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【活動報告】第14回「VTuber×メタバースで地域振興」講演後編、質疑応答編

武蔵野政治塾第14回「VTuber×メタバースで地域振興」
後編

【続いて、溝口新平(株式会社tenshabi 代表の溝口新平さんからのお話が、自己紹介から始まりました。)武蔵野政治塾第14回「VTuber×メタバースで地域振興」

メタバースを活用した地域振興の事例

溝口新平

今日お話しする内容は自己紹介と会社紹介、メタバースが作るエンタメの現状、メタバースを活用した地域振興の事例についてお話したいと思います。

■これからはメタバース事業だと思った2つの理由

私は、人材会社とメディア会社で働いてから独立しました。2016年に人材会社を立ち上げて、2022年に現在の会社を立ち上げてメタバースの事業に取り組んでいます。
メタバースの事業を始めたきっかけは、2つあります。
ひとつは2021年に、Facebookが社名をMETAに変更してメタバース分野に巨額投資をすると発表したことです。これを聞いて、これからの一番の成長産業に確実になると、直感的に、やるなら早い方がいいだろうと思ったことです。
もうひとつは、ぼく自身、長いこと採用の仕事をやってきたので、採用分野でもメタバースが使え、メタバース産業が盛り上がればメタバースに関係するクリエイターや技術者の需要が起こるから、採用に活かせると思ったことです。

まず始めたのは、メタバース空間で採用イベントを開催しました。
イベントの反応は良く、参加者も、「遠隔地から参加できた」「アバターなので全然緊張しなかった」「当日はパジャマ姿で参加していた」などの良い意見が結構多かったです。
企業もズームよりも濃厚なコミュニケーションができたようで、とても満足いただけました。
メタバースの会社だから、仕事もメタバース空間でできたらいいなと思って、自社ビルもメタバース上で作りました。せっかくなので派手なビルを作って、完成を記念して「うちのビルに遊びに来てくれたらアバターがかぶるヘルメットをプレゼントしますよ〜」と告知をかけたら、300人くらいが会社に来てくれました。うちのビルをSNSで拡散してもらえましたので、とてもいい会社の宣伝になりました。バーチャルであれば自社ビルまで簡単に創れてしまうのは魅力です。

■採用以外の分野へも

そのあと、いろいろな企業から問い合わせをいただけるようになり、採用以外のメタバースの案件を行ないました。
ある上場企業さんと一緒に、メタバース上でビジネス交流会を開いたところ、50社くらいの企業が集まってくれて、お互いの事業を紹介しあって、結果的にここで何社か事業提携することになりました。
メタバースを専門領域にした弁護士先生が、クリエイター向けにメタバースでどう権利を守るかなど、実際に起こったトラブルの事例を説明したり、お寺のプロジェクトにも参加させていただきました。

「カラオケまねきねこ」さんのメタバース店もプロデュースさせていただきました。
板倉さんとご縁をいただいたのも、この案件がきっかけです。「カラオケまねきねこ」さんは日本最大のカラオケ企業で、ちょうど600店舗という記念のタイミングもあって、メタバース店を期間限定でオープンすることになりました。
お店はかなりリアルに作り込んでいまして、普通のタイプの部屋だけでなく、キッズルームがあったり、渋谷本店にあるライブルームをそのまま再現したり、いろんなお部屋が楽しめるようになっています。
空飛ぶカラオケボックスにして、お客さんが部屋のカーテンを開けたら、夜景が一望できるような、メタバースならではのお店になっています。
「カラオケまねきねこ」さんのオープニングセレモニーでカラオケ大会をやったんですが、その時のゲストとして戸定梨香さんに来てもらいました。
梨香さんの他にも、埼玉県公認のご当地VTuberの「春日部つくし」さん、東京都の「おきゅたん」、青森県の「青森りんこ」さん、大分県の「理原ひなり」さんたちがゲストに来てくれました。

■動画の世界だけだったVTuberがメタバースで身体性を持つ

VTuberさんはこれまでは動画の世界だけでしか見ることができなかったんですが、メタバースができたことによって、身体性を手に入れたのは、実はものすごいことだなと思っています。ファンからしてみたら、憧れのVTuberと同じ空間にいられるということは、今まででは考えられないです。これからVTuberさんたちの活動の範囲が爆発的に広がっていくと思います。
オープニングセレモニーが盛り上がったおかげで、おかげさまで、カラオケまねきねこさんのメタバース店には沢山のお客さんが遊びに来てくれて、とても好評でした。
こんな感じで、もともと採用に繋げる目的でスタートした事業ですが、徐々に採用以外の案件を任せていただけるようになってきました。
最近は自治体からもご相談をいただけるようになってますので、メタバースの活用を考える企業や自治体が本当に増えてきたなと実感してます。

■「メタバースについて」とは?

メタバースの定義は決まってないのですが、よく言われているのが、「インターネット上に作られた仮想空間で、たくさんの人がリアルタイムでコミュニケーションや経済活動ができる空間」を指します。
必ずしもゴーグルをつけて入るような、没入感のある3Dの空間でなくても、スマホやPCで入れる空間もメタバースとされています。
メタバースの言葉は「超える」を意味するギリシャ語の「META」と、「宇宙」を現す「UNIVERSE」が組み合わさった造語で、1992年のアメリカのSF小説「スノウ・クラッシュ」で初めて登場したと言われてます。結構昔から言葉はあったようです。
メタバースが急速に話題になった理由はいくつかありますが、GAFAがメタバースに数兆円規模の投資を行なうと発表したことは、インパクトが大きかったです。なかでもFacebookは社名もMETAに変えると言ったので、うちもそうですが、企業が一斉にメタバースに参入し、2022年はメタバース元年と呼ばれました。
ここにきてデバイスも相当広がってきています。一番有名なVRゴーグルのメタクエストは2000万台近く売れているようで、VRがだいぶ一般的になってきたようです。
GAFAが数兆円を投資してどんな未来を作ろうとしているのか?これが一番イメージしやすい映画が「レディ・プレイヤー1」(スティーヴン・スピルバーグ監督)だと言われています。
映画のセリフにあるように、「そこではなんでもできて、何にでもなれる」、学校も仕事も遊びも全てがバーチャル空間で行なえるようになってます。
この世界観を巨大テック企業は目指しているようです。
映画の世界は2045年の設定ですが、今のペースで行く10年くらい前倒しで実現しそうです。
日本でもメタバースに関連する映像作品がありまして、有名なのは、まず、2000年から続いている「SAO」です。
【注・『ソードアート・オンライン』(Sword Art Online)は、2002年から書かれていた川原礫によるライトノベルの略。小説から、漫画化・アニメ化・ゲーム化・テレビドラマ化など様々な展開が行われている】
この作品の世界観を実現させるために、メタバースで起業した20代、30代の若い日本人起業家がたくさんいらっしゃいます。
「竜とそばかすの姫」(細田守監督、2017年)も有名です。世界の50億人がアクセスする仮想空間の物語ですが、この世界では耳につけるイヤホン型のVRデバイスでアクセスするようになっています。おそらくデバイスが進化していくと、今のVRゴーグルはコンタクトレンズとか、こんなイヤホン形式になっていくと言われています。

■メタバースはいま、ゲームが先行

映画やアニメの世界は置いといて、メタバースは今どうなっているのか?
まずはゲームの分野が先行しています。今、10代20代の子供たちの多くが、学校が終わったら家に帰って、まずはPCのオンラインゲームに接続して、友達同士で会話をしながらゲームを楽しんでいます。
ゲームをいくつか紹介しますと、「フォートナイト」は、世界で一番有名なバトルロイヤルゲームで、最後のひとりになるまで敵を倒しまくるゲームです。ユーザーは4億人いて、売り上げも、ものすごいことになっています。
売り上げのほとんどは、アバターが着るスキンと呼ばれるコスチュームで、1着1000円~2000円くらいなんですが、みんなが買うので、すごい売り上げになっています。
「フォートナイト」はゲームだけでなくて、友だちとコミュニケーションしたり、いろんなイベントに参加できたりするんですが、その中でも話題になったのが、バーチャルライブです。
アメリカの有名アーティストがバーチャルライブをやったら1200万人という驚異的な人数が参加して、グッズはこの日だけで数十億円も売れたようです。
日本でも注目され、すでに星野源さんや米津玄師さんがライブをやっています。
アーティストの世界観が表現されたバーチャルの世界に入り込めるということで、新しいエンタメの形として注目を集めています。
「ロブロックス」は毎日5000万以上がアクセスしていて、時価総額は4兆円を超えてます。「ロブロックス」は世界中の学校向けに、メタバースを用いた教育ゲームの開発をして提供もしています。
注目いただきたいのが、ユーザーの大半が10代から20代なんです。うちの8歳の子も夢中で遊んでます。メタバースは実は子どもたちの間ではもうだいぶ浸透しているようです。

■ゲーム以外では、コミニュケーションのプラットフォーム

ゲーム以外では、コミュニケーションを目的とした、メタバースプラットフォームがあります。有名なのはVRChatやクラスターで、このプラットフォームでは自分の理想とする姿になって、アバター同士でおしゃべりを楽しめるというサービスです。
特徴は、ユーザーがアバターも空間も自由自在に作れるようになっていることです。ユーザーの中には週100時間をここで過ごしているようなバーチャルの住人もいて、朝起きたらすぐにVRゴーグルを被って1日の大半はバーチャル空間にいるツワモノまでいます。
雀荘を作って麻雀をやったり、ダンスホールを作ってダンスをしたり、遊園地を作ったり、ハロウィンのイベントに合わせて友達同士で仮想パーティーを楽しんでいます。
メタバースの飲み会は、ズーム飲みと違って、みんなが同じ空間内にいて、限りなくリアルに近い感じで飲み会ができます。
メタバース空間で、ゴーグルをつけたまま睡眠する人たちもいます。友達と一緒に話しながら寝ちゃうみたいな、修学旅行気分が味わえるとか、起きたら誰かが横にいて最高! みたいな感じでメタバース睡眠にハマる人たちが増えてます。
なかにはゴーグルをつけて毎日VR睡眠をしたせいで、後頭部の形が変形してしまった人もいます。僕もやってみましたが、ゴーグルが重すぎて寝れなかったです。

■メタバースで知り合い、恋愛、結婚

恋愛関係に発展することも多いです。
よく話に出るのが、美少女の姿をしているけど中身はおじさんなんじゃないの?ということですが、VRユーザーの8割以上は男性なので、おじさん同士で恋愛しているケースはよくあります。
ただ、やっている人たちは、アバターの中身が男性か女性かは全然関係なく、「相手のことが好きであれば、どちらでもいいんじゃないの」という感覚です。長くやっていると、だんだんその気持ちがわかるようになってきます。
恋愛が発展して実際に結婚したカップルもいます。
弊社のメタバース制作を担当してくれているクリエイターの方も、メタバースで出会った方と結ばれて結婚しました。その方のすごいところは、結婚式もメタバースでやられたんですけど、自分で結婚式場を作り、ハネムーンも飛行機から現地のリゾート施設まで全部作って、そこに友達を招待して祝福を受けるという、現実だとありえないようなことをやっていました。

最後に、今流行ってるChatGPT(AIと会話ができるプログラム)をバーチャル空間のアバターに搭載した人の映像を見つけましたので紹介します。

■AIアバターとバーチャル空間で会話

ChatGPTをアバターに搭載することで、AIアバターとバーチャル空間で会話ができます。
まだぎこちない感じですが、数年先には人間と同じような会話とか行動をするようになると思うので、そうなってくると、メタバース空間にいる相手が、人間なのかAIなのか完全にわからなくなります。
少し怖い部分もありますが、ますますSFの世界が近づいてきます。
先日の日経新聞に、メタ社のCTOが「生成AIをメタバースに活用する」という発表がありました。今後はCGの知識がなくても、バーチャル上で欲しいものとか作りたいものがあれば、簡単に3次元でできあがるみたいです。
メタバースはエンタメだけでなく、今後は全ての産業で活用されていくものだと思います。今はまだ、子供たちがゲームで遊んだり、一部の人たちがバーチャルにどハマりしているだけの状況かもしれませんが、デバイスや通信速度が変わっていけば、いずれ世界中の人たちが使うようになるんだと思います。

■メタバースを地域振興に

それでは最後に、メタバースが地域振興に活用された事例についてお話しさせていただきます。
都市連動型メタバースが話題になっていまして、渋谷、大阪、秋葉原がすでにメタバースで街を再現しています。定期的にイベントが開催されてて、有名人のライブがみれたり、いろんなコンテンツを体験したり、買い物が楽しめるようになっています。
「バーチャル沖縄」もありまして、火災で燃えてしまった首里城を復元したり、沖縄国際通りで名産品が買えたりして沖縄の観光促進に繋がっています。

都市以外の地域では、兵庫県の養父(やぶ)市がものすごく力を入れています。ここは兵庫県で人口の最も少ない都市なんですが、吉本興行さんと一緒に吉本のタレントを起用してメタバースで地方創生に挑戦しています。
かつては日本一のすず鉱山として栄えた街で、バーチャル養父市では鉱山の跡地を観光したり、むかし鉱山で運行されていた電車に乗って観光名所を巡ったりできるワールドが用意されています。
面白い取り組みとしてはその中に市役所もあって、そこに行くと仮想市民証がもらえるようになっています。将来的には仮想市民証を持っている人が実際の養父市を訪れたら、食事や地域の名産が安く買えるような特典をつける予定のようです。

北杜市ではメタバースの婚活が大成功したようです。地域に若者を呼び込もうと、これまで婚活パーティーやお見合いバスツアーなどに力を入れてきたんですが、コロナでできなくなったので、昨年メタバース空間で婚活イベントを行ったところ、なんと23人中の16人、8組がカップルになったということで、大成功したようです。
アバター同士だとしゃべりやすいので婚活イベントは相性いいようです。

大阪の泉佐野市や静岡県焼津市が、ふるさと納税返礼品のプロモーションを目的にイベントに出店してました。

奈良県宇陀市では、メタバースを活用した移民促進に挑戦してます。移民を検討している方々が、メタバースで市の職員や先輩の移住者と交流や相談ができるイベントのようです。
ズームでも良いんじゃないかと思いますが、やはり見ているのと参加するのとではだいぶ違っています。たとえば、たまたま一緒に参加していた隣の人とおしゃべりして仲良くなったとか、そんな偶然性も生まれたりするのがメタバースです。

群馬県はクリエイティブ人材の育成に力を入れてます。
こちらは先月開催されたメタバースイベントで、山本知事もアバターで参加されていました。

鳥取県もメタバースにかなり力を入れていて、自治体にメタバース課を設置してアバター職員を採用しました。さっきのChatGPTのような感じで、アバター職員と会話ができるようになってます。平井知事も積極的で、鳥取県のNFT(仮想通貨で買うデジタルデータ)も発行して関係人口を増やしています。

メタバースを教育に活用した事例ですが、埼玉県戸田市は、不登校児を支援するためにメタバースの校舎を作ってます。メタバース登校がきっかけで学校に通えるようになったという生徒もいて、早速効果が出ているようです。

新潟県弥彦村は、メタバースで海外観光客誘致に取り組んで、一定の成果が出ているようです。台湾の旅行会社と提携して、メタバース空間で観光施設の案内などをしたのですが、日本大好きな台湾人が100人近くこのメタバース空間を訪れたということです。
海外からの観光客誘致にもメタバースが活用できそうです

地方自治体でメタバースを活用する可能性は広く、ご紹介したもの以外にも色々やられてますが、いきなりうまくいくわけではないと思います。実証実験を繰り返し行うことで、少しずつ効果や成果が得られるものだと思っています。

以上 今日お話した通り、メタバースはまだほんと始まったばかりです。2022年がメタバース元年ですから、まだ2年目です。
1990年代に始まったインターネットも、30年近くかかって世界中の人たちが使うようになっています。スマホも登場したのが2008年なので、まだ15年ほどですが、今は誰でも持っています。今おそらく、映画の「レディ・プレイヤー1」のような、リアルとメタバースが融合した世界は近い将来やってくると言われてます。
ぜひメタバースに乗り遅れないためにも、まずはメタバースに触れてみてください。大半は無料で体験できるものばかりです。
お子さんと一緒にゲームで楽しんでいただいてもいいと思います。
今日はお話を聞いていただいてありがとうございました。

質疑応答編

【つづいて、やぶはら太郎さんの司会で、質疑応答となりました。】

■過去の情景をメタバースで再現できないか
会場の方1
メタバースの可能性について、ふと思ったのが、片渕須直監督が『この世界の片隅に』という映画で、アニメによって「過去の情景を取り戻す」ことをテーマとしていましたが、そのような方面での可能性というのはどうでしょうか?
学術研究への応用も考えられるでしょうか?

溝口
「昔の情景を取り戻す」というお話ですが、メタバースは、沖縄の例もそうなんですが、燃えてしまったものを復元するとか、取り壊しが決まった建物を、メタバース空間に残しておくとか、そういったことができます。
実際、今松戸市の隣の北千住に大黒湯という銭湯があり、長年皆さんに愛されていた銭湯なんですが、取り壊しが決まり、せっかくなのでメタバースに残そうということで、VRチャットに今あるんです。そうすると、もうどなたでも、メタバース空間で、大黒湯が楽しめる。
そういった意味でも、昔の情景をメタバースに残すのは、活用としてはすごくいいと思います。

■ゲームには自主規制があるがメタバースは?

会場の方2
私は本業でテレビゲーム業界にいたりするんですけども、昨今だと、たとえばゲームに悪影響があるとかで、自主規制があると思います。
VRとかで、実際に本当に人間の感覚を騙せるようになってきている研究があり、たとえば「チョコレートがついたクッキー」に見えているけど、実は普通のクッキーで、それを食べても満足感が得られるみたいな、そういう事例があるんですが、今後、メタバースの世界にも、人に悪影響があるんじゃないかということで、規制をしろ、自主規制をしろという動きが来るんじゃないのかと予想しています。
現状で、何かそういう規制が来たらどうしようとか、すでに自主規制でこういうことをやらないようにしていますみたいな事ををご存知であればお伺いしたい。

溝口
僕はあまり詳しくないんですが、最近はハラスメントの問題がVRチャットでよく起こっていて、女性のアバターでいたときに、セクハラを受けることがあるそうです。それでは、どういうふうに規制をするのとかいうことですが、実はまだ全然決まっていないことがすごく多いのかなと思っています。
規制をしていくのは、これからの問題だと思いますが、いまも問題だらけなんですね。
メタバースに強い弁護士先生も、トラブルはもうものすごい数起こっていると言っています。それをどういうふうに規制していくのかは、これからだと思います。あまり詳しくないので、この程度で、すみません。

■メタバースで一般の人は儲かるのか

会場の方3
前半のVTuberは、なんとなく儲かりそうだなと分かったのですが、メタバースは、こちらがお金を使うばかりのようで、いったい誰がどうやって儲けて、どういう集金構造、経済構造で成り立って発展していくのかが、よく見えなかったのですが、その辺の全体像を、ざっくりと教えていただければ。

溝口
メタバースっていう部分でいうと、実際VTuberも結構メタバースに近い領域だったり、NFTとか仮想通貨も、メタバースに関わったりとか、あとゲーム世界もメタバースにかかっていて、結構すでに幅広く産業が起こってるので、一概にどういう儲け方をするのかは、正直なところ、言えないんです。
たとえば、僕自身がどういうことをやってるかというと、企業や自治体でメタバースに興味があるところ、何かやってみたいところに対して、企画をして、制作をしています。それでもビジネスになってます。
そういった意味で、けっこう幅広い可能性があると思ってます。

■戸定梨香さんの活動の障害は

会場の方4
板倉さんに質問です。戸定梨香さんの問題が起こってから、さまざまな問題がずっと起こり続けていると思うんですけども、戸定梨香さんが活動するにあたって、何が一番壁になっているのか、何か障害になっているのか、教えてください。

板倉
障害は、なかなかあります。やっぱり、ジェンダーやフェミニスト議員連盟の問題になってくると、必ず戸定梨香という名前がアイコンとして出てきてしまいます。皆さんの中で、そのイメージになってしまっているので、企業さんや自治体が使いにくいキャラクターになっているところが、一番難しいです。
私たちの課題だなと思っています。

■メタバースを高齢者にも

会場の方5
若い人の中でメタバース、仮想現実が広がっているのは分かるんですが、プラットフォームの扱えない高齢者とかに普及していくにはどうしたらいいでしょうか。

溝口
いろんな産業でメタバースが取り入れられているなか、たとえば介護施設にもVRゴーグルが導入されて、そこでお年寄りの方で、身体的な理由で外出できない方に向けたメタバース空間ができ、旅行ができたり、お喋りができたりとか、そういった形で、少しずつ、企業側が働きをかけて、ご利用いただくことが増えてます。
もう少しデバイスが変わって、もっと利用しやすくなったり、値段が安くなったり、通信速度が速くなるとかして普及してから、本当に皆さんが使うようになるんじゃないかと思っています。正直なところ、まだ一部の人たちしか利用できない面が、現状として、あると思ってます。

板倉
松戸の駅前に、ジェクサーというeスポーツの専門店がありまして、そちらは主に若い世代のeスポーツをされる方を対象としていますが、高齢者に向けたセミナーも毎月開催されています。市も高齢者に向けて、セミナーを開催していますので、そこを活用して広げていければいいのかなと思っております。

■フェミニスト議員連盟に業界としてどう対応していくのか

会場の方6
フェミニスト議員連盟の件ですが、結局、何も解決していなかったことになりますよね。向こうは完全無視ですから。あの人たちの活動ってどんどんエスカレートしていきます。これって、業界としてかなりのリスクだと思いますが、その辺は被害者、当事者として、業界としてどうやって対応していくのか。なにか考えているのでしょうか。

板倉
今、何か決まっていると言えることは、ありません。
この件で、私がよかったなと思うことがひとつあります。それは思っていることを声を上げて言ったことです。声を上げない、何もしない方が本当にたくさんいらっしゃいまして、その選択が、もしかしたら正しいこともあるかもしれないんですが、自分たちはこういう意思で、こういう思いで、この作品を作ったんだということを、きちんと伝えることができれば、今、多くの方がSNSを活用されて、みんな見てくださりますので、そこで共感してくださる方が応援してくださって、次のステップとして、その応援してくださる方と新しい道に進むことが、私たちにできる最良の道なのかなと思っております。

岡本ゆうこ
9月9日に板倉節子社長が、この抗議から感じたことについて、Tweetをあげていて、私はそれにすごく共感して、こういうことだと、すごく胸が痛んだんです。そのTweetを、みなさんに、ぜひ皆さん読んでいただきたいです。
抗議されたことが、何かむかつくとかそういうことじゃないです。これは非常に深い問題であります。そういったことも、ちょっとわからなくて、目先の問題だけで、面白おかしく、戸定梨香さんの存在だけが大きくブラッシュアップされてしまうことが多いと私も感じています。
ぜひ板倉社長のTweetを読んでいただきたい。それが全てだと私は思います。全ての人が共感できることだと思います。

やぶはら
今日は本当にありがとうございます。質疑応答もこれで終了させていただきます。
「バーチャルが作るエンターテイメントの世界」を終了させていただきます。
今回、改めて聞いて、本当に聞き応えがありました。このテーマを設定してよかったと思っています。
私は武蔵野市の市議会議員ですが、武蔵野市としても取り組んでいけるようなことも多々たくさんありましたし、そこは力強く押していきたいなと思っております。

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