武蔵野政治塾第14回「VTuber × メタバースで地域振興」
4月8日18時から、第14回が開催されました。
最先端ビジネスの現場で活躍されている方お2人を講師にして、「VTuber × メタバースで地域振興」というテーマです。
講師は板倉節子さん(株式会社 Art Stone Entertainment 代表取締役)と、溝口新平さん(株式会社tenshabi代表)。コーディネーターは、やぶはら太郎さん(武蔵野市議会議員)と、岡本ゆうこさん(松戸市議会議員)。
司会は、武蔵野政治塾運営委員・五十嵐えりさん(東京都議会議員)です。
講師、コーディネーターのプロフィールは下記のとおりです。
板倉節子(株式会社 Art Stone Entertainment 代表取締役。戸定梨香さんをはじめとした多くの個性的なVTuberが所属するVASEの運営や、千葉県松戸市のご当地キャラ「ばけごろう」の運営全般を手がける。そのほかにも近代美術の画廊や音楽スタジオを運営)
【https://artstoneentertainment.com/】
溝口新平(株式会社tenshabi 代表。メタバースを活用した事業やイベントの共同開発など企画運営から開発まで幅広く手がける。最近ではカラオケまねきねこメタバース店の制作やオープニングセレモニーの総合プロデュースを担当)
【https://tenshabi.com/】
やぶはら太郎(武蔵野市議会議員。昭和48年群馬県伊勢崎市生まれ。現在2期目。市政報告を毎月発行し、平日の朝はほとんど市内の駅頭で配っています。市民への情報発信に努め、SNSやインターネットでの情報発信、市民の方との交流も活発。市民に最も距離の近い気軽な市議として活動中)
岡本ゆうこ(松戸市議会議員)
東海第二原発から30km圏内である茨城県水戸市出身。自分らしく生きられる自由な社会の実現をめざし、2022年11月に2期目の再選を果たす。介護離職、不妊治療、非正規雇用者、パワハラ被害当事者としての経験を活かし、生きづらさを抱える市民のため日々奔走中。
冒頭に、衆議院議員・菅直人さんの挨拶があり、その後、やぶはら太郎さんが、企画の趣旨を説明しました。
やぶはら太郎
本日は、バーチャルが作るエンターテイメントの世界、VTuber、メタバースなどが、こうしたものが、どういった世界を作っていくのか。私もこういう世界が好きなんですが、どういったものなのか説明しろと言われても、こと細かに説明することはできません。
そこで、こうした世界の最先端でご活躍されているお2人をお招きした、というのが、今回の企画です。
【やぶはらさんが、板倉さん、溝口さんを紹介。
まずは、板倉節子さんが自らのお仕事での体験に基づいて、VTuber、メタバースの地域振興での活用例を紹介しました。】
VTuberを使った地域振興
板倉節子
私は株式会社 Art Stone Entertainmentという、なかなか1回では覚えてもらいにくい名前の会社の代表をしています。何をしている会社なのか。おもに、本日のテーマでもございます、「VTuber」の事業を展開しています。
■VTuberとは何か
VTuberとは、「バーチャルYouTuber」の略です。「バーチャル」とは「仮想」のことです。
YouTuberは、有名な方ですと「HIKAKIN」さんとか、「はじめしゃちょー」さんのような、YouTubeをメインに動画投稿されている方のことです。
仮想の空間のなかには、タレントがいます。HIKAKINさんも、お祝いの席でVTuberになっていましたので、今やYouTube界でもVTuberがとても身近な存在になっているのかなと思います。
YouTuberと仮想のVTuberの違いは何か。VTuberは、どんな姿になることもできます。姿も声も年齢も性別も国籍も何も関係ありません。自分がなりたい姿、なりたい衣裳、なりたい髪型で自由に設定をすることができます。
声も変えることができます。姿だけじゃないんです。ボイスチェンジャーを利用すれば、男性の声を女性の声にして配信できます。そういう方を「バ美肉」と呼ぶんですが、これが主流になっているくらい、コンテンツのひとつとなっています。
アバター設定はバーチャルの世界なので、人間である必要はなく、吸血鬼でも、動物でも、オバケでもいいです。何でも作ることができます。年齢も0歳でもいいですし、1000歳でもいいです。自分の好きな設定で始めることができます。
私たち「人」は、家から一歩も出なくても、人と交流し、外部の世界に足を運んで遊べる時代になりました。
■千葉県ご当地VTuber 戸定梨香(とじょう りんか)
それでは、具体的に、姿を見ていただきたいと思います。
「戸定梨香」ちゃんです。
この女の子は、弊社のバーチャルプロジェクト「VASE」で行なっている、千葉県ご当地VTuber戸定梨香の紹介動画を1分見てください。
【https://youtu.be/CIn6wPuFP-o】
具体的に、VTuberがどのように動いているのかというと、モーションキャプチャーという技術によって、2Dと3Dのアバターが動いて、タレントとまったく同じ動きをします。これが特徴です。
皆さんがまばたきをすれば、アバターも一緒にまばたきをしますし、首を左右に振れば同じように左右に首を振ります。手を振れば同じように手を振ることができます。本当にそのまま再現することが可能です。
■VTuberの認知度は10代で7割、20代で5割
約7年前に「キズナアイ」さんが登場され、VTuberを築いたひとりとされています。現在では約3万人のVTuberがいると言われています。
それでは、VTuberは、どういう方が見ていて、認知度はどれぐらいなのか。
見ているのは、10代の18歳から34歳までで全体の75%を占めています。まさに若者向けのコンテンツとなっていす。10代で7割、20代では5割が認知しているとされています。10代の3割が、実際にVTuberのYouTube配信を視聴したことがあります。
私は、渋谷のモディーさんや丸井さんで、ポップアップストアを年に数回やらせていただいていますが、そちらに来ていただいたお客様は、10代から50代ぐらいまでの方がいて、幅広くなっていると思っています。
どんどん認知度が高まっておりまして、さまざまな世代で楽しんでいただけるコンテンツになっているのを実感しています。
■VTuberのメリット
では、VTuberを使用するメリットは何か。生のリアルなインフルエンサーを使うのと比べて、何がメリットなのか。
「1 登場から興味を持ってもらいやすい」。
先ほど、「戸定梨香の紹介動画を1分見てください」と言って、ご紹介したとき、最初に私が挨拶したときとは全然、食いつき方が違いました。それを肌で感じました。何だろうこれは、という興味を持ったので、食いついて見ていただけたのかなと思います。
「2 ビジュアルが親しみやすく、目を引くこと」
これは、色使いです。ぱっと見ただけで色が派手じゃないですか。ひとって、動いてるものとか派手なものに目が行きやすい。そういう意味では、目に入らない広告は意味がないと思います。この点で、VTuberはすごく優れていると思います。
「3 交通費・宿泊費がかからない。低コストで利用ができる」
これ良くないですか。交通費かからなくても、タレントを呼ぶことができる。たとえば沖縄をPRする場合、リアルでしたら沖縄へタレントを呼んでロケをしないとならないけども、VTuberだったら、家からでもできます。自分の家に機材があれば、沖縄の映像と、その家から配信しているVTuberの映像をミックスさせて、PRすることが可能です。その分、コストが削減できて、他のこと、タレントのギャラ以外のことに使えるメリットがあります。
「4 表現をしたい世界構築が簡単」
これも、沖縄、北海道、アメリカ、どこでもいいです、どの世界でも配信することができ、表現することができます。海の上でも、月の上でも、宇宙でも、可能な世界ができます。
「5 現実では物理的に不可能なことができる」
たとえば、東京ドームでライブをしたいなと思った場合、相当なお客さんを呼ばなくてはいけないですし、借りるのに相当な金額がかかります。とても大変です。私もイベント制作をしていたとき、とにかく集客が大変でした。宣伝費にもお金がかかりますし。でもVTuberでしたら、その世界に東京ドームを作ることができ、実際にお客様が東京ドームに来ていただいてライブを見ることもできますし、なかなかその地区へ行けない方も、おうちからライブを見ることができ、演じている本人も、東京ドームに行くこともできますし、家でもできるというような状況で、全てが叶うことができます。
■VTuberの自治体での活用例
「茨ひより」さんは、茨城県公認VTuberです。自治体初の公認VTuberとして2018年に誕生しました。広告換算額は、びっくりしすますよ、累計約7億6000万円にのぼるそうです。すごい経済効果を出しています。
彼女の運営方法は、毎年度、公募プロポーザルを実施しています。委託先を1年ずつ更新していますので、ひよりちゃんの管理運営をしたい方が、県の中で毎年、戦っています。なので、常に注目もされていますし、コンテンツ産業を県としても盛り上げることができます。
その他に、岩手県の「岩手さちこ」さん、富山県射水市の「いみず雫」さん、長野県中野市の「信州なかの」さんなどがいます。
共通しているのは、それぞれの地元を積極的にPRされていることです。国内・国外のお客様をターゲットに、自分の地元のPRをしています。
■企業の商品をPRするVTuber
企業がVTuberを採用する例として、受付嬢があります。この仕事は、リアルではなくても、VTuberでできます。中にタレントさんがいますので、受け答えはリアルの受付嬢とまったく同じように対応できます。
商品紹介もできます。VTuberは若者に特に人気がありますので、若者に向けた商品のPRも可能です。
その他、教育、職業体験などもできます。
企業の商品をPRするVTuberも数多く存在しています。
たとえば、Filmoraという、初心者向け動画編集ソフトのVTuberに「彩撮モラ」さんがいます。動画編集は、いくら初心者向けでも難しいので、それをVTuberを使って、わかりやすく簡単に紹介してくれるんです。
Netflixには、おすすめのアニメやドラマ、映画を紹介してくれるVTuber「N子・メイ・黒野」さんがいます。
コラボ・キャンペーンにVTuberを採用している企業はとても多いです。
コンセプトカフェがオリジナルドリンクやオリジナルフードを使ってPRをしたり、オリジナルの限定商品の販売をしたり、VTuberのパネルを提示して、来場者を多く促すとか商品のPRをしています。大手も参入しているのが現状です。
■松戸市にVTuber登場
私の会社のある千葉県松戸市のお話になります。
松戸警察でVTuberの挨拶をさせていただいたとき、VTuberの登場は大変興味を持ってもらいました。「どうやって動くの」「どうやって話すの」と、よく聞かれました。
地域のPRとしては、松戸で販売しているビールとコラボしたり、飲食店に実際に訪れて商品を食べてPRをしたり、商店街の提灯屋さんに行ってご紹介をして、そこで作って売られている商品を、配信内で、見ているリスナーさんにプレゼントしたり、という企画もありました。
また、Cluster(クラスター)というメタバースの世界があります。自分の好きな世界を作り上げることができるのですが、その世界の中で「松戸市」を作り上げて、リスナーさん、ファンのみんなと一緒に松戸市を作り上げています。
そのClusterの中の松戸市には、いろんな人が来ることができます。世界中の方々がそのClusterに入ることができれば、誰でも見ることができて、一緒に遊ぶことができる。そういう世界を体験することができます。
リアル(生の人間)と、VTuberが一緒に座って対談をすることも可能になっていますので、会社のPRにもすごく向いていると思います。
■松戸のご当地キャラクター「ばけごろう」
松戸つながりで、弊社のご当地キャラクター「ばけごろう」を紹介します。
「ばけごろう」は、ご当地キャラ初のVTuberでもあります。松戸市の地図を逆さまにした形の、オバケのキャラクターとなっていて、ひっくり返すと、松戸の形になります。
帽子に乗っている小さいのが弟で、「ミニばけ」という名前です。ミニばけの頭の上に乗っているのは、かぼちゃです。宇宙飛行士の山崎直子さんが宇宙へ持って行ったカボチャの種があり、それで育てられた「宇宙カボチャ」が、ミニばけの頭の上に乗っています。
私は、夢の国のようなエンターテイメントな世界が小さい頃から好きでした。そういうことを通じて何かできないか、エンターテイメントを通じて何か地域を盛り上げること何かできないか、と思っていました。そこで、松戸に長く住んでいたので、「ばけごろう」をご当地キャラとして誕生させることにしました。
【こちらを御覧ください。https://www.bakegoro.com/】
「ばけごろう」は市の公認ではありません。独自に動いています。たとえば、ハロウィンの日の渋谷は、ものすごい人で、めちゃくちゃです。そこで、「ばけごろう」はオバケですから、その次の日に朝一番で行って、ゴミ拾いを一生懸命にやって、Twitterでバズりました。
千葉県で台風の災害があったときにも、「ばけごろう」は動物が好きなものですから、動物のために物資を持って行きました。そこでも少しバズりました。
そのような感じで、自由に活動しています。
■ばけごろうの活動
ご当地キャラは、「くまもん」でも「ふなっしー」でも、地域を活性化する目的で運用されています。市のイベントには市のOKが出ないと出られないので、「ばけごろう」は松戸の観光協会に入りまして、今は地域のイベントに多く出演したり、実習イベントに出演したりしてます。花火大会でも市長と点火式をおこないました。
松戸市は「もったいない運動」を推進しています。そこで、「MOTTAINAI 〜もったいない〜」という曲を作っている、ルー大柴さんをお呼びして「森のホール21」で無料イベントをおこないました。
松戸警察、松戸東警察とのコラボとしてポスターを製作し、交通安全をPRし、松戸ご当地キャラとしてゲーム出演をさせていただいています。
松戸市にはコンテンツ産業を盛り上げるための目的で、株式会社ディッジさんと作った松戸コンテンツ事業者連絡協議会という団体があり、ばけごろうはそこの公認キャラとして活動しています。
主に、「まつコン」という地域雑誌や、幕張メッセで開催された「東京ゲームショウ2022」などの大きなイベントに出演して、松戸のPRのために現在動いています。
■VTuberはどうやって収益をあげるのか
では、VTuberってどれぐらい儲かるの? 本当に仕事としてできるの? そう思っていらっしゃる方もいると思います。VTuberの収益について、お話しします。
収益は、主にYouTubeの生配信ライブです。
動画投稿をされているVTuberさんもたくさんいらっしゃいますが、主に生配信が多いと思います。一番は、視聴者が配信者に「投げ銭」をする「スーパーチャット」です。略して「スパチャ」。路上ライブなどでパフォーマーが置いている帽子にお金を入れるの「投げ銭」が、YouTubeでも可能で、「スパチャ」と呼ばれます。
「スパチャ」で出せるのは、ひとり1日に100円から5万円までとなっています。1日、5万円以上は出せないようになっています。「赤スパ」が一番高いそうです。
次に、「サブスクのメンバーシップ」があります。特別なアイコン、特別なスタンプ、メンバーしか見れないコンテンツがあるメンバーシップで、月額制で、480円くらいになっています。
メンバーシップにはプレゼントをする機能もあります。たとえば、リスナーさんに、メンバーシップに入っているAさんと、入っていないBさんがいたとします。
AさんはVTuberの女の子のために、もっと広めたい、もっとスタンプを使ってほしいと思っていて、プレゼントを投げて、Bさんに当たると、Bさんは無料で1か月メンバーシップの機能を使うことができる。こういうシステムです。
このように、YouTubeでは、何でもできます。新しい商品がどんどん出てきているんです。
VTuberの収益としては「動画広告」もあります。再生された最初、途中、後に広告が流れてくると思いますが、そこからの広告収入です。
最後が「スーパーサンクス」です。
「動画投稿」をVTuberが出したとき、生配信ではないので、スーパーチャットを投げることはできません。でも、何かしらコメントをつけて応援したいと思った方は、「スーパーサンクス」を動画投稿に対して投げることができます。
コメントで「良かったよ」とか入れて、「スーパーサンクス」するわけです。
■1億3790万8389は何の数?
【ここで、「いきなりクイズ」となりました。スライドには、
「1億3790万8389
何の数字だと思いますか?」
と出ました。何の数字か、「動画再生数」「日本の人口」「VTuberの数」などの声が会場から上がりました。】
答えは、2022年、去年1年間で最も多くのスーパーチャットを集めたVTuberさんが得た金額です。
スーパーチャットだけですよ。メンバーシップとか動画広告収入とかスーパーサンクス、グッズ販売などは除いて、スーパーチャットだけの金額です。
2位の方も、1億1939万6384円でした。
これが2022年の金額で、年々増えていますので、2023年はもっと増えると思います。
現在どんどん伸びているビジネスだと思います。
■交通安全の警察の動画が削除された理由
そんなビジネスではある一方で、約1年前、私の会社がとあることから社会現象にまでなった一件がございました。
まずはこちらの動画をご覧ください。たった30秒です。
【最初に紹介があった松戸市ご当地VTuberの戸定梨香さんと「ばけごろう」が出ている、松戸警察、松戸東警察署の交通安全のPR動画でした。】
コロナ下、Z世代に交通安全をPRしたいと松戸警察の思いから、非対面式のVTuberを採用していただき、全額弊社持ちでご協力をしました。
3分と30秒の動画が欲しいということでした。PR期間は1年間となっておりましたので、先に本来の戸定梨香の姿でYouTubeを動画、その後、警察の姿に変わって、動画やポスターを制作をするなどを話し合いました。警察の姿にするのも、ちょっと大変でした。衣裳を替えるのは、なかなか時間がかかります。半年ぐらいかかりますし金額も50万円ぐらいしました。そこで、1年間を通じて、そのような流れで進めてくことになっていました。
ところが、なんと2か月間でこの動画は削除されることになりました。
またまたいきなりクイズです。第2問は、「どうして動画は削除されることになったのでしょうか?」
すでにご存知の方もいらっしゃいますね。いま、笑われた方は、きっとご存知なのでしょう。
知らない方は、少し考えていただければと思います。
【会場、沈黙】
答えにくいのか、少し静まり返ってしまいました。
答えは、警察に(全国)フェミニスト議員連盟から「女性蔑視をしている」とクレームが入ったためでございます。
■フェミニスト議員連盟からの抗議
全国フェミニスト議員連盟とは、「フェミニズムに根付いた政治と、女性の立場を守り、市民の活動をサポートする運動体」です。【https://afer-fem.org/】
この全国フェミニスト議員連盟が、松戸警察、松戸東警察、千葉県警、松戸市長、松戸教育長、千葉県知事に宛て、「本動画(戸定梨香)は、女児を性的な対象物として描いており、女性の定型化された役割に基づく偏見及び慣習を助長しています」そして、「性犯罪誘発の懸念すら感じさせる」として、この動画の使用中止、削除そして謝罪を求めてきました。
とても強い内容の講義だと私は感じました。
全国フェミニスト議員連盟の共同代表が、同じ松戸市の増田薫市議会議員で、この抗議文は誰でも見ることができるSNS上に公開されていました。
私がこれを見て、ぱっと思って感じたことは、率直に言って、何かたくさんの議員が動いているなということでした。「何かしてしまった」と恐怖を感じました。
あと、タレントの気持ちや、わたしたちの会社と警察との信頼関係や、ばけごろうを通じて築いてきた市との関係性などが、どうなってしまうのかという恐怖がありました。
警察にも女性の方がいて、一緒にやっていましたし、弊社のスタッフもほぼ女性です。私も、女性です。戸定梨香に関わるクリエイターは全て女性でした。
松戸での「ばけごろう」のイベントも、松戸警察のイベントも、私たちはすべて無償で、こちらがお金を払って協力してきたものでしたから、まさか、同じ松戸市の女性の市議会議員からこのような文面が来ることは、本当に非常に驚きでした。
■動画削除への反響
警察の反応は、電話がかかってきて、率直に言われたことは、「議員からそう言われたら、もうしょうがない」ということでした。しかもたくさんの議員の名前があったことで、警察も恐怖を感じていたんですね。私は「何とかなりませんか」と言ったんですけれども、「削除の方向で動いていきます」ということで、結局、削除されることになってしまいました。
そのあと、そのまま流すことも可能だったんですけれども、どうしても、本当にこのままでいいのかと考えてまして、その気持ちをツイートしました。それをきっかけに、いろんな方がリツイートしてくださったり、お気に入り登録、「いいね」をして拡散してくれました。
実際に戸定梨香の動画を見て、「女性蔑視ではない」という意見もたくさんいただきました。気が付けば数万の反響があり、全国のトレンドになりました。
それからたくさんの方のご協力をいただいて、全国フェミニスト議員連盟への疑問を呈した署名が世界から7万人以上が集まりました。
そこで、あの動画のどこが女性蔑視の内容なのか、逆に、公開質問状を、相手側に提出いたしました。
■フェミニスト議員連盟への公開質問状
本日ラストの「いきなりクイズ」です。
第3問「こちらがフェミニスト議員連盟に出した公開質問状の答えはどのようなものだったでしょうか」
【会場、沈黙】
だんだん皆さん静かになってしまいましたが、大丈夫でしょうか? 私、何か変なことを言っていますか? 大丈夫でしょうか? まだまだ言わせていだきます。
それでは、答えです。
「無視」です。
未だに回答はいただいておりません。同じ松戸市であるにもかかわらず、話し合いを拒まれている状態です。
その当時、私は話し合いを希望しておりましたので、全ての出演依頼を受けましたけれども、増田議員は一度も姿を出しませんでした。
そして他の松戸の市議さんにも入っていただいて、「民間の企業に迷惑かけたんだから話し合いをした方がいい」と伝えてくださった方もいましたが、「嫌だ」と言われてしまいました。「無視」と「嫌だ」ですよ。今もこのような状態が続いています。
最近でもちょっとニュースになりましたが、たまたま私の知り合いのアイドルが「選挙に行こう」というようなポスターに出たら、それもまたフェミニスト議員連盟は訴えていたので、この問題はまだまだ続くなと思いました。
■ジェンダー問題のアイコンとなった戸定梨香
結局、具体的に、どのようなものだったらよかったのか。スカートの丈はどれくらいだったらよかったのか、胸の揺れはどれくらいだったらよかったのか、そのようなことをきちんと話し合いで決めていかないと、いつまでたっても、ただ攻撃して、攻撃されてというのが続き、何の解決にもならないと、私は思っています。
今後は、話し合いを設けて、何かルールを決めることをやっていった方がいいと思います。
私もまだ諦めておりません。
今も何かジェンダーの問題がありますと、必ずツイッター上、SNS上では「戸定梨香」という名前が出てしまい、そういうアイコンになってしまっているような状況です。
そのため、非常に活動がしにくいという状況で、本人も相当気にしています。
今後、市といろいろPRをしていきたいんですけれども、なかなかそう行けない現状もあり、難しいところです。
しかし、嫌なことばかりではありませんでした。今日、ここへ来てくださった方のなかにも、戸定梨香の問題をきっかけの方もいらっしゃると思います。本当にありがとうございます。
そしてここにいる岡本議員、やぶはら議員とも、このことをきっかけに、お知り合いになることができました。今後も、この問題にも取り組んでいきたいと思います。
■戸定梨香、松戸競輪とコラボ
そして戸定梨香の話に戻りますが、地域貢献のひとつとして、松戸競輪さんとコラボさせていただきました。
松戸競輪というと、現地で競輪をするだけと思われるかもしれませんが、YouTubeの配信上でもできます。アプリを使用して、お客様と一緒に予想する楽しみ方があります。
実際に松戸競輪に行っていただいて、発売機で当たりが出たらオリジナルグッズがもらえる取り組みや、HUBでのオリジナルドリンクのコラボ、来場者特典などをやりました。
岡本議員も遊びにいらしてくださって、現地で一緒にコラボドリンクを飲みました。
この松戸競輪さんでの反応、効果については、岡本議員からお話しいただければと思います。
【ここで、岡本ゆうこ議員にマイクが移りました】
岡本ゆうこ
松戸市には競輪場がありまして、私は1回も行ったことなかったんです。
競輪というと、どういうイメージですか。親父ばっかりとか、臭い、汚いってイメージがあると思うんです。ちょっと敬遠がちなところがあると思います。
でも、梨香ちゃんの等身大パネルが見れるということで、えいと思って行ってみたわけです。
そうしたら、一歩入ったら、ディズニーランドみたいなエンターテイメントの世界で、とても楽しいところだったんです。競輪も楽しめて、梨香ちゃんの等身大パネルと一緒に写真も撮れるなどして、とても楽しかったです。
松戸競輪では2回コラボさせていただきました。
まず1回目が6月9日から10日の2日間のG3ナイターでした。これはハズレても、ハズレ券1000円ごとに1口として応募でき、梨香ちゃんの等身大パネルが当たるという、当たっても外れても嬉しいという企画でした。
やぶはらさんも、一緒に行き、一緒に写真を撮りました。私たちは、ハズレたら、「わー、ハズレた、応募できる」とめちゃくちゃ盛り上がっていました。でも、最後に応募して帰ったんですけれども、何も当たらなかったです。残念です。
■競輪の収益は市の福祉に使われる
そして、9月に一般質問をしました。松戸競輪事業は、実際に松戸市議会で予算を計上されていて、議会の中で可決をされている公営ギャンブルです。だから、どうやったら競輪事業が収益をあげて、市に貢献されるかは重要なことです。売り上げの一部が福祉に使われているんです。保育士さんの賃金に「松戸手当」を上乗せして、東京都と同じぐらいの賃金に上げるという、松戸市独自で取り組んでいるものがあります。
松戸の花火大会にも競輪の収益を使っていくことになっています。これも、とても大切な事業です。
それで、6月の車券の売り上げは、なんと、総額4726万2000円でした。これは本当にすごい金額です。その後、大会があったんですけれども、それにもまた、梨香ちゃんを起用することになりました。
6月に梨香ちゃんを起用するとき、競輪事業の方に、「フェミニスト議連の問題とかありますけれど、反対はなかったんですか」と聞いたら、松戸競輪は松戸公産という会社に業務委託しているんですが、その社員の方が、「松戸のVTuberと言ったら戸定梨香さんしかいない」と言って、諸手を挙げてみんなが「やろう、やろう」と賛成し、あっさり決まったということでした。
次に、12月8日から11日には大きな大会がありました。松戸競輪72周年記念だったんです。これが大きな大会で、「のっかりミッション」というイベント企画をしました。
コラボドリンクが4種類あり、たくさん買うと缶バッジがもらえるというもので、日によって色が違うんです。コンンプリートしたい人は通わなければならないんです。
さらに、梨香ちゃんの専用の販売機が2台設置され、車券の後ろに「当たり」が出ると、もらえるグッズがあるんです。もらうまで、買い続けました。
Twitterの梨香さんのフォロワーさんもたくさん来ていて、オフ会みたいで、すごく楽しかったんです。板倉社長とも現地で会いました。
車券はネットでも買えます。松戸競輪の車券の令和3年度の売り上げは247億282万4700万でしたが、そのうちインターネットとか電話投票の売り上げは、207億3039万5000円と、83.92%でした。
だからインターネットとコラボしたVTuberは、とても良い取り組みなんです。
来年の10月にも大きな大会がありますし、これからもどんどんどんどんコラボはしていくと私は思っています。
今日、私が着ているパーカーは、梨香ちゃんがデザインしてあるパーカーなんです。こういったものも、応援として買っています。皆さんに、松戸にぜひ来ていただきたいんです。
私のお勧めの松戸のルートは、松戸市議会の傍聴に来ていただいて、帰りに、松戸市役所の坂を下りると、すぐに「そばっちゃん」という立ち食いそば屋さんがあるので、そこでお昼を食べて、駅に向かうと、梨香ちゃんの看板があるので、そこを見て、戸定邸(戸定歴史館)に行ってほしい。それが私のおすすめのルートです。梨香ちゃんの聖地に、ぜひ行っていただきたいと思います。
板倉節子
ありがとうございます。これからも、間違っていることには間違っていると声を上げつつも、このような素晴らしいコラボを続けていけたらと思いますので、応援よろしくお願いいたします。
■メタバースの世界で何ができるのか
VTuberメタバースの話に戻ります。
VTuberは、ゲームとすごく相性がよく、eスポーツもあリ、賞金額、優勝額が半端ない数字となっています。賞金総額13億円、優勝者には5億円というeスポーツの大会もあります。
オンライン上で誰か世界中の方とマッチングして、プレーすることは、別に普通のことだと思いますが、今はそのゲームの中に、有名なアーティスト、日本でしたら星野源さんなどがやってきて、ゲームの中でライブをしたりします。ゲームの中にライブをする会場があるんです。私たちはゲームを通じてライブを体感することができます。
メタバースの世界は、どんどん広がりを見せています。
アーティストだけではなくてファッションブランドもどんどん入ってきています。ラルフローレンやグッチがデザインしたアバターの洋服を買うことができます。そしてグッチのリアルな販売店に行くと、同じ服が売られています。メタバースの世界でも、実際の世界でも、同じ商品を購入して楽しむことができる、ダブルの世界も見せてくれています。
ユーザーの半数が13歳以下なんです。すごくないですか。どんどん若い世代からゲームに入って、メタバースの世界に入っています。
VTuber事業は日本から発信する、世界に誇れるメタバースのコンテンツのひとつだと思っています。
すでにメタバースの中では、仮想通貨で取引できたり、NFT(Non-Fungible Token、非代替性トークン)で権利を主張することができ、エンターテイメントを届けることができるものとなっています。
■VTuberを採用する企業
次は、未来に向けてということで、コンビニの話です。
ローソンの豊島区にある「グリーンローソン」ではVTuberを採用しています。仕事の内容は非対面での店舗案内や、新商品の紹介などで、VTuberが接客業務をしてくれます。
時間・距離・年齢関係なく、さらに介護や育児で外出がしにくいとか、身体的にハンディキャップがあるなど、働くのは諦めていた方も、そういう制約にとらわれることなく、誰もが働けるチャンスがある全員参加型社会を目指しているそうです。
そのためにはこのVTuberが必要になってきます。
グリーンローソンでは、アバターが商品の紹介を進め、セルフレジのサポートをしてくれています。人手不足の問題を解消してくれますし、ダイバーシティ、インクルージョンを推進する科学的な取り組みであると思います。
最後に、メタバースの例を紹介しますが、ひとつめは日産自動車での車の試乗会です。
クルマが欲しいとなっても、実際に販売店へ行かないと乗れません。しかしメタバースの世界でクルマに乗って移動することも可能になります。それを見て、購入できるようになります。
伊勢丹新宿店は、リアルな伊勢丹の新宿店と全く同じ空間を作り出してます。たとえばこの服が欲しいなとメタバース空間で思ったら、オンラインの買い物と繋がっておりまして、買うことができ、実際にリアルな洋服がうちに届きます。ショッピングがメタバースの中でできます。
大阪府泉佐野市では、ふるさと納税をメタバースで活用してます。泉佐野市は牛が有名で、牛に乗ってロデオ体験できます。そのふるさと納税の返礼品を3Dで確認することができます。
日本旅行は、さいたま市とコラボして、さいたま市の世界を作っています。「市長の部屋」があり、覗いて見ることができ、マイナンバーカード、マイナビポイントに関する広報の部屋では、職員さんのアバターが設置され、そのアバターに対して利用者が質問をすると受け答えをしてくれます。
■メタバースのゲームで英会話
最後が、フォートナイト、マインクラフトといったゲームが、メタバースを使った英会話教室をしています。主に小学生から高校生を対象にした、次世代教育サービスとなっています。
ゲームをしながら、実際にAIを使ってメタバースの世界で楽しんで英語を覚えることができます。リアルでは不可能だった幅広い、世界中の中で、より多くのことがどんどん実現されている状況です。
今の子供たちが当たり前のようにメタバースの中に生活圏を出ていくなか、私たち大人にできることは何か。私たちの小さい頃にはメタバース空間はなかったものですから、私たちはこれからどのように暮らしていけばいいのか。
今の皆さんの仕事や知識に、メタバースを変換することが、私たちにできることかなと思います。私はVTuberとメタバースの事業を進めていきたいと思いますので、お気軽にご相談していただければと思います。
これからの私たち、そして子供たち、そして動物たちが、楽しい未来になるように今後も皆さんと作り上げていけたらいいなと思っています。
本日は長いお時間いただきまして、誠にありがとうございました。
~メタバース、質疑応答編に続く~