるので、もっと高台に作るべきだとの意見もあったが、予算の都合であそこになった。想定外ではないのです、ともおっしゃっていた。
この『太陽の蓋』は国内で初めての大きな原発事故、その時の危機管理のなさ、国の混乱の姿が嘘偽りなく描かれております。近い将来に必ず起こるであろう、富士山の噴火、それに南海トラフ地震。本作が危機管理の大切さを見つめ直す一因となり、その意識向上に寄与することを願っております。
本日はお忙しいなか、お越しいただき、まことにありがとうございます。
三田村邦彦」

アフタートークの進行役は、新潟県議会議員の小林誠さんです。

【まず、黒岩たかひろさんからの、映画『太陽の蓋』を見ての感想や、3.11のとき、政府の一員として何をして、何を考えたかのお話です。】
■映画『太陽の蓋』から見えたものは何か
私、この映画、初めて見たんです。面白かったです。何かの答えを示しているわけじゃないし、答えがあるのかどうかも分かりませんが、これから皆さん一人ひとりがいろんなことを考えるための問題提起をされた映画なのかなと思います。
今日はプロデューサーの橘民義さんに来ていただきました。この映画は、総理、官房長官、官房副長官の福山さんを含めて、しっかり本人に取材してますので、非常にリアルにできたものだと思っています。
ただ、もちろん、色んな見方があるから、事実は複数あると思います。真実は何かというのは最後まで分からないかもしれませんが、いろんなことが見えました。
たとえば、東日電力ですね。【注・映画のなかでは東京電力ではなく、「東日電力」になっている】現場の人は、すごかったですね。本当にまさに命がけでした。だだ本店の幹部の人たちはいかがなものか。新潟県の柏崎刈羽原発は、東日電力じゃなくてよかったですね。【注・東京電力です】つくづく、東日電力じゃなくてよかったと思います。
また、後半、最終盤の雨のシーンで、横山さんというかなりベテランの元記者のライターさんが、「人間ってのは忘れるもんだ」とさらっと言いました。私も思い出しました。「ベント」なんて、あのとき初めて聞いて何のことだかさっぱり分からなかった。「計画停電」もありました。映画には出てこなかったかもしれませんが、「帰宅難民」もありました。いまは「帰宅困難者」と言いました。そういう、当時のことをリアルに思い出しました。そして、15年たつと、忘れるんだなあ、どうしても風化されるんたなあと思います。

■3.11のとき、法務省の大臣政務官として何をしていたか
私は当時、菅直人内閣の末席の一員、法務省の大臣政務官でした。3月11日の14時45分、何をしていたかといいますと、金曜日でしたから地元の新潟に戻るため、公務を終えて法務省からクルマに乗って、東京駅に向っていました。するとその手前で、なんかグニャっとしました。パンクかなと思いました。クルマが歪むんです。見ると、周りのビルが揺れていて倒れそうだった。なかから、ダーと千人規模で人が逃げてきました。ビルが倒れそうで、下敷きになるんじゃないかって逃げていました。どこで地震が起きたかは分かりませんでした。東京でも震度6ぐらいでしたから。
私は急いで新潟へ帰ろうと思った。あとで考えれば、新幹線が動くわけないんですね。そのうちに東北で地震だと分かり、震源地から遠い東京でもこれだけ揺れが大きいので、これは大変だなと思いました。東京駅に10分くらいいたんですが、秘書官とドライバーが、新潟へ帰れるわけないと分かっていたんでしよう、待っていてくれたので、クルマに乗って、7、8分で法務省に着きました。大臣、副大臣、政務官の部屋は19階にあるんですが、エレベーターが止まっています。とても19階まで上がれないので、1階のフロアに法務省の対策本部がもうできていました。本部長は江田五月法務大臣です。
本部にはいろいろな情報が入るんですが、かんじんかなめの被災地の情報は入ってこないんです。22年前の中越地震のときも、最初は十日町だとか長岡、小千谷のことは分かっても、山古志村のことが分かったのは2日後くらいでした。まったく情報が入って来ない。(3.11のときも)最初に分かったのは千葉県、茨城県での被害でした。
法務大臣の江田五月さんは文化系の人で裁判官でしたが、科学技術庁長官(細川内閣)もしたことがあったので、映画に出てきた東大の経済学部を出た人(原子力安全・保安院の院長。原子力の素人で何も分かっていなかった)よりも100倍、原発のことを知っていました。茨城県で被害が出たと報告があったとき、「黒岩君、何を心配する?」と訊かれました。私はいまいちピンとこなかった。1997年に事故を起こした茨城県東海村の動燃の原子力施設のことでした。江田さんは動燃があるとすぐに気づいたんですね。実際には東海村ではなく、福島原発がああいう状況になったわけです。
たしか4時半から5時ぐらいに、総理大臣官邸で初めての全大臣を集めた災害対策本部が開かれました。その頃は、仙台が全部、水に埋まっていることがNHKのニュースで出ていました。だけど、死亡者数は「1人死亡」でした。夕方5時で「2人死亡」です。遺体があがってこないからです。1時間くらいの会議で、夜の6時半か7時ぐらいに、江田さんが帰ってきて、「岩手県に打ち上げられた遺体の数が数千人だ」と言いました。私は100人、200人規模かと思っていたので、数千人と聞いた時、本当に背筋が寒くなりました。この国はどうなってしまうのか、と。

■母に「放射能、大丈夫か」と心配された
3.11から10日後くらいたって全貌が分かってきて、菅内閣は、福島県、宮城県、岩手県にひとりずつ副大臣や政務官を現地対策室長として派遣しました。私は岩手へ対策室長として派遣されました。そのことを母親に言うと、「放射能、大丈夫か?」と言われました。当時まだ子どもが生まれていなかったんです。映画でも、「現地には若い人ではなくオジサンが行くんだ」というシーンがありました。おふくろは、普段、ケガや病気のことなんか何も気にしないのに、「放射能は怖い、ましてまだ子どもが生まれていないときは怖い」と言いました。
空間として東京や新潟は福島から離れているので、安全な気でいましたが、空間が離れていても放射能の怖さは変わりません。そして15年経って時間が変わろうと、放射能の怖さは何も変わっていません。
ただあの時と違うのは、経験を積んだことです。もうひとつは技術力が進んだ。私はこのことに大いに期待をかけています。ただ、ここから100キロちょっとの柏崎刈羽に事故が起きたとき、我々はどういう対応ができるのか。県や国は守ってくれるのか。そんなことも考えなければいけない。
映画の最後に出てくる250キロ圏の地図(福島第一原発事故で「最悪のシナリオ」が現実のものになったときに、避難が必要となる範囲を示した地図)に、新潟県は全部、入っています。
たまたま4号機に水が入ってから助かったのかどうかは、私には分かりません。我々はたまさか生きながらえている命なのか。たまさかある日本という国なのか。そんなこともこれから考えなけはいけない。
世界で最大級の柏崎刈羽原発を持つ我々新潟県民としては、やっぱり真剣に考えなむけぱいけないことを、認識させられました。

【続いて、『太陽の蓋』プロデューサーで武蔵野政治塾事務局長・橘民義の講演です。】

■『太陽の蓋』は原発大国フランスで多くの人に見てもらった
『太陽の蓋』は、10年前に公開しまして、海外でもよく見てくださって、10か国にフィルムを持って行っています。特にフランスで人気があり、108の映画館で上映されました。3か月も上映してくれたところもあります。フランスで人気があるのは、日本と同じ原発大国だからです。原発がそこらじゅうにある。原発があればあるほど、原発について考えるようになり、こういう映画をみんなが見てくれるんです。
新潟県も、実は日本国内での原発大県ですね。だから今日は、非常に興味を持って見てくださったんじゃないかと思います。武蔵野政治塾は4年前に始めて、毎月1回くらいのペースでやってきています。『太陽の蓋』とはセットではないんですが、いろんな場面で政治の議論をする場面に私がこの映画を提供させていただいています。
今日の私の話は2です。ひとつは、とにかく原発ってひどいんだということです。皆さんが普通に理解しているよりも、もっともっとひどいんだ、絶対だめなんだということを理解していただきたい。
もうひとつは、じゃあ原発がなかったらどうやっていくのか。本当に日本の電気、エネルギーは大丈夫ですかということです。絶対に大丈夫です、ということを説明していきたい。

■3.11で日本が助かったのは、偶然の連続でしかない
さっき三田村邦彦さんのメッセージを聞かせてもらいましたが、よかったですね。映画を作ったとき、菅直人さんの役を誰も引き受けてくれなかったんです。色が付くとか言って、断られました。だけど三田村さんは大物ですね、「なんでそんなことが悪いんだ、私がやる」と受けてくれたんです。多分、8人目くらいでした。助かりましたよ。三田村さんには足を向けて寝られない。おかけで、菅直人がカッコいい男になった。菅さんも、カッコいい男だったんですよ、若い頃は。
さっきの黒岩さんの話にもありました、福島第一原発から半径250キロ圏内の地図を見てください。東京も新潟もいまは静かに暮らしていますけど、3.11の原発事故でひとつ間違っていたら半径250キロ圏内は人が住めなくなっていたんです。新潟もですが、東京もです。東京が入っているということは日本が成り立たなくなるってことです。東京の人が全部どこかに避難するなんて、ありえないでしょう。新潟だって全員が避難するなんてありえないでしょう。そこまでぎりぎりまで行っていたんです
この地図は私が作ったのではなく、当時の菅直人首相が日本の原子力の一番偉い人、原子力委員会の近藤駿介さんに「この事故は最悪の場合どうなるんですか」と質問して、「最悪のシナリオ」として出てきたものです。
もうひとり、福島第一原発の吉田所長も、このままてくとどうなるか知っていました。東電という会社はひどいところですが、映画にもあったように、現場は必死でした。当たり前ですけどね。自分たちが事故を起こしたんだから。
では、なぜ東京や新潟の人は避難しないですんだのか。たしかに現場も頑張ったけど、いろんな偶然と奇跡が重なったからなんです。とにかく、「助かった」としか言いようがない。

■3.11の奇跡
その奇跡を少しだけ説明します。ひとつは、「2号機の奇跡」です。福島第一原発には1号機から6号機まであり、事故当日に運転していたのは、1、2、3号機でした。そのうち2号機がいちばん放射能を出したんです。
2号機はパンパンになって爆発寸前までいったんです。皆さんがニュース映像などで見た「原発の爆発」は、実は小さな爆発です(1号機、3号機、4号機)。建屋という原発を囲っている建物が爆発したんです。中の格納容器でも圧力容器は無事でしたが、建屋が爆発しただけで、あれだけ大きな事故になるんです。
2号機は、建屋ではなく、格納容器の原子炉が爆発するところでした。どうなったかというと、風船を思い浮かべてください。紙風船とゴム風船がありますね。ゴム風船が割れると、パーっと破裂して中のものも散ってしまいます。だけど、紙風船はピシッと破れるだけです。2号機は紙風船のようになったんです。
2号機は、ある意味で欠陥機でした。正常だったらゴム風船のように割れるべきなのに、紙風船のようにどこかに穴があいて、そのおかげで大爆発にはならなかった。でも、放射能はいちばんたくさん出しました。
もしゴム風船のように破裂して放射能が散らばっていたらどうなったか。もう人が近寄れません。誰も制御できなくなり、1から6号機まで全部が次から次に連鎖的に爆発してしまう。次は福島第2原発まで人が近寄れなくなる。そうなると、その全部から出てくる放射能は250キロ先まで行ってしまう。
それが「最悪のシナリオ」でした。

■4号機のプールに水があったのも奇跡
もうひとつが「4号機の奇跡」です。4号機は運転していなかった。なのに建屋が爆発したんです。それは3号機の水素がまわっていったからです。4号機は運転していないけど、使用済み燃料プールに1500本の燃料を保管していました。まだなまぬるい状態のもので、水で冷やしていた。ところが、燃料プールは容器に囲まれていないんです。そこの水がなくなりメルトダウンすると、やばい状況でした。
建屋が爆発したので、水がなくなっているんじゃないかと思われていた。ところが、隣のシェラウドというところから水が流れました。しかもそこには衝立になる大きな板があるはずなのに、爆発で板がずれて流れてしまったので、水が流れ込んだ。そういう奇跡があったんです。
隣のシェラウドという所には普通は水はないんです。それがなぜあったか。4号機は、たまたま2011年3月が、シェラウドの点検の時期だったので、点検のために水を入れていたんです。そのときに事故になった。もっと言えば、本来、3月11日までシェラウドの水は抜かなければならなかったのに、点検の工事が遅れて、水がまだあったんです。
そういう、いろんな偶然が重なって、4号機に水が入っていた。
ところが、4号機の水も、そのままだと蒸発して少なくなってしまう。どうやって水を入れるか。建屋が爆発したおかげで、屋根がなくなったので、「キリン」と呼ばれる重機で上から水を入れることができたんです。もっと大きな爆発だったら、何もかも吹っ飛んでいたけど、あの程度だったので、かえって助かった。もっと小さな爆発だったら、屋根が残って水が入れられなかったかもしれない。変な話ですが、爆発の程度がよかったんです。

■原発はひとつの事故で、国を滅ぼしかねない
もうひとつ、新潟とも関係がありますが、免震重要棟という、作業員のみなさんが一生懸命に作業していた場所があります。2007年の中越地震のときに、柏崎刈羽は3000カ所、痛めたんです。あのときは慌てて何もできなかった。というのは、いちばん大事な所に入るためのドアが開かなかった。そこで修復するときに、当時の泉田知事は、地震が来ても対応できるようにしようというので、免震重要棟を提案したんです。
同じ東電なので、福島にも免震重要棟を作った。それが数ヶ月の差でギリギリ3.11に間に合ったんです。この免震重要棟がなかったら、もっと大変なことになっていた。
いろんな偶然が重なって、いまも我々は東京にいるし、新潟にいるわけです。
原発の何が怖いかというと、ひとつの事故で日本中がダメになってしまうことです。国を滅ぼしてしまうような、とんでもない暴力装置なんです。危険な装置なんです。こんなものが、日本のそこらじゅうにあるなんて大間違いです。
去年、日本には伝わってこなかったけど、韓国では原発についてかなり議論がなされました。韓国の原発はかなり古く、稼働率もかなり高い。そこで韓国の人たちが集まって、もし燃料プールが爆発したらどうなるか議論した。すると偏西風によって放射能が日本に来てしまい、九州の半分くらいが住めなくなるというデータが出たんです。
九州でついでに言いますと、去年の夏に玄海原発にドローンが3機、飛んできました。これは九州電力も認めています。誰が飛ばしたのか、ドーロンの正体は分かりません。とこかの国が飛ばしたんでしょうか。
それを知った自衛隊の幹部は、「ちょっと原発を減らしてくれないと、もう守り切れないよ」と言ったんです。

■原発なしてでやっていけるのか
2つ目は、どうしたら原発なしでやっていけるか、です。
それは自然エネルギーでできるんです。「できない」という噂を、国や原発賛成派が流しています。太陽光は夜は発電できないとか、風が弱い日はどうするとか言っています。実際には、この10年間で、太陽光発電は12.5倍になっています。蓄電池は100倍になっています。
たしかに太陽光発電は、雨の日や夜は発電できません。だから稼働率は10%ぐらいだったわけです。365日✕24時間のうちの10%でした。だけど、そうやって発電した電気を、蓄電池で貯められるようになってきた。
バッテリーがすごいことになっています。皆さんが想像しているバッテリーとは全然違う。エネルギーを貯めて供給できる。そのことを各国でやっています。
さらにEV、電気自動車です。そんなのがあてになるかと思っているでしょうが、今後、電気自動車が各家庭のバッテリーになっていく。電気自動車が助けてくれるようになっていきます。
「電気が足りない」と言われていますが、それも嘘です。たとえば九州電力では、電気が多すぎる。原発を動かして、火力も動かしているから、太陽光で発電した電気が行く所がなくなっている。その結果、ある一日で太陽光の60%をカットしている。一年平均しても、5%ぐらいカットされてといる。日本中から、そのカットされた5%を集めれば、原発4基か5基ぐらいになります。
それでいて原発は動かしている。電気が足りないから原発を増やせと言っている。冗談じゃなですよ。みなさんもっと怒らなければいけない。

■AIで電力が不足すると言われるが
いま、いちばん言われているのは、「AIを使うからつくさん電気がいる」。それがどうしたって言うんです。それが原発を増やそうにいくのがおかしい。「原発を作れ」って言っていますが、10年以内にはできませんよ。AIでいま足りないとしても、10年先まで待っててくれませんから。
そもそもの論理が間違っている。「足りない」のも嘘だし、「原発を増やさなければいけない」という結論も大嘘なんです。
では、どうしたらいいのか。
太陽光発電はもっともっとできるけど、悪い業者が乱開発して自然を破壊している例ばかり出して、ダメだと宣伝していますが、こういうのに惑わされないでください。そういう悪い業者もいますが、そういうことをやらなければいいだけです。ちゃんとした所に適切に作ればいいわけです。
ドイツの例ですけれども、普通のアパート、マンションにパネルを買ってきて、プラグインできるんです。イケヤで売っていて職員が付けてくれる。小さいアパート、マンションでひとりか二人暮らしだと、6割か7割はこれでいけます。こういうことをしていけば、いいんです。
フィンランドにオンカロという使用済み核燃料の最終処分場があり、視察してくました。5年ぐらいかけて、4兆円かけています。10万年保存するらしいんですが、10万年先まで、誰が責任を持つんですかね。
究極は「ペロブスカイト太陽光電池」です。これは小さくて軽くて、曲げることができる太陽電池です。「学校の体育館に太陽光パネルを敷きましょう」となったら、「あんな重いものをたくさんつけたら危ない」となって、断ってきたけど、ペロブスカイト太陽光電池ができた。これは日本の積水化学の子会社が作っていて、特許もたくさん取っていてます。もちろん、世界中が狙っていますから、日本だけのものでありませんけれど、この材料は世界から調達したっていいんです。ヨウ素ですから日本で取れるものです。
ということで、こういうことをやっていけばいい。

■自然エネルギーへ向かおう
どっちを向いていくか、だけなんです。原発のほうに行きますか、自然エネルギーのほうに行きますか、というだけです。政府がみんなで自然エネルギーに行こうよと決めて、1年間でも続けたら、原発1基分はすぐに作れるという計算になります。
だけど日本の政府は、なぜか原発のほうへ行きたがる。むそこにはいろんな事情、暗い暗い、つまらない事情がありますが、それをいま話してもしょうがなないのでやめておきます。
営農型太陽光発電、ソーラーシェアリングというのがあります。これが極めてつけで、ぜひ新発田の皆さんにもやってほしい。農水省が推奨しているんです。経産省も推奨している格好だけど、足を引っ張っている。
農家の皆さんが農作物の上に太陽光パネルをはると、収入が2倍になります。だけど、投資しなければならない。後継ぎがいない農家の皆さんが投資するのはなかなか大変だと思いますが、。
農家の皆さんには、ぜひ考えていただきたい。収入は確実に2倍になります。投資して何年で元がとれるか。これは、そんなに難しい話ではないです。お金があまっていて、死ぬまでに使いたい人は、やってください。
最後に、この写真を見てください。月から地球を見た写真です。地球を見たことのある人、宇宙に行った人は、世界中で600人くらいしかいないんです。この人たちが共通して言うことは、「地球は青かった」「小さかった」です。そして、「きれいだった」。「国境がなかった」。いちばん面白いのは、「ものすごく弱くて、壊れそうだった」。言い当てていますね。
私たちの地球はもう本当に、壊れそうですね。自然災害、温暖化したり。
壊れるのを止める方法はひとつです。核兵器と原発をやめることです。これがある限り、必ず地球は壊れます。外から侵入されなくても、核兵器を間違って使ったら、瞬間に地球はなくなります。
乱暴な話もありましたが、私の話は以上です。

【続いて、黒岩さん、橘事務局長との対論です】

■新潟県民は原発をどう思っているのか
橘 黒岩さん、日本中にたくさん原発があるけれど、どの県にもあるわけではない。新潟県には柏崎刈羽という大きなものがあります。私は外部の人間なのでよく分からないんですが、黒岩さん、直感的に、新潟の人は原発をどう思っているんですか?
黒岩 新潟はタテに長いので、いろいろだと思います。簡単に言うと、柏崎刈羽原発は現地の人にとって悩ましいわけですよ。原発立地の経済支援もあるもんですから。柏崎で市長選とか市議選をやると、五分五分です。中間派と合わせて、3分の1ずつかな。でも新発田だと、原発による経済的利益がほぼゼロということで、正直、まあ怖いだけの存在ということで、なくてもいいなあっていうのが多数派でしょうね。多くの新潟県民もそれに近いと思います。
橘 毎回、知事選挙や地域の選挙では原発が大きなテーマになっていくんですか?
黒岩 8年前とかは再稼働が最大のテーマでしたけど、いまは再稼働してしまい、それを止める権限が知事ではないことから、テーマになっていまん。
もうちょっと遠目の目線の話として、さっきフィンランドのオンカロという世界で唯一の最終処分場のは話がありました。簡単に言うと埋めてしまう。控えめに言って、21世紀の人類は、まだ原子力を制御する能力はないんじゃないかなと思います。まして地震大国の日本で、各地にこれだけ原発がある、原発銀座と言われるのは無理がある。というのが大方の思いじゃないでしょうか。
さっき、電気が不足する話をされましたが、国って基本的に何かをやるとき、国民を脅しますからね。3.11の前も、「皆さん、原発が止まったら電気が足りなくてすぐに停電ですよ」「電気料金、跳ね上がりますよ」という感じでした。原発を止めたらどうなるかなんていう社会実験はできっこないですよね。でも不幸なことに、3.11のあと、11ヶ月間、原発は止まりました。電気料金、上がりましたか? 1円も上がりませんでした。大型停電はありましたか? 起きませんでした。社会実験になりました。
そもそも、LEDライトが登場してから、出力電力はそんなにかからないんです。そういった技術革新があるんだけど、とにかく国民を脅した。でも、3.11でその脅しが嘘だとバレた。こういう事実を我々は知らなければいけない。それを今日はつくづく思いました。

■世界の企業は再生可能エネルギーへ向っている
橘 「RE100」という、再生可能エネルギー100%にしなさいという運動があります。アメリカの各社はそれをどんどんやっている。日本もちゃんとした会社はやっているんですよ。そういう運動をちゃんと進めていけば、話は進んでいくんです。ちゃんとした企業は、もう原発はいらないよ、再生可能エネルギーでやっていきますということに賛同しています。
原発の時代じゃないと、みんな実は分かっている。こんな危なくて、ひとつ作るのに、お金がかかるものはもたない。昔は6000億円とか5000億円でしたが、フランスでこの前できたのは、4兆円かかったそうです。フラマンビルというところの原発なんかは、欧州改良型というんですが、17年かかった。17年、4兆円かかるようなものが、いまの時代に間に合うのか。アホらしくで話しにならない。だけど、そんなものを新設するって言っている。
ダメだと分かっているのに、原発に依存するのは、その業界としての利益を守りたい、立場を守りたいからだとしか言いようがないんですよね。そこに行き着く。
そのことを議論するつもりはないんだけど、原発を進めている人の中にも、分かっている人はたくさんいると思います。カッコ悪いのは、分からずにそういう人についていっている人です。
少し落ち着いて、原発を眺めてほしいかなといつも思っております。

■原発を国策にしたのは誰か
黒岩 いまから8年前の2018年、私は無所属でしたが、立憲民主党が原発ゼロ基本法を出し、すごく現実的だったので、賛成しました。電力会社の社員からすれば、原発が止まると経営が成り立たなくなり、社員は家族を養えなくなるという理屈です。国策でやってきたのに、そうなるのは可哀想ですよ。でもゼロ基本法では、電力の供給量を必ず確保する方策は再エネで、それができるまでは原発をすぐに止めるわけではない、電気事業者、たとえば東電に損失が出れば、全部、国が補填すると書いてありました。たがら賛成しました。
原発は70年来の国策です。従業員、一生懸命がんばっている人たちに、明日から路頭に迷いなさいと言えるものではありません。
みなさん、正力松太郎という人、知っていますか? 読売新聞の社長で巨人軍のオーナーだった人ですが、富山出身の衆議院議員だったこと、初代の科学技術庁長官だったことを知っている人はあまりいないでしょう。この人の盟友が中曽根康弘さんです。
正力松太郎さんの実質的な秘書が、渡邉恒雄さんで、正力さんはあるとき、自分も総理大臣になりたいと考えて、渡邉恒雄さんが中曽根さんといろいろと動く中で、原子力政策を進めようとした。だから、読売新聞は原子力賛成です。読売は世界で一番読まれている新聞です。新潟県は新潟日報が一番だからいいんですが、読売新聞を読んで、原発は必要だと思う人は原子力村の一員になりかけているんですよ。世論を操作しながら、原子力を長らえようとしている人たちがいる。
くどいけど、電力会社の従業員に迷惑をかける気はありません。原子力がなくても、再生エネルギーと蓄電池の技術が上がってきたので、このセットを東電とか東北電力にやってもらえばいいんですよ。そうしたら、皆さんに安定供給ができるということを建設的に提言していきます。我が家は子どものときから「原発反対」と貼ってある家でしたが、私は反対が嫌いだから、建設的な提言をしています。
今日の映画も、誘導したい人たちがいることを謎かけていましたが、皆さんも忘れないでいただきたい。

【会場の参加者との質疑応答です。】

■原発の「安全神話」をどう思うか
会場の方1
映画の中で保安院院長が「私は文系だから分かりません」というようなことを言っていました。いちばん安全に責任がある院長の発言でした。原発の「安全神話」は非常に問題があったのに、いままた、大丈夫だよと信じ込まれていくんじゃないかなと思い、そのへんが気になっているんですが、どう思いますか。

橘 たしかに、安全神話を作り出したんですよね。本当は安全じゃないんだけど、安全だと言っておかないと原発ができないから、安全神話にしたんです。福島で言えば、本当は安全じゃないんだから、低い所に作るんじゃなく、ディーゼル発電機はもっと上に置くとか、防潮堤を高くしておこうとか、そういうことをちゃんとしておこうという思いがあって、国民を騙したんならまだいいんですが、何もしてないわけです。
安全じゃないことを分かってないのか。とにかく、何もしないで「安全だ、安全だ、安全だ」と言っていて、結局、安全じゃなかったわけです。いまとなっては、どうですか。原発のないところ、見たこともないところの人に、「原発は安全だと思いますか?」と質問したら、「福島で事故はあったけど、うちには関係ないから」と、心のなかに「安全神話」が入っている人がたくさんいるんじゃないかと心配です。

■原発は長期的には地元にも経済的利益にならない
会場の方2
数日前の朝日新聞に、原発は地元の経済を必ずしも潤すものではないという記事があったんです。一時的には潤うかもしれないけれど、長期的に見れば、決して地元に経済的な利益をもたらすものできないとありました。地元が潤うという宣伝があります。新発田は原発から離れているのでそれをあまり感じないと黒岩さはお話しされていましたけど、柏崎の方は経済を第一に考えると思うので、必ずしも地元にとってもプラスばかりではないと、もっと大きく取り上げる必要があるのかなと思っています。

黒岩 参議院議員だったので柏崎にもよく行きました。結局、言葉は悪いんだけど、支援漬けになってくると、それに頼ろうという気持ちが強くて、自ら何かを起こしていくことが、議論としてすごく薄いと感じました。どうやって国から支援、助成金を持ってくるのかの話ばかりになる。
柏崎市も、箱物、施設も大きいのを建てたはいいけど、維持管理費でアップアップです。刈谷村も、いまはまだ財政はいいけれど、いずれ悪くなる。そうすると、市がこけて村をこけたら、住民がこけるみたいになる。そういう部分が見えたので、原発立地交付金というのも痛し痒しだというのが現実だと思います。

■自然エネルギーは全国どこでも可能
橘 福島は、昔のことを聞くと、産業がないので何かを誘致しなければならず、原発が来てくれたので仕事も増えたし、街も潤った。一時はみんな喜んだんですよね。そこには安全神話もありました。事故なんて起きないということで、ずっとやってきたわけです。ところが、事故が起き、十何万人も非難して、避難の途中にもたくさん亡くなった。いまも、ひとつの町に人が帰れないし、子どもたちは400人以上も甲状腺がんを切ったりしている。いいところには悪いところもあるというか、両方考えなければいけないんです。
自然エネルギーのいいところは、福島だけとか、新潟だけに押し付けないことです。太陽は日本中どこにも降り注いでいるから、自然エネルギーはどこでもやりたい人ができる。責任もみんながとれる。蓄電池があれば貯めておけるんです。さっき紹介した、営農型太陽光発電、ソーラシェアリングも日本中の農家がやろうと思えばできる。
自然エネルギーは地域性、分散性があるんです。原発は集中制です。ものすごいエネルギーがあって、その地域の人は潤うかもしれない、仕事が潤うかもしれないけど、だけど事故が起きるかもしれないという、賭けをしなければならない。自然エネルギーは、どこかに押し付けることはないんです。
自然エネルギーは経済的にもけっして小さくないんです。いま、世界全体で自然エネルギーをやると、8000万人ぐらいの雇用を生むといわれています。日本の人口1億2000万人ですが、概算で世界で8000万人ぐらいの雇用ができる。投資も毎年何兆円もされています。多分、日本人は世界が自然エネルギーへ向っていることに気づいていないんです。風車がまわってているけど壊れたというニュースとか、太陽光パネルで山を崩したりして自然破壊だというニュースしかやらない。違うんですよ。世界は自然エネルギーに向いているんです。そっちへチェンジしようとしている。
その結果、何が起こるか。電気は余るんです。太陽光は原料はタダです。風もタダなんです。施設さえつくれば、維持管理費はかかるけど、原料はタダです。石油をホルムズ海峡から持ってくるとか、ウランをオーストラリアから持ってくるとか、しないでいい。原料の価格で言えば、太陽光はゼロで、原発は100なんです。どっちが勝つかは決まっているんですよ。自然エネルギーを選んでやっていけば、電気は余ってきて、どうやって電気を使おうかという話になってくる。そういう計算もできています。
だから、そういう将来を見て、いつ切り替わるかなんです。原発族、原子力村が抱ている間は、そうなりません。日本が次のステージに切り替わっていくように、私たちが意識して目覚めないと、いつまでも電気代が上がったとか言ってなければならない。自然エネルギーに切り替えた南オーストラリア州とかデンマークは、電気が余る日があるんです。世界は進展しているんです。

■原発は再稼働しなくても危険
黒岩 先日、枝野幸男さんが、「原発の建て替えはいいじゃないか」と言ったことに、今回の映画の上映会の宣伝をしていると、ものすごく批判の電話が来たんです。
燃料棒は、発電していてもいなくても、原発が稼働していてもいなくても、危険は一緒なんです。むしろ、動いていないほうが危険とも言えるかもしれない。燃料棒はできたとたんに中の核物質が反応を始めるからです。反応を始めると、何百度、何千度になって、メルトダウンになってしまう。だから燃料棒はできた瞬間から、水で冷やさなければならない。福島原発は電気が止まったから冷却できなくなって、どんどん温度が上がってしまった。だから、原発は再稼働していようがいまいが、柏崎刈羽にある何百本もの燃料棒は危険なんです。このことを覚えてほしい。再稼働したから急に危険になるわけじゃないんです。
枝野さんが言いたかったのは、古い40年前のボロボロの格納容器、建屋に置いておくよりは、新しいものにしたほうがマシだ、いざ事故が起きたときも安全じゃないか、ということで、けっして原発を勧めているわけじゃないんです。
私は再稼働かどうかではなく、長い目で、原発に頼らない、再エネでいこうというのを、見てていただきたいんです。数年先までの話ではなく、10万年先までの話です。将来を見据えて、自分たちの子供、孫の世代のために、こういう方向性に持っていきたい。
原発は再稼働しなくても危険なんだということです。この国は原発をこれだけ増やしたので、常に原発を安全に管理することが命題なんだと、これだけを伝えさせてください。

橘 会場からもご意見、ご質問をいただきましたが、この問題は非常に大事で、けっして終わっていないし、福島だけ、新潟だけの問題じゃないです。どこの原発が爆発しても、必ず福島と同じようになります。しかも福島の原発があの程度で収まったのは、たまたま、偶然であって、少し違っていたら、とんでもないことになっていた。私は今日お話ししたことを、これからもずっと伝えていきますので、みなさんもお知り合いに、「東京から来た映画を作った人が、原発は絶対ダメだと言っていたよ」と、伝えていただけたらと思います。

Send this to a friend