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NEW!!【活動報告】第39 回「政治の病、放っておけない!~いのちを守る政治の実現とは~」「講師:小池晃」講演編レポートを公開!

第39回は、日本共産党書記局長で参議院議員の小池晃さんを講師に、武蔵野公会堂で開催されました。
最初に、司会の武蔵野政治塾運営委員の松下玲子衆議院議員からの説明がありました。

松下玲子 衆議院議員
武蔵野政治塾は第39回を迎えます。今から3年3か月ほど前の年の10月10日が第1回で、吉祥寺で開催をいたしました。「どうしても野党を立て直したい」というタイトルでございまして、今日会場にもお越しいただいております菅直人さんに、講師としてご登壇もいただきました。
今日、最初の回の冒頭を改めて見てまいりましたが、事務局長の橘民義氏が「30年前も給料がずっと上がらない日本、これはやっぱり政治の責任であり、政治をもう一回考え直して、みんなで一緒に勉強する塾を立ち上げよう」と言って、武蔵野政治塾は始まった次第でございます。
数えて39回目。この間、さまざまなテーマで講師の先生をお招きして、会場の皆様とも議論をしてまいりました。少しでも日本の社会を良くしたい、国民生活をより良くしたいという思いで重ねてきた武蔵野政治塾ですが、3年3か月たって本当に良くなったかな、むしろ悪くなっていないかなという思いがしてなりません。
とくに昨年の10月に高市政権、自民維新政権が発足以来、戦後だと思っていた日本の社会が、気づいたら戦前だなんてことになりやしないかと、不安な気持ちを抱えていらっしゃる方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
私自身も国会の場で仕事をさせていただくなかで、国民生活をないがしろにして、物価高対策が最優先と言いながらも、物価高対策をそっちのけで、予算の審査も行なわずに、1月23日の通常国会冒頭にも解散をするという今の状況でございます。
すごいタイミングでの武蔵野政治塾の開催だなという思いがいたしておりますが、本日は日本共産党書記局長、参議院議員の小池晃さんをお招きしての講演会となります。
小池晃さんは1960年生まれ。東北大学医学部卒業後、内科医として地域医療に従事。実際の現場で感じた「命を守る」を原点に政治の道へ進む。1998年に参議院議員に初当選。医療、福祉、労働、平和、安全保障など暮らしに直結する課題に一貫して取り組む姿勢は、政党や思想の枠を超えて共感を集めていらっしゃいます。著書に「小池晃対話集 政治に希望はある」ほかがございます。

日本共産党書記局長・小池晃参議院議員の講演

本当にたくさんおいでいただきましてありがとうございます。
橘民義さんからは、時々、いろんなお話を聞いていまして、「武蔵野政治塾というのをやってるんで、一度来てくれないか」と言われました。塾というから、もっとこじんまりしたものかなと思ったら、こんな大々的なものだったので、大変緊張もしておりますが、よろしくお願いいたします。

■武蔵野があって、いまの自分がある

実は私は武蔵野とはかなり深いつながりがございます。1965年頃からずっと暮らしておりました。だいたい15年間ぐらいは緑町に住んでおりまして、武蔵野育ちと言っても過言ではないと思っています。
武蔵野中央幼稚園、大野田小学校、4中と、武蔵野の中心の学校に行きました。前の邑上市長と同じ幼稚園、小学校、中学校です。武蔵野があって今の私がある、今の私の原点を作ったのは武蔵野市だと思っております。
私が小学校の、たしか6年生の時だと思うんですが中学の時だったかもしれません。校舎の改築がありまして、1年間、アメリカンスクールを借りていたことがあります。そのアメリカンスクールは、日本の学校と比べて、遊具、ジャングルジムから何でも、桁違いに素晴らしいものでした。その時からアメリカ帝国主義に対するちょっと怒りというか、これでいいんだろうかという思いが芽生えたのかもしれません。
当時は後藤喜八郎さんが市長でして、「憲法手帳」が配られておりました。憲法は本当に大事なものだなということを、武蔵野市で学んだ気がいたします。
その後、東北大学医学部に進みまして、医者の道を歩み、消化器内科の医者を12年ほどやりました。別に医者の道に行き詰まって選挙に出たわけではないんですけれども、医療現場で働いていて、本当にこの国の政治を正さなければ、患者さんの命を守ることはできない、そんな思いになったところ、共産党が比例代表の候補者に、医者を出そうということになり、1998年に立候補し当選させていただきました。一回、東京選挙区に挑戦したんですが、これがなかなかうまくいかなくて、3年間お休みしたので、今年で25年目になります。
そういうわけで、「永田町、国会病院で政治の病気を治す」というのが私のスローガンでございます。
本当に懐かしい武蔵野市で、こういうお話ができて大変うれしく思っています。

■疑惑隠しの解散・総選挙

しかし、こんな情勢になるとはとても思っておりませんでした。解散総選挙です。国会開会と同時に冒頭解散すると言うんですね。27日公示で2月8日投票という日程でいくんだろうと思います。施政方針演説も代表質問も予算委員会も全部すっ飛ばして、総選挙という、無茶苦茶な話になっています。解散から投票まで16日間というのは史上最短だそうで、まともな政策論争をやりたくないということなんでしょう。在外投票もできないと聞いています。立候補予定者の説明会もやらないと聞いてます。参政権を侵害するようなやり方ではないかと言われています。
これは党利党略というよりは個利個略。高市早苗さんによる高市さんのための高市さんによる選挙だと言わなきゃいけない。
9日に一部メディア、読売が解散という情報を流して以来、高市さんはずっとだんまりで、一昨日、与党幹部に伝達したという時に、立ち止まってちょっとだけ答えただけです。まともに国民に一切説明をしてないで、解散権をもてあそんでいるんじゃないかと言わざるを得ないと思います。
解散は総理の専権事項と言いますが、憲法にはそんなことは規定していないわけです。「解散」の文字は憲法の中では7条と69条に出てきます。7条に何て書いてあるかというと、「天皇が内閣の助言と承認により衆議院を解散する」という、単に手続きを書いただけなんですね。
この間ずっと、この条に基づいて解散をやってるわけですけど、どういう時に解散するのかを規定しているのは69条なんです。「内閣不信任案を可決するか、不信任決議案を否決するか、この時に解散だ」と書いてあるわけで、本来はこれが解散の規定のはずなのに、もう主権者そっちのけにして解散権をもてあそんでいる。これは許されないんじゃないか。
しかも、こういう風に解散総選挙に逃げ込んでいる。まともな論戦をやらないのは行き詰まってるからと、疑惑隠しだと言わざるを得ません。物価対策にまともな手立てが打てていない。中国との関係悪化に打開の手立ても打てていない。しかも足元で疑惑が火を噴いております。自らの政治とカネの疑惑です。

■高市首相の違法献金と統一協会問題

日本共産党の山添拓参議院議員が参議院の予算委員会で、高市さんに「上限額を超える違法献金をあなたは受けているでしょう」と追及したら、高市さんは、「あれは自民党支部への献金であって、私への献金ではない」と言ったんです。
ところが、この6400万円が、支部から高市さん本人に渡っていたことが今明らかになっています。これを国会で追及しようと思っていたんですよ。ところが、逃げた。
それから、統一協会TM文書があります。TMとは「トゥルー・マザー」、「真の母」のことで、韓国にいる韓鶴子(ハン・ハクチャ)総裁に日本の協会の会長が送った文書のことです。
これを見ますと、自民党議員290人を統一協会が応援したとはっきり書いてある。高市さんは32回も名前が出てきます。私も読みましたが、「自民党総裁選挙の時に、高市氏が自民党総裁になることが天の最大の願いだ」と書いてある。この時の総裁選では、高市さんは総裁にならなかったんですけど、そういうことが書いてある。
萩生田光一さんのところが一番分厚く、いろんなことが書いてあります。萩生田さんは、「常に安倍元首相を私たちにつなげてくれた仲介者だ」とあります。安倍さんが統一協会のいろんな集会で挨拶した、そういったことを全部つないだのは萩生田さんだと、はっきり書いてある。
これから沖縄の名護、辺野古のあるところで市長選挙があります。翁長久美子さんという素晴らしい候補者を擁立し、オール沖縄で闘います。2018年の名護市長選挙の時、統一協会は自民・公明・維新が推薦していた渡具知(とぐち)さんという現市長を支援していたと書いてあり、それが生々しいんです。九州地方の若者の信者を現地に動員して件の電話をかけました。こんなことが書いてあるんですね。
23日に国会が始まったら、こういった問題が徹底追及されたら重大なことになるということで、疑惑隠しに走ったのではないかと言われても仕方ない。
内政でも外交でも論戦を恐れて、うわべの支持率を頼りに窮地に追い込まれる前に選挙で逃げ切ろうという、よこしまな企みです。
ですから、主権者、国民が審判を下す、そういう選挙にしなければならないと思っておりますので、ぜひ力を合わせていきたい。

■消費税し一律5パーセントに減税

具体的な課題で言うと、やっぱり暮らしの問題からお話をしたい。
物価高問題に対しては、消費税は廃止を目指し、直ちに一律に5パーセントに減税しようと言っています。食料品だけでもという声もありますが、上がっているのは食料品だけではない。すべて上がってます。光熱費も携帯の料金も何でも値上がりしている。だからすべてを一律5パーセントにする。そして、廃止を目指していきたいと。
一律5パーセントにすれば、複数税率だからという理由で導入されたインボイスの撤廃も、口実がなくなるのでやっていけるだろうと思います。
消費税を5パーセントに減税すると、平均で、年間だと約12万円の減税になります。手取りが増えるんです。しかもこれは所得税、住民税を払っていない方にも回っていくわけですから、一番効果的です。
実はコロナ危機以来、消費税・付加価値税の減税は世界各国に広がっております。世界で116の国と地域で、何らかの形で消費税・付加価値税の減税をやっています。これが景気対策としても、物価対策としても有効だということだと思います。
先の参議院選挙では、消費税減税あるいは廃止を求める議員が割以上当選しているわけです。今の参議院の割、64%が、そう言っていた人たちなんです。ところが、選挙が終わったら、国民民主党も維新も参政党も、あんまり言わなくなってしまっている。これには「公約を守れ」という声を上げていかなければいけないと思うんですね。
高市さんだって、自民党総裁選挙の時には、「食料品の消費税率ゼロ」と言っていたのに、国会で追及されたら、「恒久財源があるならば、私もやりたいと思っていた」と言う。
私は石破さんの時に予算委員会で、恒久財源の問題を取り上げました。「大企業の減税をさんざんやってきた。それで賃金上がりましたか。設備投資は増えましたか、内部留保が増えただけじゃないんですか」と言ったんです。そしたら石破さんは何と言ったか。「小池さんのご指摘のように、法人税を下げたことが、決して思ったような効果を上げなかった。深い反省のもとに、これから先、法人税改革に取り組んでまいりたい」と、「深い反省」とまで言ったんですよ。石破さんは、一応、いいことを言うだけは言うんですけど、あまりやらないんです。そういったやりとりもあったんですよ。
それならば、いま11兆円もの大企業向けの減税をやっているわけだから、それを見直せばいいではないかと思うんです。大企業にむちゃな負担を求めろと言っているわけじゃない。負担能力はあるはずだと言っている。巨額の内部留保や役員報酬に回っているんじゃないか、それを活用すべきではないかと思うんです。

■「1億円の壁」問題

それから、もうひとつのゆがみが所得税の「1億円の壁」なんです。これは日本共産党の大門実紀史(だいもんみきし)参議院議員が言い出したんですが、今や財務省も「1億円の壁」という言葉を使うようになりました。
これは所得が1億円を超えた途端に、所得税の負担率がだんだん下がっていく現象があるわけです。なぜ下がっていくのかというと、所得1億円を超えた方の所得の大半は金融所得なんです。株の譲渡益、あるいは配当益で、そこが20%の税率ですから、こうなってしまう。だから、この「1億円の壁」を何とかしようじゃないかと、さんざん言ってきて、予算委員会では加藤財務大臣に質問したら「これを20億円、30億円で見直すようにします」と言うんです。
「ちょっと待ってください、1億円の壁なのに、なんで30億円なんですか。所得30億円以上の人は何人いるんですか」と訊くと、「200人から300人程度でございます」との答えです。そして、所得1億円以上の人は何人いるんですか」と言ったら、「2万8400人でございます」。
所得1億円以上の人が2万8400人もいるんですね。今日、この会場の中にもかなりいらっしゃるのではないかという気もしないでもないですけれども。
「2万8400人のうち200、300人しか見直さないっていうのはどうかしているんじゃないか」と言ったら、今度は「6億円で見直す」と言い出したんです。そこで、「6億円だと何人です」と財務省に聞いたら、「2000人」だと言うんです。もう、ちまちましたことやらないで、きちんとやったらどうですか。こういったことで財源を作れるじゃないかと、まず言いたい。
それからもうひとつ、経済の問題でどうしても言いたいのは、物価が上がっているにもかかわらず賃金が上がらないことです。
何でこんな事態になってるのか。今、多くの企業が黒字なのにリストラをする。黒字リストラがはびこっております。これは11月の予算委員会で、私が取り上げたんですが、早期希望退職を募集した昨年、企業の7割は黒字なんです。たとえばパナソニック・ホールディングスは1万人のリストラをやりました。副社長は「何でリストラしたのか」と訊かれて「株価が通信簿だからだ」と言いました。株価を上げるためだとあけすけに言っているわけです。株価を上げるためにリストラをすれば、短期の利益は上がりますよ。株主は大儲けするでしょう。しかし、国民の暮らしが疲弊したら、企業の活動だって衰退していくんじゃないか。
それから株価をつり上げるために自分の会社の株を買い戻す「自社株買い」が、いま広がっている。本来これは労働者の賃金や下請けに回すべきお金です。「自社株買い」は、以前は禁止されておりました。しかし、小泉・竹中改革で解禁されて、いま急速に広がっています。
こういう形で何が起こっているか。この間、大企業の利益は、「失われた30年」と言われる30年間で純利益16倍になっています。株主への配当は10倍になっています。内部留保は3.5倍です。ところが、賃金は1.1倍なんです。物価の上昇がありますから、実質賃金はマイナスになっているわけです。
これが失われた30年です。予算委員会で、「これはまさに搾取ではありませんか」と言いました。私も25年、国会議員をやってますが、「搾取」という言葉を使ったのは初めてでした。
こけに高市さんが何と答えるかなと思ったら、これには触れませんでしたね。触れられないんだと思います。「搾取だ」と言ったら大変なことになります。搾取ではない」とも言えないんだろうと思うんです。
大金持ちの株主や大株主がもっと金持ちになる。その一方で、労働者の賃金が上がらない。儲けている大企業はもっと儲けるようになる。しかし、中小企業は疲弊する。倒産が相次ぐ。これでいいんだろうかと、言いたい。
一部の株主の利益のために国民の雇用、賃金を犠牲にすることをやっていたら、日本の経済はますます疲弊してしまうのではないか。

■過労死が蔓延している

大企業が儲けた分は労働者の賃上げと労働時間の短縮に回す。下請けいじめをやめて適正な代金を払う。これが必要だ。ところが、高市さんは労働時間の規制緩和、つまりもっと長時間労働をさせろと言い出して、いま検討しているわけですね。
長時間労働のもとで何が起こっているか。まさに過労死が蔓延している。2014年に過労死防止法が作られましたが、過労死は後を絶ちません。過労死等での労災認定件数、この5年間、増え続けています。2024年度は1304件と過去最多になっています。
過労で亡くなるところまでいかなくても、労災認定でこれだけでも増えていて、とくに精神障害、メンタルヘルスの障害の方が増えています。
そもそも日本のフルタイム労働者の労働時間は、ヨーロッパの主な国と比べて年間300時間も長い。8時間労働だとしても、通勤時間、休憩時間を含めれば、10時間を超えます。さらに、残業、休日出勤、サービス残業という違法、脱法行為が広がっている。
労働時間を短縮して、十分な睡眠はもちろん、余暇や趣味を楽しんで、豊かな教養を育んで社会活動に取り組むことは、働く人の大切な要求だと思います。男女がともに家事や育児、介護ケアを分かち合える社会にする。そのためにも労働時間を短縮していく。
ところが、賃上げせずに労働時間を延ばすという、ますます搾取しようというのが今の日本の政治になっているんじゃないか。
私たちとしては、大企業言いなりの政治をやめ、搾取をやめて、もっと自由に使える時間をという、マルクスが「資本論」で呼びかけたような中身を、この日本でも実現していくことが必要ではないかと思っております。
そういったことを、総選挙になった場合には正面から訴える。そういう選挙にしていきたいと思っています。

■ベネズエラ問題 トランプ政権は国連憲章違反

いま、世界でいっぱいいろんなことが起きています。
先日、時事通信社の新年会がありまして、行ってきました。時事通信社の社長も、日本新聞協会会長の朝日新聞社の中村会長もみんな、ベネズエラの問題を語り、新年早々大変なことになったと言っていました。
オールドメディアと言われますが、こうした事態をきちんと報道していくことが必要だという、そう話していたのに、高市さんは国際情勢についてひとことも触れなかったんです。ちょっとびっくりいたしました。
トランプ政権がやったことは、どこから見ても国連憲章違反です。国連憲章は、武力行使も、武力による威嚇も禁止している。アメリカはベネズエラから攻撃されているわけでもないし、国連決議もないわけです。どう考えてもあり得ない話です。
日本共産党は2017年にマドゥロ政権が反対勢力を抑圧した、人権を蹂躙したことを厳しく批判をいたしました。民主主義を回復しようと強く求めました。2018年には大統領選挙をやりましたが、反対勢力を排除した選挙でしたので、もはや政権としての正統性が疑われると指摘をしました。しかし、だからと言って、いかにひどい政権だからといって、武力を使って他国の政治指導者を拉致して、自分の国に連れていって裁判にかけるなんてことが、認められるはずがない。拘束者を解放し、侵略を中止すべきです。
問題は、何でアメリカは、こんな暴挙に出たか。去年の12月にアメリカの国家安全保障戦略というのが出されまして、中南米を含む西半球はアメリカの勢力圏だとしたんです。トランプさんは今回の軍事行動をこの戦略の実行の一環だと言いました。南北のアメリカ大陸をいわば自分たちの縄張りだと見なし、モンロー主義というのがありますけれども、トランプさん自身が「ドンロー主義」だと言っているわけです。まさに力による支配です。
もはや、国際的な秩序を一顧だにしない。意に沿わない政権を力ずくで排除する。まさに覇権主義というか、もはや帝国主義と言った方がいいかもしれない、力による現状変更だと思います。
こうした無法がまかり通れば、世界のどこであれ、ウクライナであれ、パレスチナであれ、東シナ海であれ、力による現状変更を批判できなくなってしまう。
国際平和に特別の責任を持ってる大国が世界のルールを無視して横暴すれば、世界は無法なジャングルになってしまいます。しかも、グリーンランドの領有ということまで言っている。先日、今回の事態が起きる前でしたが、デンマーク大使館へ行き、デンマーク大使と話す機会があったので、「アメリカがグリーンランドを領有するというような話がありますが、どのようにお考えですか」と大使に聞いたんです。大使はアメリカと名指しはしませんでしたが、「2つある」と言いました。ひとつは、「グリーンランドはデンマークの自治領である」。もうひとつは、「グリーンランドの将来はグリーンランドの人々が決めるべき問題だ」と。
そのとおりだと思います。
だから、世界中から批判の声が上がっている。ところが高市さんは、ロシアがウクライナを攻撃した際には、直ちに「明白な国際法違反だ」と言ったのに、ベネズエラ攻撃について一切の批判を、いまだやっていません。高市さんは「世界のどこであれ、力による現状変更は認めない」と繰り返し言ってきたわけです。それなのに、アメリカがやったことには何も言えない。本当に情けない、恥ずべき姿だと思います。
アメリカファーストと言い、「力の支配だ」と言っているアメリカに対し、「日米同盟は絶対だ、何があってもついていく」というのは、こんな危険なことはないんじゃないでしょうか。
だから、「アメリカ言いなり政治は本当に見直さなきければいけない」と言う時だと思います。アメリカに言われて、軍事費もGDPの2パーセント、さらに3パーセントと、そんなことも狙っている。来年度予算では、ついに9兆円を超えました。日本を守るものなのかと言うと、日本ではなく他国に打ち込むミサイルに9733億円です。辺野古新基地建設に過去最高の3373億円です。辺野古は埋め立てが16パーセントしかできていないのに、予算の予定額の9割を使ってしまった。もう周辺野古建設なんかできないですよ。
だいたい、造っても超軟弱地盤です。90メートルまで軟弱地盤なのに、日本の技術では70メートルまでしか、くいが打てない。だから、できたとしてもズルズルズルズル沈んでいく基地になると言われているわけです。
そういうなかで台湾有事発言が出たわけです。日本に対する武力攻撃がなくても、台湾有事になれば、間違いなく存立危機事態になるという発言です。これはどう考えても憲法に抵触することになるのではないか。
だって、「日本に対する武力攻撃がなくても、米軍を守るために自衛隊が中国に対する武力行使を行なうと、戦争を行なうことがあり得る」と言ったわけですから。これはやっぱり許されるものではないと思います。

■安保法制は危険である

いま、いろいろな議論がありますが、これは安保法制がやっぱり危険だと言うことの証明だと思うんです。
「存立危機事態」は、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある事態」です。ちょっとよくわからないんですけど、我が国が攻撃されていないのに我が国の存立が根底から覆されるというのは、考えられない話じゃないかと。我が国が攻撃されていないわけですから、そんな時に自衛隊が武力行使することが今の憲法で認められるわけがないと思うんです。
9条が改憲されているならともかく、改憲は許せませんけど、9条が変えられてもいない時に、政府が勝手に存立危機だなどと言って、他国の戦争に武力で介入するなんてことは許してはいけないと思うんです。
政府のその時の話ししだいで戦争ができる、そんなことが許されるわけがない。
ところがここからはちょっと辛いことを言いたいんですが、立憲民主党が安保法制の憲法判断を見直すとおっしゃった。安保法制強行の2015年から10年経って事態が変わったとおっしゃるんですが、10年前に違憲だったものが、10年経って合憲になるわけがありません。
これまで日本は解釈改憲を重ねてきたわけです。ずるずる解釈改憲をやってきたわけです。現実的な安全保障政策だなどと言って、既成事実化していくことはあってはならないと思うんです。
きょう記者会見をやりまして、立憲民主党と公明党の新党の問題について質問されましたので、「いま、新党がどういう政策を掲げるのかまだわからない。近々発表すると聞いているので、そこは注目していきたいと思っている」と言いました。
我々として注目しているのは、公明党は2015年に自民党と一緒になって安保法制を強行した政党であり、一方で、立憲民主党は私たちと一緒に、違憲だと言って反対した政党でした。その後10年間も、立憲主義を取り戻す、安保法制を廃止すると、いろいろな表現はありましたが、確認しながら選挙で協力してきた。その公明党と立憲民主党が、いったいどういう立場で合意をするんだろうかということです。それ以上のことは言いませんでした。そこは注視していきたい。月曜日に政策綱領が発表されるそうですから、そこをしっかりと見ていきたいなと思っています。

■高市発言の問題点

高市発言に戻ります。未だに、しがみついているわけです。これは許されないと思う。
日本共産党の立場を言います。私たちは、「中国による台湾に対する武力の行使、武力による威嚇、そしてアメリカに、あるいは日本による軍事介入にも反対だ」とはっきり言ってます。中国にも伝えています。
同時に「高市発言は、日中両国のこの間の確認、合意に反するものだ」とも言っています。1972年の日中共同声明では「中国政府が、台湾が中国の領土の不可分の一部だと表明したことを十分理解し、尊重する」と日本政府が言うと、中国は当時納得しなかったんです。そこで日本政府は知恵を出して。「ポツダム宣言第8項を堅持する」と書き換えたことによって、中国も納得して日中共同声明ができたんです。これは当時の外務省の方が文書に書いております。
では、「ポツダム宣言第8項」とは何か。「カイロ宣言の履行」です。
「カイロ宣言」というのは何かというと、「日本が奪った台湾を中国に返還する」と書いてある。このことを書き加えたことによって、中国が納得して日中共同声明ができたわけです。
ですから、台湾問題に軍事的に介入する可能性を公言したことは、まさにこの中国側の立場を踏みにじるものであることは間違いない。その後、日中両国は1972年の日中共同声明以来、双方は互いに協力のパートナーであり、互いに脅威とならないということで合意しているわけです。
高市発言は、この合意にも反する発言だと言わなければならない。
これは本当に深刻です。撤回をしてもらわなければいけない。
中国側はさまざまな対抗措置をとっています。日本共産党は中国に対して今3点の申し入れをやっています。
ひとつは、高市発言にあらわれたようなごく一部の右翼的潮流と日本国民を区別した対応をしてほしい。
もうひとつは、この問題を両国の人的交流や経済問題、文化問題にリンクさせないでほしい、させるべきじゃない。あくまで政治問題として解決すべきである。
3つ目は、事実に基づかない言動は慎むべきだ。これは首をちょんぎるとか、いろんなことがありましたので、そういったことをやめるべきだ。
これを中国側に伝えています。この3点を伝えたと自民党の人に言いますと、みんなびっくりするんです。「そんなことを、中国に言ったんですか」と。
なぜ我々は言えるのか。そして中国側もそれをきちんと受け止めるのか。それは、高市さんに「撤回しろ」と我々が言っているからです。その上で、言っているから中国側も聞く耳を持つわけであります。
繰り返しますけれども、この問題を解決するためには、発言の撤回がどうしても必要ではないかと思います。

■日本は平和のために大きな役割を果たせる

最後に国際情勢の話をしますと、私はいつも、日本というのは本来、世界の平和のために大きな役割を果たせる国だと思っています。ですが、それができていないんじゃないか。
ガザの問題だってそうです。日本は、パレスチナとイスラエルと両方ともにきちんと外交的なルートを持ってきた。では、その役割が発揮されたかというと、アメリカが支援するイスラエルにものが言えないということが続いてきたわけです。私はアメリカがアフガンを攻撃した時、アフガニスタンの国境近くのパキスタンの町まで行きました。そこで聞いたことが、「日本はアメリカと戦争して、広島、長崎に原爆を落とされた国ではないか。その日本が何でアメリカと一緒に戦争をするのか」と、さんざん言われました。
それから、「日本はイスラム教を弾圧したことがない国じゃないか」とも言われました。たしかに十字軍にも加わったことがないわけです。その日本に対するものすごい信頼感があった。でも、それが壊された。当時、アフガニスタンのタリバン政権と西側で唯一外交関係を持ってたのは日本なんです。ところが「戦争だ」とアメリカが言った途端に、そういう外交的な資源を全部、放棄してしまった。もしそういう役割を日本が果たしていたら、世界の平和に大きな貢献ができたと思うんです。
核兵器禁止条約だってそうです。いま、世界で大きな流れになっている。そこに唯一の戦争被爆国である日本が加われば、絶大な力を発揮することは間違いない。しかし、アメリカに気兼ねをして参加しようとしない。
ASEANでは対話の習慣が広がって、それを北東アジアに広げようとしている。しかし、北東アジアでなぜそういう安全保障の枠組みを作れないか。いろいろあるけれども、やっぱり過去の侵略戦争、植民地支配に対するきちんとした反省、歴史問題の解決ができてないからだと思うんです。
いずれも、日本の政治の責任が大きいと私は思うんですね。
日本は憲法を持ってます。憲法の前文で何と言っているか。「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と平和的生存権を定め、憲法9条で徹底した平和主義をうたっているわけですね。これを生かした外交をやれば、世界に本当に大きな役割を果たせるんではないか。
こういう話をすると、自民党の人は「いや、小池さんの言うことはわかる、外交は大事だ。でも、外交には軍事の裏付けが必要ではないか」と、だいたい、そういうこと言うんですね。
でも、やっていることは裏付けばかりではありませんか。「攻めてきたらどうする?」「攻めてきたらどうする?」挙げ句の果てに、「攻められる前に攻めてしまえ」です。
でも日本というのは、どの国もそうなんですが、絶対に戦争なんかやっちゃいけない国だと思います。
戦争なんかになったらひとたまりもないじゃないですか。海岸線には原発がずらっと並んでいる。食料自給率38パーセント、エネルギー自給率10パーセントちょっとでしょう。もう、ひとたまりもないですよ。
私は憲法9条を持つこの国の政治家の最大の仕事は、「絶対に戦争させない。そのために命がけの外交努力をやるということ」ではないかと思うんです。
ぜひそういう立場で頑張っていきたいと思います。

■世界で起きている変化

世界では大きな変化が起こっております。
イギリスでは労働党前党首のジェレミー・コービンさんがパレスチナ支援を表明したことで、労働党から党員資格を剥奪されて新党PARTYを作りました。これがいま、労働党を超える支持率を得ていると言われています。コービンさんは、昨年のヒロシマナガサキ原水禁世界大会にも来られて、私もお会いしました。
ドイツの左翼党も、ここも1年間で8万人という規模で党員を増やしている。なんで党員増えたのかと訊くと、ドイツでは保守勢力などが極右政党に協力をして、移民・難民制限の決議を上げたんです。ドイツは主要政党が極右との協力を拒否してきた歴史を持っていた。それを「防火壁」と呼ぶそうですが、それが破られてしまった時、ドイツ左翼党の若い女性の幹部が、「我々は防火壁になる。あきらめないでファシズムに対抗しよう」と訴えて、これが大きな反響を呼んだと聞いています。
アメリカのニューヨーク市長選挙では、マムダニさんが勝利した。社会主義を語っている人がニューヨークの市長になるわけです。小池百合子さんじゃなくて、小池晃が東京都知事になるようなものです。そういうことが起こったわけですよね。彼は、本当に明確に、「現状の資本主義は、富裕層と大企業による搾取だ。略奪型資本主義だ。これを変える。家賃の値上げをやめる、無料のバスを走らせる。保育は無償化をする。そして市営の公共のスーパーを設置する」と言った。
トランプ政権のもとで、分断と排除が広がったアメリカのなかで、資本主義への批判を明確に示す勢力が大きな潮流になってきているんです。トランプさんは慌てて、「狂った共産主義者を市役所に入れるな」と攻撃したけれども、ニューヨークの市民はまったく意に介さなかった。
私は日本も必ず変えられると思っています。
高市政権の「戦争する国づくり」を止めるために、共産党も頑張りたいというふうに思いますし、ぜひ思いを同じくする人たちと力を合わせて、政治を変えていく、そういう流れを作るために頑張りたいと思っております。

対談・質疑応答編に続きます。

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