武蔵野政治塾第19回は、8月27日に岡山県岡山市で開催されました。
テーマは「統一教会と日本の政治l。
岡山での開催は2回目、鈴木エイトさんは3回目の登場となります。
総合司会は、岡山市議会議員の國友彩葉さん。コーディネーターは津村啓介さん(立憲民主党岡山2区総支部長)。
まず津村さんから、次のような挨拶がありました。
「今の日本の政治は、まるで時計が止まっているかのように動かない。前に進まない政治を、自由闊達な議論で少しでも前に進めていこう、再出発させていこう、そんな熱い思いで、武蔵野政治塾は始められました。
今年1月初めに、岡山でも武蔵野政治塾が開催され、前川喜平・元文部科学事務次官のお話を皆さんと一緒にお聞きしました。その場で前川さんから、統一教会については、ぜひ鈴木エイトさんの本を買ってほしいとのお話があり、今回は、その鈴木エイトさんに岡山にお越しいただきまました。
岡山でも最近、公共施設で、統一教会の関連団体がスピーチコンテストを開く出来事がありました。これだけ社会問題になっているにもかかわらず、統一教会と行政や政治との結びつきは、私たちの故郷・岡山でもまだまだ根深い。
これからしっかりと皆さんと知識を共有しながら、確かな知識を共有しながら、日本の政治の闇に立ち向かっていく、その思いを共有する会にさせていただければと思います」
続いて、鈴木エイトさんの登場です。自己紹介に続いて、スライドを駆使しての講演となりました。
なお、「世界平和統一家庭連合」を、文中ではすべて「統一教会」としてあります。
■統一教会とは
皆さんご存知かと思いますが、統一教会は、基本的に、偽装勧誘とか霊感商法とかさまざまな社会問題を起こしてきた宗教団体です。
宗教団体ではあるんですが、いろんな政治団体、関連企業、そのなかには軍事企業みたいなものも持っている、一大コングロマリットです。
日本においては、反共組織を使った政治工作を長年やってきていました。
東西冷戦下において保守派の政治家を取り込み、東西冷戦終結後は、「文化共産主義」としてジェンダー・フリーとか男女共同参画も全て共産主義だとして攻撃している、カメレオン的に姿を変えてきた団体であります。
■教祖
これが教祖2人です。【スライドには文鮮明と韓鶴子が映っている本の表紙】
「真の父母様」と言われています。文鮮明は2012年9月に亡くなりました。その後、後継候補だった息子たちを、韓鶴子がどんどん追放する形で独裁体制になっています。
いろんな側近が背後で操っているという話もありましたが、側近たちも更迭され、現状としては、韓鶴子が本流派として仕切っている形になります。いろいろ分派もできてはいます。
■霊感商法
霊感商法は1970年代から始まったと言われています。
日本だけが経済的負担を強いられているような形で、日本から相当なお金が韓国へ送られてきていました。
こういう団体がなぜ取り締まりを受けてこなかったのか。日本への進出初期から有力な政治家、総理大臣とか閣僚とか、本当の中枢にいる政治家の後ろ盾によって、取り締まりを受けることがなかった。
こういう団体が長く生きながらえてきた理由は、そういうところにあります。
■カルト問題に関わるきっかけ
21年も前の2002年6月に、JR渋谷駅の改札口で偽装勧誘現場に遭遇したのが、僕がカルト問題に関わるきっかけでした。
「手相の勉強」「意識調査アンケート」という形で、勧誘していました。
正体と目的を隠した勧誘を入り口にして、マインドコントロールされて信者になっていくのを見たわけです。そして交流していくうちに、カルト問題の構造に気づきました。
【勧誘の現場の写真】「額に気になる相が出ています」などと言って話しかけるんです。なかには僕と知らずに声をかけてきた信者もいました。
黒い袖の女性が勧誘員で、アンケート用紙を持っています。スカートの女性は、これから勧誘を受ける人です。少し離れたところでスマートフォンを持っている人がいます。この人も実は仲間なんです。「共助」というサインがあり、「この人をうまく引き引き込めそうだ」となると、ブロックサインを出します。すると、スマホの人も寄ってきて、2対1の状況を作る。こうやって、勧誘していきます。
こういう人たちが展開するのが、「転換期トーク」です。「あなたは今人生最大の転換期に入ってます」と言って、次は姓名判断などへ誘っていく。
信者が持っていたアンケート用紙の裏には、【「あ、お顔の相いいですね」「賛美」「アンケートお願いします」と3回は言って見る】と書いてあります。その横に【正】の字がいくつもありますが、これは声をかけた回数です。218回のところに◯がありまして、これは218人目にようやく止まってくれたということです。
そこに、僕みたいな人が入ってきて、止めさせたので、非常に恨みを抱かれていました。
■偽装教化施設
勧誘では、2対1の状況を作り、「青年意識調査」の名目で質問していきます。
ここに「AKYC OBOG会」とありますが、要はカルチャーセンターの卒業生を標榜しているわけです。
宗教の勧誘であること自体を隠します。「アンケートを取っているだけです」とかウソをついて勧誘し、「ビデオセンター」へ連れていきます。偽装強教化設、信者の生産拠点ということになります。
名古屋のビデオセンターでは、「ガム取りチャレンジ」とか「清掃活動」など「偽装ボランティア」から勧誘していく形です。
2000年代の主力商品だった水晶「風水四神」は一体150万円ですが、相手の経済状況に合わせて600万円まで購入させていました。
ビデオセンターのパンフレットには、怪しいところは特にないんです。だからなかなか気づかない。「毎週水曜日はカレーの日」とか「週3回でスペシャルプレゼント」、「週5回でウルトラプレゼント」とか言って、毎日通わせるようにします。
ビデオセンターには、ビデオブースがあります。ビデオも最初は宗教色のないものですが、社会不安を煽って、「文鮮明みたいな救世主が現れていますよ」というものを見させられます。
この施設の正体を知らされないままビデオを見ている若い人に対して、僕は中に入れたときは、施設の正体を教えて救出し、中に入れてもらえないときは外で待ち伏せをして、施設の正体を教えて救出をすることを長年続けていました。
近年だと、原理研究会がコロナ禍では、オンラインで「CALLEGE SUMMIT for Peace」をやり、大学生とか、大学教授、学長レベルの人たちも、統一教会系とは知らずに参加していました。
■救出活動したら全国指名手配
僕は日本脱カルト協会にいますが、問題啓発DVDの監修にも関わってきました。さっきも言ったように、被害者が次の被害者をリクルートし、連鎖していくカルト被害があります。まず人間関係を構築する手口なので、誰もが被害に遭う可能性があります。
この連鎖を止めるために、偽装勧誘の阻止活動、ビデオセンターからの救出活動をしてきましたが、そうすると、(統一教会に)全国指名手配をされてしまいました。
10年ぐらい前のチラシなんかですが、【要注意人物として、鈴木エイトさんの写真と特徴が載っているチラシ】、これを見てひどいと思いました。一番下に、「この件に対するお問い合わせは下記まで」として、統一教会の電話番号が書いてあったので、僕はすぐに広報局に抗議の電話をしました。
「なんでこんな不細工な写真を使うんだ。もっといい写真があるだろう」と言ったら、次はこういう写真に差し替えてくれました。
ただ、よく見ると「反対活動家」と書いてあり、「長身185センチくらい」と書いてあるんですけど、そんなに高くないので、これも訂正してもらいました。
もうひとり、一緒にカルト新聞を出している藤倉善郎さんの写真もあったので、彼も自分の写真を差し替えてほしいと、メイドコスプレ写真を教団に送ったんですが、差し替えてもらえなかったというオチがつきました。
■霊感商法の高額商品
教団が長年やってきた霊感商法とは、「先祖の因縁」などを説き、高額な壺、印鑑、多宝塔、水晶、貴金属、絵画などを購入させている悪質な商法です。
教団の主力商品が「天福函」という経典を何冊も入れた函で、430万円献金するともらえます。さらに、1300万円から3000万円献金すると、教祖の直筆サイン、1億円献金すると「真の父母賞」で写真ももらえるということで、信者は献金をしてきました。
教団は「組織的なものでなくて信者の個人的な活動だ」と言っていますが、実質的には完全に教団が信者にやらせていたことが、脱会者の証言からも分かっています。
霊感商法が、2009年に大規模な摘発が行なわれるとして、教団は家系図を使う手口に移行していきます。セミナーを開いて、家系図の講座を開いて、数十万のセミナーに誘っていく手口です。
全国各地で行なわれている家系図関係の講演会では、北海道でも沖縄でも、使っているイラストが全部一緒なんです。
■高額献金の使い道
その高額エンドレス献金が、どう使われてきたか。
2009年から11年の教団内部資料によると、年間で「感謝献金」として400億円から500億円強の収入があり、その半額の約230億円、2011年だと300億円近くを、韓国の教祖一族へ送金してきました。
韓国からの献金ノルマが毎年数百億円と言われています。それだけ日本から収奪してお金が送られてきました。
全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)の被害集計によると、1987年から2021年に相談が寄せられただけで、1237億円以上の被害となっていますが、これは氷山の一角であって、実際の被害額はその数十倍、1兆円を超えているという指摘もあります。
■破壊的カルト
こういう団体は「破壊的カルト」と言われています。なぜ「破壊的」かというと、単純にその場の被害だけでは済まないんです。家庭、その人の人生そのものが破壊されてしまう。そういうところから「破壊的カルト」と言われています。
これは宗教の問題ではなく、カルトの問題です。人権侵害です。
自由な意思決定を侵害されています。勧誘の経緯もそうなんですが、その果てにあるのが合同結婚式、そこから生まれてくる二世問題です。
■合同結婚式
今年5月に合同結婚式の取材で韓国へ行ってきました。日本から数百組のカップルが参加していました。
会場となった建物は、山の中腹に見える豪華な施設で、日本からの信者の献金で建てられています。宮殿みたいな建物は500億円ぐらいかかっていて、そのために日本の信者にも、183 万円の献金ノルマがあったと言われています。
『カルトの花嫁』という本を書いた冠木結心さんは、合同結婚式に参加した方ですが、その実態を書かれています。
2世は、幼少期からかなり偏った教義を刷り込まれています。
■新世事件
教団にとっての転換期は、2009年の霊感商法の摘発です。
渋谷の印鑑販売会社「新世 」が警視庁公安部から摘発を受け、教団の渋谷教会とか南東京教区事務所が家宅捜索を受けました。渋谷教会と南東京教区事務所は、教団本部のすぐ目の前のビルにあり、警視庁公安部は統一教会本部へのガサ入れを狙っていたんですが、有力な政治家の口利きによって寸前でストップしてしまいました。
この有力な政治家とは、警察官僚出身の亀井静香さんです。
この一連の摘発を受け、教団の韓国人総会長が反省しました。霊感商法をやってきたことを反省したのではなく、政治家対策を怠ったから摘発を受けたと反省し、この時期からさらに政治家対策を本格化させていきます。
教団はコンプライアンス宣言を出していますが、これは組織ぐるみでやってきた霊感商法とか偽装勧誘は、信者個人が勝手にやってきたものだという欺瞞的なものでした。
そもそも法令順守を通達しなければならない団体が、公益法人である宗教法人であること自体がおかしい。
■荒川灯籠流し乗っ取り
僕自身の話になりますが、最初は普通にブロガーとかライターとしてやっていましたが、ジャーナリストとして活動しだしたのは、地域の人の高齢化によって衰退していったお祭りを統一教会が乗っ取った事例があったからです。「荒川灯籠流し」です。
そこに統一教会の支援を受けた政治家が参加しているなどの実態を暴いたことから、ジャーナリストを名乗るようになりました。
■純血デモをしていた、山際代議士の秘書
教団がずっとやっているのが「純潔ラリー」というもので、「性の逸脱を守る」とか言っています。要はセックスをしてしまうと体が汚れてしまい、合同結婚式を受けられないということで、「純潔ラリー」「純血デモ」をやっています。
2010年の渋谷と秋葉原のデモを取材したんですが、このとき街宣車からシュプレヒコールを上げていた男性がいます。このひとは、実は2013年にある政治家のFacebookに登場します。山際大志郎さんです。山際さんの秘書をやっています。
もう一つ別のFacebookを見ると、「本日は首相官邸の食堂でカツ丼とカツカレー」とあり、統一教会の関係者が首相官邸へ堂々と出入りしていたことが明らかになっています。
■地方議員から追及
文鮮明は、こういう指示を出していました
「まず秘書として食い込め。食い込んだ議員の秘密を握れ。次に自ら議員になれ」
この指示に従っているわけです。
政治家の追及を始めたのは、地方議員からでした。
統一教会信者が正体を隠して立候補していた事例を取材しました。【千葉県松戸市議のおおた恵美についての記事のスライド】
統一教会信者をさんざん使い倒してトップ当選を果たした人に、東京都足立区の長谷川貴子さんという区議会議員がいます。この人は僕が取材を始めた途端に、「まったく知りませんでした」と知らんぷりをしたんです。
僕は、統一教会信者、カルトの信者たちは被害者だと思っています。人権侵害を受けています。そういう人たちをポイ捨てする政治家は、さらにひどいんじゃないか。
ということで、地方議員の追及を始めました。
■北村経夫議員と統一教会
統一教会と国会議員の関係を追及しだしたのは、第2次安倍政権発足後です。
2013年の参院選のときに、当時の首相だった安倍晋三さん肝いりの候補者だった北村経夫さんへの組織票を統一教会に依頼したと示す内部FAXを入手しました。
そこには、参院選の重点推薦候補としていろんな人の名前がある中で、北村さんについて、「首相直々 この方 を後援して欲しい」との依頼があったと書いてあります。
「参院選後に、当グループを国会で追及する運動が起こるとの情報があり、それを守ってもらうためにも、今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の死活問題です」と、大文字で強調しています。
安倍晋三さんと統一教会は、組織票を依頼するような関係だったと摑みました。
安倍さん個人だけなのかというと、実は当時の官房長官の菅(義偉)さんも関与していました。
北村さんは、選挙運動期間中に、統一教会の地区教会でこっそりと講演をしていたんですが、それが菅官房長官の仕切りだったことが判明しました。つまり政権ツートップが反社会的団体と裏取引をしていたんです。
北村さんは8万票ほどの教団票の上乗せで、初当選を果たしています。
この問題をちゃんと取り上げたいと、知り合いのジャーナリストを通じて、いろんなメディア、雑誌媒体に持ち込んだのですが、どこからも興味を持ってもらえなく、唯一「週刊朝日」の当時の副編集長だけが「面白い、やろう」と言ってくれて、「週刊朝日」のみ、このことを書かせてもらいました。
■安倍元首相は統一教会が嫌いだった
安倍さんと統一教会の関係をさかのぼると、2005年と2006年に統一教会の関連団体のUPF大会へ祝電を送っています。このときはちゃんとメディアも報道し、安倍さんが「事務所が勝手に送ってしまったようだ。気をつける」みたいなことを言っています。それもちょっと怪しいんですけど、メディアはちゃんと政治家を追求し、政治家も答えるという、一応健全な関係がこの時期まではまだあったんです。
最近知ったのですが、この時期、安倍晋三さんはある人に、「僕はあの教団は嫌いだ」と言っていたらしい。そんな安倍さんが7年経って、教団に組織票を依頼するまでになった。その間に何があったのか。
教団の「反ジェンダー」の策動のなかに安倍さんの名前が出てきます。2005年12月、「男女共同参画基本法」の見直しのときの教団の文書に、「安倍晋三官房長官と山谷えり子内閣府政務官でチェックできるように働きかける」とあります。
2010年の参院選で、有田芳生さんを落選させようという「有田潰し文書」にも安倍さんの名前が出てきます。
反ジェンダーの動きの中において、共鳴関係はあった。それが2013年の参院選以降の共存共栄関係ほどではなかったということです。
2013年の参院選の後、一気にいろんなことが加速していきます。
まず2014年に萩生田光一さんや中川雅治さんが教団イベントに出席をしています。
そして、2015年に教団名の変更が実現します。このとき文科大臣だった下村博文さんが、文化庁に圧力をかけたのではないかという情報を得て、「週刊朝日」などに書きました。でも、全然、話題になりませんでした。当時はそういう扱いだったんです。
教団は、教団名変更が悲願だったので、「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に変わったと、大喜びで、幕張メッセで教団名称変更式典を開催して、多くの国会議員が出席し、祝電を送りました。名称変更のショートムービーを作って教団本部前の大型モニターで流していました。
■利用される2世信者たち
僕が1冊目の本『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』でちゃんと書きたかったのが、2世信者たち、現役の信者たちが、どのように教団から使われているか、人権侵害を受けているかという問題でした。
UNITE(ユナイト)という団体が、突然2016年1月に出現をします。2015年の安保法制のときに反対してできた学生団体SEALDsに対抗する形で、保守派の大学生が自主的な活動を始めたものです。
選挙権年齢が18歳に引き下げられる最初の選挙を迎える前で、野党候補の一本化に共産党が初めて同意をして、共産党が自民党の脅威になっていた時期でもあります。
この時期に「憲法改正賛成、安保法制賛成、共産党反対、安倍政権支持」をうたう保守派の大学生グループとしてUNITEが出現しました。
自主的に大学生が結成し、全国に広がっていったもので、勝共連合の下部組織ではなく、自主独立の組織だと標榜していましたが、ある疑念が浮かびました。
平井卓也さん(自民党・衆議院議員)のフェイスブックに「こういうデモは報道されませんが、学生はSEALDsというイメージは間違いです」と投稿していたので、何か変だな、UNITEの結成や活動には政権の意向が働いているんじゃないかという疑惑を持ったんです。
そこでUNITEの街宣現場に行くと、勝共連合の遊説隊長が仕切っていて、メンバー全員が2世信者でした。全国各地でのUNITEの研修や、遊説現場には教団幹部たちがいました。
そんななか、ついに正体が判明します。最初の大規模な遊説の前日に回ったメールを入手しました。そこに「エイト(鈴木エイト)が来るかもしれない」と書いてあって、その対策関連として、「UNITEと勝共連合についての関係は、外的には2つの看板を背負っての活動ですので、関係性を明確にしてください」とありました。要は、実態はひとつなのに、わざわざ看板を2つ掲げ、外に向けては別団体だと装っていたんです。
なんでそういう必要があるんでしょう。別に勝共連合の下部組織、傘下団体でも何の問題がないはずなのに。自主的に保守派の大学生が安倍政権を支持している絵を欲しがったのは誰かとなると、安倍政権じゃないかってことですよね。
この団体は、結局僕がいろいろ正体を暴いたことによって、だいたい1年で活動停止となります。それ以降は年に1回ぐらいしかやっていないんですが、最後にやった大規模なデモのときに「OBからの差し入れです」とエクレアが配られたんです。
なんで結成1年目の団体にOBがいるのか。細部の詰めが非常に甘い。
こういう団体がデモで配っていたチラシに、「女子高生にもわかる憲法改正」があります。「高校生にもわかる憲法改正」ならまだわかるんですよ。なぜ「女子高生」と「女子」をつけるのか。
こういう点からも、こういう団体がいかに女性蔑視の団体なのか、非常によくわかります。
■安倍派候補者に統一教会の組織票
この時期に何があったか。2016年には参院選がありました。参院選は全国比例区があるので、教団の組織票の人の動きがわかりやすい。
このときは清和会(安倍派)準会員の宮島喜文さんへ教団組織票が差配されました。
派閥の長だった細田博之さん(後、衆院議長)と安倍さんが差配をしたと言われています。
安倍晋三さんが首相官邸に教団幹部、日本の徳野会長と韓国人総会長の夫人を招待したとの情報もあって、僕は情報元が確実なところだったので、裏取りはせずに、カルト新聞に書きました。すると、その記事を見た教団本部関係者が接触をしてきて、「うちの会長と総会長夫人が首相官邸に招待されたことは、うちの教会でもごく一部しか知らないのに何でそれを知っているんですか」と言われたんです。
これは、記事を出したことによって裏が取れたという、非常に稀有な例になります。
■「国家復帰」指令
統一教会は2016年に「世界平和国会議員連合」を作り、日本でも国会議員が、代理出席の秘書を含めて100人以上が参加しています
翌年、韓国で総会があり、山本朋広さん、後に総務大臣になる武田良太さんが参加しています。
そこで、彼らは韓鶴子から「国家復帰」指令を受けます。
「国家復帰」とは、統一教会を日本の国の宗教にしてしまうことです。憲法上では認められないので、実質的にはその国の中心となる政治家を意のままに動かす、支配するという意味です。そういう「国家復帰指令」を国会議員が受けています。
この時期、教団の北米会長ご一行が日本ツアーをしました。国会議員も参加してシンポジウムを開きました。また、自民党の党本部で当時の高村正彦副総裁や田中和徳国際局長と会談をしています。
このときのことを教団の北米会長が韓鶴子に、なんと、「ヨシヒデ・スガが私どもを首相官邸に招待してくださいました」と報告しています。
つまり、首相官邸のツートップ、安倍さんと菅さんが教団幹部を首相官邸に招待しています。
■止まらない政界汚染
翌年(2017年5月)、有明で1万人集会が開かれました。2016年の参院選で当選した自民党の宮島喜文さんも出席していました。参院選のとき、僕は宮島事務所に電話をして、「統一教会から組織票をもらいましたよね」と訊いたら、「まったく知りません」と言っていましたが、有明の大会での挨拶では「皆さんのおかげで当選させてもらいました」とぬけぬけと答えていました。
山本朋広にいたっては、韓鶴子を「マザームーン」と呼んで、実の母親にもあげたことがない特大のカーネーションを進呈したことで知られています。
僕は「マザームーン」が流行語大賞になるかと思っていたんですが、取れませんでした。
山本朋広がマザームーンと呼ばれることには、ちょっと同情するところもあります。自分の選挙区のポスターに落書きをされたらしく、器物損壊だと警察に届けたとツイートしていたんです。これが「マザームーンと書かれている」と拡散されてしまいました。
このときの祝勝会には北村経夫さんも参加をしています。
教団は、政治家がイベントに参加していると外に向けては宣伝しません。広告塔にはしていない。信者に向けての内部統制の手段なんです。「うちの教団は、こんなに高額献金の要請ばっかり来て生活が苦しいし、大丈夫なのかなって思うけど、こんな偉い政治家の先生が来て礼賛してくれるんだから、それはちゃんとした団体なんだ」と思わせる、内部統制に使われてきたわけです。
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、統一教会と関係を持たないように全・国会議員事務所に申し入れをしています。にもかかわらず、直後の教団の大規模集会に、国会議員がどんどん参加をしています。
このときの院内集会を取材したメディア関係者は、僕と藤倉さん2人だけだったんです。一般メディアはまったく興味を持っていなかった。
そんな中で、日本の政治家は、「真のお母様」韓鶴子総裁にはべる存在ですと、報告しています。
■岡山県での集会
統一教会は、都道府県で1万人の信者数を達成したところに韓鶴子総裁が行って「孝情文化フェスティバル」を開くことを、全国各地でやっています。
東京、神奈川、愛知、大阪の次は福岡かなと思ったら、岡山ジップアリーナで2018年7月に、1万人集会が開かれました。
岡山ジップアリーナって1万人のキャパはないので、だいぶ盛っていますね、
ちょうど倉敷の水害の後でした。このときに中心として出席したのが、皆さんご存知の逢沢一郎さんです。
このときは韓鶴子は来なくて、娘が代わりに来ていましたが、教団の幹部に挟まれる形で逢沢一郎は神妙な顔をしています。
よく見ると、北村経夫さんもいます。このとき教団は配信しており、丁寧に、参加している議員を紹介してくれました。まず国会議員は逢沢一郎さん、加藤勝信さん(後、厚生労働大臣、官房長官)、山下貴司さん(後、法務大臣)。
地方議員も、皆さんご存知の方いっぱいいらっしゃると思うんですけど、こういう方々が参加をしています。
【参加した岡山県の県議会議員と市議会議員が顔写真とともに紹介されました】
その後も、幕張メッセで2018年9月に行なわれた青年イベントにも政治家が参加をしています。僕はどんな国会議員が参加しているのかを知りたくて、藤倉さんと一緒に潜入しようとしました。ちょうど隣でアイドルイベントが行なわれていたので、アイドルオタクっぽい変装をして入ろうとしたんですが、すぐに見つかって、止められて暗幕まで張られるようになりました。
この時期、2018年10月に、勝共連合は50周年式典をキャピトルホテル東急で開きました。国会の議員会館のすぐ裏です。たくさんの議員たちが出入りしていましたが、一応みんな付き合いで、式典にだけ顔を出して、すぐに帰るんです。でも、逢沢一郎さんだけ、昼間に出席して帰ったあと、夜ももう一回、出ていました。なぜ逢沢さんは2回も行ったのかというと、夜は式典の後の祝勝会で食事が出るんです。
会費が3万円だったと思いますが、それで逢沢さんだけが、会費の元をとるためにしっかり食事までしてきたわけです。ちゃっかりしていますね。
■反ジェンダー策動
これを契機に「ハーバービジネスオンライン」という扶桑社のWebメディアで「安倍政権と問題教団の歪な共存関係」という連載を始め、「勝共連合による家庭教育支援法を巡る策動」を書きました。
これは各地方議会に、家庭教育支援法を制定してくださいという陳情を上げて、それを採択して中央の国会に持っていくという流れです。勝共連合の名前ではなく、個人や勝共連合のさらにダミー団体を使って陳情していました。全国の議会に出された陳情書は、確認できる限り、文面がほぼ一緒です。
さらに特筆すべきは、神奈川の川崎市の自民党市議団が出した陳情書も内容が全く一緒だということです。
いろいろなダミー団体を使った動きとしては、反ジェンダーの策動もあります。
2015年の渋谷区のパートナーシップ条例の制定のときには「渋谷を守る家庭の会」を作って、ビラを撒いていました。これも、統一教会のダミー団体です。
教団はいろいろな市民運動などにちょっかいを出しています。
沖縄では、性教育を批判するチラシがイベントで配られましたが、それと、辺野古基地の埋め立てに賛成をするチラシの文字のフォントなどが、まったく一緒なんです。
統一教会が裏でいろいろな策動をしていることが分かります。
■統一教会は安部政権と蜜月を築く裏で何をしていたのか
統一教会は、いろいろな反日思想を幹部に指示しています。2018年9月の日本人幹部修練会では、韓鶴子の「みことば」として、「1945年、広島に何が落ちましたか。原爆が落ちました。その国の最高指導者を打ち負かさねばならない。屈服させなければならない」と、安倍晋三首相を屈服と教育の対象と設定して幹部に指示をしています。
先日も「岸田を呼べ」という発言がありました。このときは岸田首相の名前を出しましたが、安倍さんのときは、名前は出していませんが、(国の最高指導者である)安倍さんのことを屈服と教育の対象だと幹部に指示をしています。
統一教会は、選挙のときに協定確認書を議員と結んでいます。そのなかに「基本教理セミナーの受講」が条件になっています。
勝共連合の会長が国会議員に原理セミナーをしている映像もあります。
■安倍カルト内閣
北村経夫さんは2019年の2回目の参院選はどうだったか。僕が現地の演説会の取材へ行ったところ、演説現場を教団関係者が仕切っていました。
このときは、北村さんだけでなく、萩生田光一さん、菅原一秀さんも取材しました。
この時期(第4次安部再改造内閣)、統一教会のイベントに出ていた議員が、どんどん閣僚に抜擢されているので、「安部カルト内閣」と名付けて記事を書きました。
弁護士連絡会も黙っていたわけではなく、関係を持たないよう、2度目の申し入れをしていますが、政治家は無視をして、その直後の愛知県での名古屋サミット&4万人集会には、細田さんなどが参加しました。
僕はこういう教団のイベントに出た議員には全員FAXで質問を送りましたが、原田義昭さん(前環境大臣)だけが、自分の携帯から僕の携帯にかけてきて、「鈴木さん、我々政治家っていうのはそういうもんじゃないんだよ。ちゃんとした活動をしてらっしゃる団体です」みたいなことを言っていました。
そこで「言っている内容はめちゃくちゃですが、直接こうやって弁明してくれたことには感謝します。これを全部そのまま書きますから、有権者の判断に任せましょう」という形になりました。
原田さんは、このときは、開き直ってというか、教団との関係を素直に認めていたんですが、昨年の安倍晋三さん銃撃事件の後に、やっぱり地元のメディアが原田さんに取材したところ、「統一教会とは気づかなかった」とか言っていて、ちょっと違うんじゃないのと思いましたが、その後また変わっている、非常に面白い人です。
この4万人集会のときに、特筆すべきことは、地方議員が合同結婚式を挙げています。このときの祝勝会では2世信者たちは、韓鶴子総裁の前で「無条件ダンス」を歌って踊りました。これは韓国のヒットソングで「無条件であなたについていきます」という歌で、これをみな、涙ながらに歌っています。
2世信者たちは幼少期からこういう教育を受けて、韓鶴子を崇拝の対象にしている。これも問題視すべきだと思います。
■疑惑の政治家直撃取材
山本朋広さんへは、2017年の衆院選で直撃取材しましたが、逆に選挙妨害で逮捕されそうになりました。
菅原一秀さんは、地元なので何回も追ってきました。事務所へ訪ねたとき、居留守を使われ、「中でお待ちください」と言われて待っていたら、建造物侵入で告訴までされました。
【菅原一秀さんを直撃取材している映像が流れました。
菅原「あなたのは脅迫です」
エイト「有権者に説明しないんですか」
菅原「記者会見やりました」
エイト「あれで説明責任を果たしたとお思いですか」
菅原「思ってます」
エイト「(取材を)拒否をするなら議員を辞めてからにしてください。国会議員である以上、取材に答える義務があります」
菅原「取材じゃないでしょう。あなたのは取材じゃない。申し込みもないし」
エイト「取材じゃないなら、なんですか」
菅原「あなたのは、脅迫ですよ。取材という名のもとの嫌がらせじゃないですか」
エイト「じゃあ、あれは刑事告訴という名の嫌がらせですか」】
このあと菅原さんは、僕の本名(鈴木エイトはペンネーム)と住んでいるところを言って、「早く家に帰った方がいいよ」と、脅迫めいたアドバイスを言ってくれて、非常に菅原さんとは丁々発止やってきた仲なんです。
■殺害予告
青年信者を選挙運動員として政治家へ斡旋する会合があるとの情報を得て、現地へ行ったところ、北村さんの演説会場を仕切っていた関係者がいました。
その人から僕は「あの隠し撮り野郎か」と言われました。そして「私にそっくりな知り合いが、『今度会ったら、ぶっ殺す』と言っていました」と言うので、「あなたが僕のことを殺すんですか」と訊いたら、「私にそっくりの知り合い」だと言い張るので、本当に別人なのかなと思って調べると、ネクタイもスマホもケースも一緒で、顎の形も一緒なんです。
だから、僕はこの人本人から、殺害予告を受けたということになる。
■教団と安倍元首相の関係を埋めるピース
教団と政治家の関係は、まだまだ疑惑解明のピースを埋める作業の段階だと思っています。いくつもの謎が残っています。
とくに、安倍晋三さんがどう変節していったかです。世界戦略総合研究所という教団の古参幹部がやっている関連団体があり、ここが2012年の自民党総裁選で安倍さんを支援したことがわかっています。ここの事務局長が「桜を見る会」に毎年招待されていました。
これが、ピースを埋める存在ではないかと見ています。ただ政治家ルートとしては、まだピースが足りない状況です。
■教団のダブルスタンダード
教団はUNITEを使って、安倍政権を支持する活動をさせておきながら、一方で2世信者を韓国へ派遣して安倍政権に謝罪を迫ることもさせています。
このことを記事に書いた途端、削除しろという仮処分申請をされました。
■大規模なサミット
2020年代に入りますと、韓国で統一教会が大規模なサミットを開き、トランプ(アメリカ大統領)、文在寅(韓国大統領)、金正恩(北朝鮮最高指導者)から祝電や映像が届きました。
韓鶴子からメダルをもらってるのは、潘基文・元国連事務総長 です。この人は教団から鮮鶴平和賞として、5000万円をもらってます。教団の関連団体であるUPFや世界平和女性連合は国連NGOの資格を持っていますが、そんな団体が国連NGOの資格を取れるのは、ここに理由があると、僕は見ています。
統一教会のサミットには、日本の国会議員、元参院議長、元防衛庁長官も参加しています。去年(2022年)6月にも、議員会館で「日本・世界平和議員連合懇談会」があり、勝共連合の会長と細田さんを含めた自民党の国会議員30人ぐらいが参加しています。
■統一教会の国会議員を育て上げる戦略
統一教会は、地方議員から国会議員を育て上げる戦略です。後援会を作ってあげて、運動員 を派遣し、選挙応援をする、党員も補助する。そういうこともぬけぬけとやっています。
こやり隆史さんという滋賀県の参議院議員は、ツイッターに「世界平和連合の皆さんが隆和会という後援組織を立ち上げていただきました」と書いていました。
■書ける場がなくなる
2020年5月に、僕の記事をずっと載せてくれていた「ハーバービジネスオンライン」が配信停止になり、書く場所がなくなってしまいました。
以後、宗教団体と政治家の関係を書きたいと言っても、クレームが来るとかいろんな事情があったようで、なかなか書かせてくれるところはなかったんです。
そこで出版社に企画を持ち込んでみたり、ノンフィクションの賞にも応募しましたが、どこも通らず、汚れた関係性が問われないまま政界汚染が進んでいたというのが、ここ近年の状況でした。
そんなところに、一昨年(2021年)9月、安倍晋三さんがUPF総会へビデオメッセージを送り、韓鶴子総裁を礼賛したのを見て、ものすごい衝撃を受けました。
教団の内部文書や情報として、安倍さんが統一教会と深い関係を持っていることは知っていたので、そのこと自体については驚きはないんですが、安倍さんがこういうビデオの公開を許してしまったことに、僕は驚いたんです。
ただ、これはアーカイブを残さず、配信のみとの条件でしたので、安部さんが自分を広告塔にすることを了承したわけではありません。
けれども、これが拡散しても、自分や自民党の選挙、自分の政治生命になんの影響もないだろうと、安倍さんが高をくくったことに、僕はものすごい衝撃を受けました。
多くの元2世信者 たちは、これを見て「絶望を覚えた」と言っています。
■大新聞・テレビは無視
安倍さんの政治家としての「読み」は、実は正しかったんです。
このことを報じたのは、「しんぶん赤旗」「フライデー」「週刊ポスト」「実話BUNKA超タブー」の4誌だけでした。
「実話BUNKA超タブー」の巻頭4ページから5ページの記事は僕が書きました。「フライデー」も僕のコメントで構成していたので、2誌に僕が関わっていましたが、この4媒体だけなんです。主要な大手新聞、テレビ局はこのことを一切無視していました。
全国弁連は、安倍晋三さんに公開質問状を出しましたが、国会事務所は受け取り拒否をしています。
教団側は「アメリカ経由で安倍さんは依頼をOKした」と言っていますが、実際には勝共連合の会長(梶栗正義)が自分で依頼をしたと話しています。
この2人の接点を追うと、2010年8月に議員会館を訪ねたという資料が見つかりました。これが2人のファーストコンタクトで、この人の依頼によって安倍さんがビデオメッセージを送り、それが暗殺事件に繋がったという流れになります。
■消費される2世信者たち
勝共連合の憲法改正イベントが2009年11月にあったんですけど、2世たちが「共産主義の脅威に打ち勝ち」みたいなスピーチをしたり、「血の滾(たぎ)り をなんとか~」という勝共応援歌を歌うなどしています。
今、普通の大学生は、こんな思想を持っていません。だから、どれだけ歪んだ、偏った思想を幼少期から植え付けられてきたのか。
こういう2世信者たちの現状を見てもらいたい。
■反ジェンダーの策動、バックラッシュ
教団が、東西冷戦後、どうやって保守の政治家に近づいていったかというと、ジェンダーは文化共産主義だということで、反ジェンダーの策動を始めました。宗教右派による反ジェンダーの策動は、統一教会に限らず、日本会議、神社本庁、神道政治連盟などもやってはいます。
ただ、こういう議論が起こる中で、宗教団体による政治活動は政教分離に反するのではないかと言われますが、別に政教分離は宗教団体の政治活動を制限するものではありません。
統一教会の問題は、反社会的な活動をしている団体が、政界に進捗しているという問題です。さらに、政治家がそういう特定の団体に便宜を与えてきたのではないかという問題なんです。だから、規制されるべきなんです。
■疑惑の政治家とのツーショット
事件後にいろいろな情報拡散をする中で、岸田さん(首相)と教団関係者のツーショット写真を押さえていたので、僕はツイッターで公開したんです。
【岸田首相と男性の写真】ただ、これは「選挙運動期間中に、屋外でこういう写真のツーショットを求められて撮ることはよくあることなので、別に問題ありません」という意味で出したんですが、「岸田首相は統一教会関係者とズブズブだ」と拡散してしまって、非常に申し訳ないなと思いまして、「疑惑の人物とのツーショットは別に問題ない」という意味で、僕もそういう写真を公開しました。
【下村博文さんと鈴木エイトさんのツーショット】
たまたま去年の参院選のとき、安倍さんの事件直前に取材中、下村さんに会ったので、「2015年の教団名変更のときにいろいろ書かれて大変でしたね」と声をかけたら、「そうなんだよ、いろいろ書かれちゃってさ」と言うので、「あれ書いたの、僕なんですよ」と言ったら、「今度変なこと書いたら、訴えるよ」と言われました。
さらに、疑惑の政治家とのツーショットです。
【菅原一秀さんとの鈴木エイトさんのツーショット】
今年の3月に、僕は菅原一秀さんの地元に住んでいるので、たまたま、駅前にいたら、菅原一秀さんのほうから僕を見つけて、「お!テレビで有名人」と声をかけてくれました。そこで、撮った写真です。これをTwitterで公開したところ、それまでの経緯を知っている人から、「これはすごい」と言われたりしました。
■安倍元首相銃撃事件で潮目が変わった
昨年7月の事件で、いろんな潮目が変わったと思います。
安倍晋三さんの銃撃事件は痛ましい事件ですけれど、これによって教団の悪質性、金銭被害、家庭崩壊、2世問題、それから政治家との関係とか、地方での暗躍などが報じられました。その結果、「こんなことがあったのか」と多くの方が知って衝撃を受けたと思います。
一般メディアがずっと報じてこなかったことによって、教団は体制による保護を受け続けてきました。政権への監視機能が働いていなかったわけです。
2006年以前は、メディアも、統一教会のイベントに祝電を打ったとか政治家が教団の関連団体に年会費数万円を支払ったというレベルでも、ちゃんと取材をして、それに対して政治家が弁明に追われていました。
しかし、以後は一部のメディアを除いて、ほとんど報道されなくなりました。
統一教会に限らず、こういう団体のことを報じると、執拗なクレームが来るんです。だから、面倒だとメディアが自主規制をしてきた側面があります。
ニュースバリュー、ネームバリューのある事件があれば、そっちを報じようという、そういう配慮もあったんじゃないか。そういう意味での自主規制によって、「空白の30年」が生まれたと思います。
それが、昨年の事件を機に、こういう重大な問題をなんで自分たちは見逃していたのかと、多くのメディア関係者が思ってくれたようで、この1年は、ちゃんとした報道がなされていると思います。全然しないメディアもありますが。
■銃撃事件直後の報道
安倍さんの事件後のメディア報道を見ます。
事件は7月8日でした。最初は「ある団体への恨み」と報じられ、20時30分に「ある特定の宗教団体への恨み」となり、21時30分に、県警の捜査一課長が「特定の団体に恨みがあり、安倍元首相がこれと繋がりがあると思い込んで、犯行に及んだ」と発表しました。
選挙期間中ということもあってか、教団名は報じられませんでした。その結果、安倍さんの弔い戦みたいな形になってしまいました。
でも、7月9日の23時22分に、講談社のWEBの「現代ビジネス」が、「安倍元首相を撃った山上徹也が供述した、宗教団体「統一教会」の名前」と報じました。
10日6時には、「SmartFLASH」が「安倍元首相銃撃の山上容疑者 優等生バスケ少年を変えた統一教会で家庭崩壊」と報じていました。
10日が参院選の投開票日で、その翌日の11日、教団が京王プラザホテルで最初の会見を開いて以降、大手メディアも各社一斉に、教団名を報じるようになります。
教団は、政治家の情報を手に入れていますし、メディアもコントロールしている状況がありました。
その会見で教団は、メディアを選別して、僕たちフリーランスは入れてもらえませんでした。そういう状況になるのは分かっていたので、京王プラザホテル側と交渉して、会見が終わった後に、その会見場に入れてもらって、「さっきまで教団が話していた内容は全部嘘っぱちですよ」という会見返しをやりました。
当時のメディア報道にはかなり懸念を抱きました。一部のコメンテーターが相当的外れの発言をしていました。それは、ここ直近10年の統一教会と政治家の関係をリアルタイムで追っていて、それを語れる人が誰もいなかったからです。
安倍さんは、祖父の岸信介氏のときから教団と関係があるんですけど、そこから一気にビデオメッセージに飛んでしまい、その間の10年がまったく語られないまま、憶測による変な形で実像が伝わってしまいました。
僕に対しても、メディアからデータ提供の依頼があったので、それには順次応じていましたが、僕自身を使おうというメディアは最初はありませんでした。
そこで、自分で自分を売り込むことにし、ツイッターで「鈴木エイトを出せ」というハッシュタグを作って、「この10年の教団と政治家の関係を語れるのは自分しかいない」と、あえて自分を売り込みました。
これは、自分を売り出したいということではなく、ちゃんとした情報を伝えないとまずいということで、やりました。
次第にインタビューや生放送の依頼もきました。郷原信郎弁護士のYouTubeチャンネルに出たことがきっかけでした。
名前にカタカナ(エイト)が入っていることもあり、うさんくさいやつではないかとか、突撃系のYouTuberではないかとか、テレビの生放送に出したらいきなり放送禁止用語を叫ぶのではないかとか、最初は警戒されていたようです。
それでも、ちゃんと話せる人間だと評価していただき、いろいろな番組に出させてもらうようになりました。特に「ミヤネ屋」とか「サンデー・ジャポン」などは継続してやってくれて、非常にありがたいと思っています。
■安倍元首相にすべてを押し付ける動き
いろいろな動きがあるなか、亡くなった安倍晋三さんにすべてを押し付ける言動をする政治家がいます。
本来であれば、なぜ安倍さんが殺されるに至ったのかを調べるべきなんですが、そうではなく、「あれは安部案件」だとして、おしまいにしたい人たちがいます。
安倍さんは、かわいそうなことに、韓鶴子をリスペクトする人間として、亡くなったあとも教団に利用されています。
昨年12月の「不当寄付勧誘防止法」成立で、厚労省は「宗教的虐待に関するQ&A」を出し、被害者救済と2世問題については、まだまだ不十分ではあるんですが、一応の目処はつきました。
ただ政界とカルト教団の関係、統一教会との関係については、まだまだ何も進んでいません。
実際に教団の内部文書を見ると、関連団体ではなく、教団本体がいろいろと政治に関わろうとしていることが分かります。
2016年に作成された内部資料では、現在(2013から15年)に連携している議員が、国会議員150人、地方議員800人、国会議員150、そのうち「食口(信者)」議員は44人で、後援会結成国会議員は76人とありました。
こういうことが全く解明されていません。
■政治家への追及
自民党は、簡単な国会議員への「自主点検」で終わりにしています。統一地方選挙でも、争点になったとは言えない状況で、多くの信者議員、関係議員が当選しています。
山際大志郎や山本朋広議員など中堅議員は、たまたま閣僚だったということと、発言が面白かった、リアクションが面白かったということで、メディアは追いかけましたが、本来であれば、そこで終わるのではなく、こういう人たちを教団のイベントに派遣していた大物政治家を追及すべきなんです。
■萩生田光一さんの「人違い説」
その大物政治家のひとり、萩生田光一さんは、事件後も教団施設へ行き、また市議会議員時代から教団施設へ通っていたと証言する人もいます。
ところが萩生田さんが最近何を言ってるかというと、「教団施設に通っていたのは自分ではなく、人違いなんだ」と言っています。自分そっくりの市議会議員がいて、その人と間違えていると本気で言ってるんです。「そのことをメディア関係者もご存知のはずなんですけど」とも言っています。
多分、自分の周りの政治部の番記者を押えているんですね。番記者は政治家を追及するのではなく、政治家からいかに情報を引き出すか、情報をもらうかという関係なので、そこにはジャーナリズムはないんです。
「報道特集」でもやっていましたが、教団の内部文書に萩生田さんの名前があります。
僕は萩生田光一さんが「人違い説」を展開していた「文藝春秋」のWebメディアにチャットで入れてもらい、萩生田さんに生で質問を投げました。
■自民党の簡単な自主点検
自民党は、簡単な自主点検と、救済法成立で幕引きを図りたいんです。
昨年の自民党本部の現職の国会議員に対する「点検」ですが、よく見ると、最初に「党としての組織的関係がないことは確認済みであります」とあります。最初から足かせをしています。
点検項目8項目のなかで、一番重いものでも「選挙支援」なんです。本来、「信者の秘書を使っているか」とか、「政策決定の影響はあるか」とか、「誰の指示で教団イベントに参加をしたのか」とかを質問すべきなのに、全く聞いていません。
朝日新聞神戸支局が襲撃された「赤報隊事件」の兵庫県警の資料のなかには、「自民党本部職員で10人前後の勝共連合メンバーがいる」とあります。
こういうことも含め、まったく調べていません。メディアも追及していません。
■信者が自民党議員の秘書に
教団の2世信者のSNSにあった資料には、「ある衆議院議員の方が秘書を募集しているとのことです。(UCの方ではないとのこと)」とあります。
「UC」というのは統一教会のことです。
さらに、「現在衆議院議員の秘書をしている方(食口の青年)がおりまして、その秘書の方から少し経由して、連絡が入っております。」これだけで、秘書に信者がいることが分かります。
「情報によると、議員は体育会系の方(UCではない)」と、わざわざこの秘書を募集している国会議員が統一教会の信者ではないと言っています。ということは、国会議員のなかにも信者がいるということがうかがえます。
こういうことを含めて、昨年の自民党の調査はあれで十分なんですか、ちゃんとした第三者委員会など調査必要じゃないんですか、勝共連合のメンバーが10人自民党本部にいるという資料ご存知ですか」と茂木幹事長に質問したところ、「ガバナンスコードに則り、適切に対応しているところです。貴殿が入手されたとする兵庫県警本部作成の資料なるものは、その有無も含めて把握しておりません」という回答が返ってきました。
回答があっただけ、実はマシなんです。僕は二階幹事長時代に何通も質問書を送りましたが、1回も返事が来たことがありません。
僕がある程度有名になったことによって無視できなくなり、一応、返事は返してくれるようにはなりました。
最初、「FAXを送りたいので、FAX番号教えてください」と自民党の党本部に電話をしたら、郵送してくれと言われたので、アナログだなと思いながら送りました。
■統一教会から政治家へお金がどれだけ渡ったのか
実際に、まだ解明されてないことのひとつに、政治家にどれだけお金が渡っているのか。
統一教会の内部資料を見ると、「対策費」であるとか「PRチーム」(政治家の渉外)の予算として、教団内部に記されている予算額と、現在、政治家と統一教会関連で発覚している金額の桁が全く違うんです
トランプ(前大統領)やマイク・ペンス(前副大統領)が教団イベントに参加しているんですが、アメリカのメディアは、トランプに2.7億円、ペンスに6000万円、教団から支払われていると政治家側の収支報告書に載っていると報道しています。
日本では、鳩山由紀夫さんが首相時代に、教団イベントに出てくれと依頼を受けたと報道されました。僕が鳩山さんに取材したところでは、「断ったところ、『いくらでも出す』と言われた」そうです。
もうひとりの元首相の福田康夫さんも、「5年ほど前に出席依頼があったが拒否した」と朝日新聞の取材に答えています。実は、福田さんが2021年の教団イベントにブッキングされたという情報があり、僕は福田さんに取材したんですが、ご本人の事務所から「その教団からの接触は一切ありません、知りません、何もありません」というような返事でした。でも、朝日に対しては、「出席依頼があったが拒否した」と答えているわけです。
■過去の検証なしに関係は断てない
岸田首相は、統一教会との関係について「大事なことは未来へ向かって関係を断つこと」と言っていますが、ずるいなと思います。
この数十年の間、統一教会との関係はどういうものだったのか、現在はどうなのかということを検証しないまま、先の話しかしない。過去の検証をしないまま関係を断つことは不可能だと思います。
自民党は、都道府県連に通知してガバナンスコードを徹底していると言っていますが、昨年の簡単な点検も現職の人だけで、党籍を一時的に離れている細田さんや、亡くなった安倍さん、そして元議員たちに対しての調査を全くしていません。本当に形だけのものです。
容易に切れる関係なんて、また容易に戻ってしまうものだと思います。
地方議員のなかには、現役の2世信者議員、1世信者の議員もいますし、先日の統一地方選では、陣営内に教団関係者がいたことを確認しています。
ある地区の候補者の陣営に、統一教会関係者がいることを僕は押さえていて、その人が最終日に握手してまわっているとき、一番うしろに立っていて、順番がきたら「陣営に◯◯さん、いますよね」と言った途端に、驚愕の表情を浮かべて逃げていきましたけど。
統一地方選挙では、静岡県の県議に信者が無投票で当選しています。三重県では初出馬して当選した女性が統一教会関係者でした。愛知県碧南市の市長は、合同結婚式を受けていることが発覚しています。
■教団の伝道数がどうなっているか。
今年1月の関東地区の伝道出発式の内部資料を入手したところ、「40日路程」とありまして、ポイント制になっていて、伝道数上位を達成した人に対しては、「田中会長との食事会に参加」できるそうです。
伝道結果なんですが、「事件前と比較して同じぐらいの結果になっている」とあり、昨年12月の時点で、事件前の水準に戻ったと報告しています。
■統一教会はどうやってお金集めているか
「先祖解怨」は継続してやっています。ディスカウントしてるという話もありますが、430代全部の先祖解怨をすると、1000万円以上かかると言われています。
今、教団は「韓国に送金をしてない、今後もしない」と、表向きは言っていますが、実際には修練会は途切れなくスケジュールが決められていて、その修練会で韓国へ行くときに、お金を運ばせようとしているとの内部情報もあります。
韓国の宗教法人は別に設定してあるんですけど、「そこに収められるお金は、日本の法人とは無関係です」みたいなことも言っていますので、日本の法人にいくら規制をかけても、直接韓国に納められてしまう。被害はなくならないと思います
教団側は、この1年で反省したかというと、まったく反省をせず開き直ってます。
謝罪も賠償もせず、被害弁護団からの交渉にもまったく応じていません。
さらに、自分たちは偏向報道による被害者だとも言っています。
■解散命令請求はあるのか
これまで7回、質問権が行使されました。教団からの回答はどんどん少なくなっています。
ただ、文化庁はものすごくがんばって、証拠集めをして資料も揃えています。
宗教法人の解散命令請求に関しては、確定までに2年から4年ぐらいかかると見られています。組織性、悪質性、継続性が争点となりますが、教団側は「それはない」と言い張って、いろんなメディアに働きかけもしているようですが、教団がどういうことをやってきたかは、多くの国民の方々がご存知だと思うので、国としてはちゃんとした判断をしてほしいと思います。
ただ、解散命令請求に関しては、命令が出ても、法人格がなくなるだけで団体としては存続します。信教の自由を侵害するものではなく、税制上の優遇措置などがなくなり、法人としての不動産所有ができなくなるわけです。
問題なのは、宗教法人法には会社法にあるような、財産保全の項目がないんです。
多分、高裁で命令が出た段階で効力が始まるんですが、そのときに清算人がついて債権者に賠償する段階になっても、すでに財産を海外へ持って行ったり、関連の団体へ移している可能性が高い。
解散命令請求と同時に、財産保全の法整備が必要になると思います。
■教団の抵抗
教団は、著作権の侵害であるとか、地方議会を提訴したりしています。
以前は、教団が関連団体や信者個人に訴えさせていたんですが、直近では北九州市を教団自体が訴えたり、全国弁連に対して世界平和女性連合が名誉毀損で訴えるなど、全面戦争になりかけているところであります。
最近では、「鈴木エイトへのネガキャン」をしています。僕に対しての悪口を言いまくっているんです。「2017年から鈴木エイトはフェイクニュースを流す人間だ」とか、「ハゲタカジャーナリスト鈴木エイト」という内部文書もあります。
「0801対策案」というんですが、「0801」が僕(エイト)のことらしい。僕がイベントに来たらどういう対処をするかということが書かれています。
最近は、僕だけでなく、全国弁連や、統一教会2世の小川さゆりさんに対するネガキャンも非常にひどいものになってます。
統一教会の直近のプレスリリースを見ると、半分ぐらいが僕に対することです。今月の6日には、僕をテーマにしたシンポジウムなんかも開いているようです。
■宗教と政治の問題ではなく、宗教カルトと政治の問題
統一教会の問題は、「宗教と政治」ではなく、「宗教カルトと政治」の問題です。
統一教会という反社会的な団体と政治家は関わってはならないという問題だと思います。
そういう団体をどうやって規制し、被害を防ぎ、救済をしていくのか。これが政治家の役割であると思うんですけれども、そういう教団と取引をして、体制保護に寄与してきた政治家が少なからずいます。
僕の本の3倍ぐらい売れている『安倍晋三回顧録』には、統一教会は一切出てこないんです。安倍さんは教団との関係を軽視していたわけですが、それは被害者無視でもあり、それがまわりまわって、自身の命を奪われるという酷い事件が起こった一因になったと、僕は見ています。
■メディア報道
勇気ある告発をした人をいかに守っていくかが大事です。
小川さゆりさんへの攻撃も、どうやって告発者を守っていくか、ちゃんとやらないといけない。これはジャニーズ問題も同じです。
カルト問題は、イコール差別問題であると思っています。現役の信者2世信者たちも被害者ですので、そういう人への差別も起こらないようにしなければいけません。
■次世代への教訓
オウム真理教事件の後に、省庁連絡会議と研究会ができて、総括報告書が作られています。その中には、これが「宗教の問題ではなくカルトの問題である」「人権問題」「犯罪問題」「消費者経済問題」とあり、「脱会者のケア」であるとか、「その次の世代への啓発」であるともしっかり書いてあるんですが、統括報告書は、国立公文書館に仕舞い込まれていて、まったく生かされてなかったんです。
次世代にちゃんと教訓を伝えるためにも、今回の安倍晋三さん銃撃事件に至るまでの、長年の教団と政界との関係をちゃんと調査すべきだと思います。
■韓鶴子総裁の反日発言とその理由
直近だと韓鶴子発言の「岸田を呼べ」発言がありました。
「今日の日本の政治家たちは、統一教会に対して何たる仕打ちなの? 家庭連合を迫害しているじゃない。政治家たち、岸田をここに呼びつけて、教育を受けさせなさい。分かっているわね。日本の政治はどうなる? 滅びるしかない」
と言ったそうです。
今、完全に韓鶴子教団になっています。韓国の本部にある石像は、真ん中にいるのが韓鶴子総裁なんですが、その周囲にいて、手を合わせているのが、文鮮明なんです。世界の偉人に対するのと同じぐらいに、韓鶴子総裁にかしずく存在なんです。
さっきの発言も、韓鶴子の資金難による苛立ちからです。三男派との裁判に負けたことによって、1000億円ぐらいの負債を背負っていると言われています。
日本からの表向きの送金が止まっている状況で、優良な不動産を処分しているとの話もあり、手を変え形を変えて日本から金銭を収奪しないと、成り立っていかないので、今後も被害が起こりうると思います
日本の解散命令請求の動きにも、焦りを持っていると思います
■政界カルト汚染の全容解明
安倍さんの事件から1年の間に、僕が現地へ取材に行ったところ、安倍さんの支持者だと思うんですが、「こんなのが来てる、帰れ」と言われたことがあります。
僕のスタンスを、おそらく分かっていないと思います。自民党が嫌いとか、安倍さんが嫌いなわけではないんです。
要は、政策決定にどの程度、教団の関与があったのか、民主主義がいかに歪められてきたのか、これをちゃんと調査をすべきだと思います。
アメリカでは70年代に、下院議会にフレイザー委員会が作られ、韓国の政府とKCIAが統一教会を使ってどのようにアメリカの政界工作をしたかを調査し、フレイザー文書トとしてまとめました。
日本も、そのようなものを作り、調査をすべきだと思います。
カルト団体との癒着関係を解消して健全な政治活動ができるかどうか。
今後、政界カルト汚染の全容解明が必要です。
■山上徹也被告の裁判
山上徹也被告の公判に関しては、前代未聞の裁判になると思っています。
彼の動機面、安倍晋三さんを狙ったことが、加重 要件となるか、情状減軽(酌量)となるかどうかです。
通常であれば、計画性があったので悪質性があると捉えられると思うんですけども、彼がそう思うに至った、そこまでの流れまで、その動機面を的確に裁判員に担保したうえで、審議されるべきです。
■山上徹也被告からメッセージが来ていた
2冊目の本『自民党の統一教会汚染2 』と、直近の本『「山本徹也」とは何者だったのか』に書いたんですけど、彼と僕は実は事件前にやり取りをしています。
僕がそれを知ったのは今年1月だったんですが、彼から事件前に僕にメッセージが来ていたんです。そのメッセージの中で、彼が僕の記事をずっと読んでいたことが分かりました。
彼が安倍晋三さんを狙った経緯の中で、ビデオメッセージが最後のトリガーになったことは間違いなんですが、そこに至るまでに、彼は僕が書いた本から、安倍晋三という政治家と統一教会との関係性を、正確に把握していました。
ということは、僕の書いてきた記事の確度 が問われる事態になりました。僕は当然、事実、ファクトを追って書いてきたので、自分の書いてきた記事に自信を持っています。けれども、僕の書いた記事を彼が読んで、それが彼の動機面を形づくっているのであれば、僕はやっぱり責任を取らなければいけない。
僕の責任の取り方とは、この裁判に関わって、彼の動機面をちゃんと担保して裁判員に提示することだと思っています。
自分の記事を読んで、読者がどう判断してくれても構わないと思っていますが、少なくとも、事実を提示した上で判断してほしい。
読者に対して示しているのと同じように、裁判員に対しても、適切な情報を提示した上で、彼が自分の犯した罪の量刑判断を受けてほしいなと思っています。
僕はこのことも本で書いたんですが、統一教会系のメディアから「鈴木エイト、自著で被告への影響自慢」と書かれました。
■再発防止のために
再発防止のためには、事件を徹底検証する必要があります。
顕在化していない社会問題がまだまだあるんじゃないか。そこには、声を出せない社会的弱者がまだまだいるんじゃないか。それを汲むのは、政治家、そしてメディアの役割だと思います。
「思う壺論」があります。今年の4月に岸田さんを狙った爆破事件で、事件の背景を考えるのは、本人の思う壺だという論法がありましたが、取るに足らない論法だと思うので、相手にする必要はないと思っています。
■全体の構造
統一教会が政治家を一方的に利用し、取り入ってきただけではない。政治家側も統一教会を利用し、「共存・共栄」関係を築いてきた。それに、メディアの監視機能が働かず、エスカレートしていった。
安倍元首相のビデオメッセージ出演へと連なる両者の穢れた関係性が、山上徹也による銃弾で、広く社会に向けて可視化された。
本来は、教団の被害者がああいう事件を起こした、悲しい構造、悲劇を起こす前に、可視化されていなければならなかったと思います。
自分がこんなに有名にならなくてもよかったので、僕としては安倍さんが生きていて、生きている安倍さんを追及したかったと思っています。
■メディアの役割
今こそメディアはちゃんと矜持を見せてほしいと思います。
メディアは、国民の知る権利に応えてほしい。
僕が事件後に嬉しかったのは、情報を独占するつもりは一切なかったので、「ワンチーム」「チームジャパン」として大手メディアを含めて地方局もみんなで、この疑惑を追ってきたことを誇りに思っています。
■カルト教団との闘いを如何にして継続してきたか
自分がどういう意識でこのことを追ってきた かというと、別にそんなにストイックにやってきたわけではなく、ずっとおかしいと思ってきたことを愚直に追ってきただけなんです。
どこかに所属しているわけでもなく、給料をもらっているわけではないので、自分がおかしいと思っていたことだけを、追及 してこれました。
そのデータの蓄積、ファクターの重要性があるので、常に自分のモチベーションを高い位置に持っていきながら追ってこれました。
■主権者は国民
主権者は国民です。
最近、民意を反映していない政策、法律がどんどんできています。
政治家が、一部のコアな偏った支援者のことしか見ていないのではないか。
それは、投票率の低さも原因です。「自分が投票に行っても何も変わらない」と思っている人たちが、若い人を含めて多いんですけど、「あなたが行かないから変わらない」と。
今日、ここに来ていただいてる方は、政治への意識が高い方だと思いますが、もっと若い世代が関心を持ってほしい。
実は、政治とか選挙って面白いんですよね。もっと興味を持ってほしいなと思います。
■カルト的な構造による社会問題
宗教カルトだけでなく、政治系カルト、経済カルト、マルチとか、陰謀論とか、いろんなところに、カルト的な構造の問題があります。
皆さんには、そういうところにも興味を持っていただきたいと思います。
~質疑応答編に続く~