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NEW!!【活動報告】第15回「統一教会と政治家の癒着~政策は歪められたのか~」講演篇

第15回「統一教会と政治家の癒着 政策は歪められたのか」は、5月25日木曜日、吉祥寺の武蔵野公会堂ホールで開催されました。
【現在の教団名は「世界平和統一家庭連合」ですが、「統一教会」と語られているので、本レポートもそれに従います。】

平日の夜でしたが、満員となりました。マスコミでは統一教会問題が報じられることが減ってきましたが、まだまだこの問題への関心は高いと、改めて感じさせられました。
講師は、統一教会を20年にわたり追及し続けてきた、ジャーナリストの鈴木エイトさん。
映像、画像をふんだんに見せ、ときに笑いをとりながらも、この闇の深い問題を解説してくださりました。
司会は、武蔵野政治塾運営委員の松下玲子(武蔵野市長)さん。

まず、松下玲子さんから開会の挨拶と、今回のテーマの説明がありました。

「鈴木さんのお話を聞いてみよう、そして、議論をしようという意志をお持ちでお集まりをいただきました皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。
本日のテーマは「統一教会と政治家の癒着」です。武蔵野政治塾では昨年の10月以来、統一教会について3回にわたり、講演を開催してきました。10月25日にここ武蔵野公会堂で有田芳生さんと前川喜平さん、11月17日に府中で有田芳生さん、今年1月に岡山で前川喜平さんを、それぞれ講師にお呼びし、講演会を開催し、議論をしてきました。
岡山で開催をした際に、前川喜平さんから「私の話を聞くよりも鈴木エイトさんの本を買ってもらった方が良い」とのお話がありました。そして、「空白の30年間」とも言われているこの期間、カルト的な教団である統一教会をずっと追いかけて、記事を書き続けた鈴木エイトさんは、とても貴重なジャーナリストだとも大絶賛されていました。
統一教会と政治家の関わりはとても根が深く、まだまだ解明されなければならない部分が多くあると思います。昨年7月の事件以降、統一教会がいかに信者の人権を侵害して、家庭を破壊し、金銭的被害をもたらしてきたのかが連日報じられました。そして、統一教会の責任追及と被害者救済は、僅かには前進いたしましたが、統一教会と蜜月を築き、その関係を深くしてきた政治の責任はまったくの手つかずではないでしょうか。
なぜ政治は統一教会と蜜月を築き、各種政策に統一教会はどう影響を及ぼしてきたのか、疑問が尽きません。
さまざまな取材への妨害や圧力に屈することなく、追及し続けてきたジャーナリスト、鈴木エイトさんに本日は、たっぷりお話をしていただきます。」

鈴木エイトさんは、最初に「いま30年追いかけてきたとありましたが、20年ちょっとです」と訂正し、場内は一瞬、緊張もとけ、なごやかになりました。
まず、自己紹介と新刊の本の紹介をされ、それから本題に入ります。

【自己紹介】
鈴木エイト:ジャーナリスト・作家、滋賀県生まれ。2009年創刊のニュースサイト「やや日刊カルト新聞」主筆。宗教カルトと政治というテーマの2011年よりジャーナリスト活動を始める他にカルトの2世問題や反ワクチン問題・ニセ科学問題を取材しトークイベントの主催も行う。
近著: 『自民党の統一教会汚染 山上徹也からの伝言 』 『自民党の統一教会汚染 追跡3000日 』(小学館 )、編著:『カルト・オカルト 忍びよるトンデモの正体』(あけび書房)、共著に『自民党という絶望』(宝島新書)、『統一教会 何が問題なのか 』(文藝春秋)、『徹底検証 日本の右傾化』(筑摩選書)、『日本を壊した安倍政権』(扶桑社)など
マインドコントロール問題対策DVD『カルト ~すぐそばにある危機!~』(日本脱カルト協会/JSCPR)監修

鈴木エイトさんの講演は、「統一教会とは何か」から始まりました。
スライドを見せながらの講演で、動画もありました。
鈴木さんは真面目な顔、真面目な口調で、ギャグを言って笑わせる場面も多かったのですが、文章にすると、そのユーモアがうまく伝わらないかもしれません。ご了承ください。

■統一教会とは何か

統一教会とは、偽装勧誘であるとか、霊感商法、合同結婚式など、数々の社会問題を起こしてきた宗教団体です。
国際勝共連合、UPF(天宙平和連合)、世界平和連合、世界平和女性連合など、多くの関連団体(フロント団体)を持ち、関連企業(統一グループ)を持つ、多国籍企業的な側面もあります。これらはすべて「統一グループ」と呼ばれます。
直近では、「天の父母様聖会」という大きな傘のもとに、こういう団体が入る形に変わっています。
特徴としては、反共組織である「国際勝共連合」などを使って政治工作をすることです。
これが近年クローズアップされています。

■教祖

統一教会の教祖は文鮮明です。その妻が韓鶴子で、いまの総裁です。この2人を「真の父母様」と呼んでいます。
文鮮明は、いまから11年前の2012年に亡くなり、その前後に、韓鶴子は後継候補だった息子たちを追放していきました。その陰にいたのが、霊媒師・金孝南(キムヒヨナム)です。韓国の聖地・清平で「先祖解怨」という行事を仕切っていましたが、内部抗争で更迭されてしまい、その後、尹煐鎬(ユン・ヨンホ)世界宣教本部長が実質支配していました。ところが、この尹も5月9日に更迭されたのではないかとの情報があります。
興味深い動きが起こっています。

■統一教会の日本進出の経緯

朴正熙・韓国軍事政権(1963~)下、KCIAが暗躍していました。そこに統一教会は取り入り、朴政権は、韓国における反共運動に「統一教会を組織化・政治の駒として使う」と決めました。
1970年代、文鮮明はアメリカへ移住し、共和党と接近します。
1978年、アメリカ議会下院は「フレイザー報告書」を出しました。これは、「KCIAによる米政財界工作・コリアゲート事件」をまとめたもので、統一教会の「アメリカでのロビー活動」の実態や、「宗教ではなく政治・経済組織、謀略組織である」などと書かれています。日本も、ここ20年の統一教会の動きをこういう形でまとめるべきだと思います。
当の文鮮明はアメリカで脱税で有罪となり、84年から85年に服役しましたが、このとき「不当裁判」とアピールしました。日本では元首相の岸信介がレーガンに嘆願書を送っています。
1970年、WACL(世界反共連盟)大会を、統一教会・勝共連合が実質主催しました。
1974年5月、日本の帝国ホテルで「希望の日晩餐会」が開催され、岸信介が名誉実行委員長で、当時の大蔵大臣・福田赳夫が「アジアに偉大な指導者現る。その名は文鮮明」と称えました。
日本に進出してきたのは1950年代、60年代からで、日本の政界・財界への工作が始まり、80年代になると、レーガン、中曽根のラインにも接近しています。
一方、1974年に「世界平和教授アカデミー」を創設し、学者の取り込みも始めました。

■霊感商法の始まり

霊感商法を始めたのは1975年あたりと言われています。
その前後の1974年5月の埼玉大会で、文鮮明が「高麗人参茶を売るように」と誓約書を書かせたりしていました。
そして1975年7月、文鮮明が日本統一教会へ送金命令を出し、日本だけが経済的負担を強いられることになりました。
1978年『霊感商法販売マニュアル』には、壺・印鑑・多宝塔・高麗人参濃縮液などを売るように書かれていました。
この頃すでに「勝共推進議員」は数百人いたと言われています。
長年にわたる霊感商法や偽装勧誘で社会問題になり、また、90年・91年の東西冷戦終結によって、反共としての存在感が薄れました。
以降は「文化共産主義」という名前をこしらえ、反ジェンダー運動などで保守系政治家を取り込んできました。

■統一教会と政治家

統一教会は、日本進出初期から有力な政治家の後ろ盾がありました。
それによって、教団による組織的な不法行為が放置され、取り締まりを受けてこなかったのではないかと思われます。
教団のスラップ体質(いやがらせなど)が横行する素地になり、メディアや弁護士への攻撃が始まります。
さらに内部告発しようとした人が襲われた事件も起きます。

■カルト問題にかかわるきっかけ
【次に、鈴木エイトさんが統一教会などのカルト問題に関わるきっかけの話となりました。】

21年前になります。2002年6月、JR渋谷駅改札口で統一教会の偽装勧誘現場に遭遇したのが最初です。
「アンケートです。青年の意識調査です」と言って、青年に声をかけて勧誘している若い人がたくさんいたんです。若い人に限らず、年配の女性も高齢者も勧誘していました。
それを、毎日、仕事が終わった後、夕方から監視していました。当時は恵比寿に住んでいたので、渋谷から始まり、新宿、池袋とまわって、渋谷に戻るわけです。
そのうち、教団に顔も覚えられ、尾行されるとか、楽しいこともありました。(笑い)

■統一教会の勧誘方法

勧誘の特徴を紹介します。「協助」と呼ばれる方法です。
【写真を見せながら】
黒いズボンの女性が勧誘員で、スカートの女性が勧誘対象の女性です。その右でスマホを見ている人がいますが、これも仲間なんです。最初、一対一で話していて、「この人はうまく引き込めそうだな」となると、「協助」のサインを出すんです。頭をさわったり足を組み替えるとか、そういう動作がサインです。それを出すと、隣の人が「一緒に勉強している者です」と加わり、勧誘していきます。
偽装勧誘の休憩時間の写真では、みな、うつむいていて疲れているようですが、そうではなく、文鮮明教祖に「神のもとへ行けるようお導きください」と祈りを捧げているんです。
次の写真は「青年意識調査」を装った勧誘です。「宗教の勧誘」とは一切言わないんです。
直近のもので、「世界平和統一家庭連合」と書いてあります。「AKYC」は、「荒川ユースカルチャー」のことです。その「OB/OG会」、卒業生が、すばらしい教えがあるので紹介したいという形で、勧誘しています。
そこに僕が割って入って、「これ、宗教団体の勧誘だと言ったの?」と確かめます。すると「言ってません。これから言おうと思ってました」とか言い逃れをします。
こうやって勧誘して、どこへ連れ行くか。ビデオセンターです。これが偽装教化施設なわけです。
明るい感じで、入りやすいところです。勧誘では、いきなり宗教的な話はしないんですね。やはりみんな社会不安がありますから、「犯罪とか災害が多いですね」みたいな話から入っていきます。
左に写っているのが「風水四神」「現代に蘇る神獣」があります。2000年代の主力商品の水晶で、一体150万円で、相手の経済状況に合わせて600万円まで購入させていました。
「信者の生産拠点」「ビデオブース」は、こんなところです。【写真を見せる】

■全国指名手配になった

僕はこういうところに、時々、合法的に乗り込んでいます。入る許可をとって入ったり、表で待ち伏せし、出てきた受講生に、「この施設の正体、知っていますか」と声をかけ、やめさせる活動をずっとやってきました。勧誘しているところに割って入り、「これは宗教団体の勧誘ですよ」と告げることもしてきました。
偽装勧誘の阻止やビデオセンターの受講生の救出といった活動を、長年しているとどうなったか。
はい、「全国指名手配」になりました。【笑い】
【「要注意人物」として、鈴木エイトさんの写真と特徴が載ったチラシが映されさました】
「反対活動家」で「やや日刊カルト新聞」記者」と書かれています。
このチラシは、ある人から送ってもらいました。全国の教団の施設に貼られているんです。
これを見て、僕はこれを見て「ひどい」と思い、チラシの下に問い合わせ先として、「世界基督教統一神霊協会広報部」とあるので、「ひどい、これはちょっと許せないです」と教団に電話したんです。
「なんで、こんな不細工な写真を使うんだ」って。【笑い】
「写真がひどいので、差し替えてくれ」と言ったら、替えてくれました。
【変更後のチラシが映り、場内に笑い】
あと、「長身185センチぐらい」とあります。たしかに背は高い方ですが、そんなに高くないです。それも指摘したら、「180センチくらい」となりました。
もうひとり、一緒にチームで取材している藤倉善郎さんというライターもチラシに載っています。藤倉さんはこれを知って、「鈴木エイトはずるい。自分も替えてくれ」と教団に、メイド服を着ているコスプレの写真を送ったんですけど、それはさすがに替えてくれませんでした。
【会場は爆笑となりました。】

■霊感商法で売っているもの

ここからは真面目な話です。
統一教会の霊感商法ではどういうものを売っているのか。
【写真には、ダイヤらしきもの、壺、印鑑などが写っています】
この写真のものは僕が引き取ったものですが、霊を吸い取る壺であるとか、弥勒菩薩とか、高額献金者に教祖夫妻の写真やサインも贈っています。印鑑もあります。
上の方にある白い家の模型は、「善霊堂」という霊界の家です。数百万円献金すると霊界に家がもらえるんです。
2012年ころの教団の主力商品が、430万円献金するともらえる「天福箱」という箱で、教団の経典が7冊か8冊入っています。
いくら献金すると何がもらえるかという表があります。それによると、1億円献金すると、「真の父母賞」と言って、教祖の直筆のサインが2枚とか、そんなものしかもらえません。
それでも、信者の人たちは「神の摂理」として献金しています。
経典などは、韓国では数万円で売っていて、日本でだけ高いんです。

■統一教会の収入額

統一教会の内部資料で「年度別TD推移」というのがあります。
TDは「Thanks Donation」、教祖夫妻への「感謝献金」のことで、年間に400億円から500億円入ってきています。2009年が445億円、10年が475億円、11年が496億円でした、
その下の「Ki」は借り入れなどの経費です。
「1/10」は、収入の10パーセントを献金するもので、2009年は18億円、2010年は25億円、2011年は31億円。
その合計が教団の収入となり、合計で、2009年は858億円、2010年は575億円、2011年は594億円と、約600億円でした。
「OUT」は出るほうのお金ですが、TD、教祖夫妻への感謝献金として、毎年230億円から300億円を、日本から送っていたことになります。

■霊感商法の被害額は

これは、献金の額で、霊感商法の収入は別です。
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の集計では、1987年から2021年に全国弁連や全国の消費者センターに寄せられた、統一教会による相談件数は34,537件で、累計被害額は1237億円を超えているとされます。
しかし、これも氷山の一角であり、実際の被害額はその数十倍、1兆円を超えているとの指摘もあります。それだけのお金が日本から韓国を通じて全世界の統一教会の関連団体へ流れています。
その結果、多くの家庭が破壊され、人生を破壊される被害者が出ています。「破壊的カルト」と指摘されるゆえんになります。
また「カードローンを組ませた上での自己破産」を教団側が指南していたとの証言もあります。計画的にやらせていたとの証言もあります。

■新世事件とは

教団が一番あわてたのが、2000年の「新世事件」です。2000年代後半から、全国で霊感商法販社が摘発されました。そのなかで、2009年2月、渋谷の印鑑販売会社「新世」が摘発を受け、警視庁公安部が「渋谷教会」「豪徳寺教会」「南東京教区事務所」へガサ入れ(家宅捜索)をしました。渋谷教会と南東京教区事務所は教団本部の向かいのビルにありました。
警視庁公安部は、次は教団本部へ強制捜査に入ろうとしたところ、勝共連合の幹部が有力政治家に泣きついて、寸前で止めたと言われています。その政治家が誰かは、僕の本に書いてありますので、ぜひお読みください。
この摘発について、教団の韓国人総会長が何と言ったか。自分たちの行ないを反省したのではなく、「政治家対策を怠ったから摘発を受けた」だと言っています。
そこで、以後、政治家対策を強化していくわけです。

■ジャーナリストとして活動するきっかけ

僕がジャーナリストとして活動するきっかけとなったのは、2011年頃、「やや日刊カルト新聞」に参加してからです。
その頃、荒川で行われていた地域のお祭りが衰退していき、地元の商店街から青年がいなくなったところに、統一教会が入りこんで乗っ取った事件がありました。
盛大なイベントをやっていたんですが、それはおかしいと内実を暴きました。
【「荒川灯籠流し」というイベントです】
翌年、統一教会関係者か全部排除されたら、一気に少なくなりました。
このとき、荒川区議会議員の「長谷川たかこ」さんもお祭りに関わっていました。この方は今年の荒川区議会議員選挙でも当選していますが、統一教会から支援を受けて当選された方なんです。
長谷川さんは、今回で4期目ですが、最初の選挙では信者運動員を使ってまったく無名だったのにトップ当選したんです。
僕が脱会した信者からの情報を得て、追及をした途端、取材を始めた途端に、「まったく知りませんでした」と嘘をついて、信者をポイ捨てしました。
人権侵害を受けてる、カルト教団の信者は被害者だと、思っていますが、そういう人たちにさんざんお世話になっておきながら、関係が発覚したら、ポイ捨てするような政治家はさらにひどいんじゃないかということで、政治家の追及を始めました。

【映し出されたスライドは、「やや日刊カルト新聞」の紙面で、長谷川たかこさんと、統一教会信者であることを隠して2010年に松戸市議会議員選挙に立候補した「おおつた恵美」さんが紹介(落選)されています】

◾️国会議員を追及

主に地方議員を追及していましたが、2013年の参院選をきっかけに、国会議員、国政に関わる政治家を追及するようになりました。その前年12月に第2次安倍政権が発足し、その直後の選挙です。
この参院選で、安倍晋三さん肝いりの候補者だった北村経夫さん(産経新聞の政治部長だった人)の組織票を、統一教会に依頼していたとの情報をつかみました。
これがその内部文書です。ここに、「参院選挙推薦候補、全国区・北村、東京・武見(敬三)、神奈川・島村」など、いろいろ書いてあります。
さらに「全国区の北村さんは山口出身の政治家、天照皇大神宮教(「踊る宗教」とも)の北村サヨ教祖のお孫さんです。首相からじきじきこの方を後援して欲しいとの依頼があり、当落は 上記の「踊る宗教」と当グループの組織票頼みですが、まだCランクで当選には遠い状況です。」
「参院選後に当グループを国会で追及する運動が起こるとの情報があり、それを守ってもらうためにも、今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の死活問題です」とあり、とくに「死活問題」は大きい文字で強調しています。
こういう形で、人気絶頂だった安倍晋三さんが直々に教団に組織票の支援を頼んでいたのを知り、これはちょっと問題じゃないかと思いました。安倍さんだけなのかというと、実は当時の菅義偉官房長官も関わっています。
北村経夫は参院選の運動期間中に、支援者を全員帰した後に、1人でこっそりと統一教会の地区教会に2ヶ所に行き、礼拝して講演をしていました。
支援者のある社長さんが北村に運転手を派遣していたんですが、北村がひとりで統一教会へ言ったことをつかみ、選対部長に「なぜそんな所に行ったんだ」と訊いたら、「菅官房長官の仕切りだ」と答えたそうです。
これは安倍さん、菅さん個人の動きではなく、明らかに首相官邸自体が教団側と裏取引をしているんじゃないか。ということで、国の中枢に関わる政治家と教団の関係を調べ出したのがこの時期でした。

◾️安倍晋三は、いつから統一教会と関係があるのか

報道ベースで確認できるのは、2006年が最初です。
当時の(小泉内閣の)官房長官だった安倍さんが、統一教会の関連団体であるUPF大会に祝電を送っています。このときは、各メディアはちゃんと報道しました。安倍さんは追及を受けて、「事務所が勝手に依頼を受けて送ってしまったようだ。以後気をつけるように注意した」と答えているんです。
この程度のことでも、当時はちゃんと報道していました。

◾️反ジェンダーにおける共鳴

同じ時期、2005年の教団内部文書には、「反ジェンダーにおける共鳴」とあり、これは2013年の参院選における、(自民党と統一教会の)共存共栄関係の前の段階ではないかと、僕はみています。
2000年に成立した男女共同参画基本計画は5年ごとに見直されることになっており、その時期、2005年の10月か11月に作られた資料です。
そこに「第2次5ヶ年計画においてジェンダーという文言を使用させない」「第3次小泉内閣において猪口邦子議員が男女共同参画担当大臣になる」「ジェンダー概念に執着」「安倍晋三官房長官と山谷えり子内閣府政務官でチェックできるように関係省庁、職員に積極的に働きかける」とあります。
明らかにこういう反ジェンダーの運動のなかで、教団と安倍さんがある程度、共鳴していたのではないかじゃないか。
その気配が伺えるのが、2010年の参院選のときに勝共連合が作ったとされる文書です。
教団は一生懸命に否定していますが、この中で山谷えり子に対する組織票、支援をするよう指示が出されています。
【スライド】
そのなかに「ジェンダーフリー問題、青少年問題にとってなくてはならない先生」「男女共同参画五カ年計画が新たに内閣から示され、民主党政権下でさらなる厳しい状況が予想されます。山谷先生、安部先生なくして私たちのみ旨は成就できません」
これは「有田退治文書」と呼ばれていて、なぜかというと最後に、「相対的に有田退治になります」と書かれているからです。(「有田」は有田芳生氏のこと)
こういう形で、反ジェンダーという動きの中で両者が連動していたのではないかという気配があります。
ただ、2010年ぐらいまでは、首相から組織票を頼むようなズブズブの関係ではなかったという流れは、押さえてほしいと思います。
2013年の参院選以降、教団イベントに安倍晋三の側近議員が来賓として出席を重ねていくんです。
2014年12月の衆院選の2カ月前の10月に、八王子の完全な教団イベントに萩生田光一さんと中川雅治さんの2人の自民党国会議員が参加していたことを示す、当日の式次第があります。

◾️教団の名称変更

2015年8月に統一教会は教団名の変更が認められました。
1997年ぐらいから、文鮮明が全世界の教団名を「世界基督教統一神霊協会」から「世界平和統一家庭連合」に変更するようにと指令を出して、各国では変わっていたんですが、日本においては文化庁が、ずっと申請書の受け取りを拒否していたんです。
申請を受けてしまうと認めざるを得ないので、申請の前段階で突っぱねてきたのが、なぜか下村博文さんが文科大臣のときに通ってしまった。
下村さんと教団の関係を調べていきますと、教団のメディアである「世界日報」の「View Point」に、直近の2年間で下村さんのインタビューとか鼎談記事が3回載っています。大臣執務室に教団関係者である「世界日報」の記者を入れているんです。
他にもこの「View Point」に載っている政治家はいますが、直近2年間で3回も載ったのは下村さんだけです。
この当時の文科省には、自民党の政治家のなかで教団関係に近い人が、政務官などの役職にどんどん就いています。
下村さんの後援会にも教団関係者がいるとか、「世界日報」の当時の立木社長から政治献金を受けていたことも発覚していました。
教団の悲願である名称変更式典が行われたときは、多数の国会議員が来賓出席をしたり、祝電を送っています。このとき教団がショートムービーを2つか3つ作りました。
著作権の関係とかで見せられないのですが、その映像の中でひとつだけ、公開3日でお蔵入りになったものがあります。教団の広報局長だった鴨野守さんが作ったもので、僕はかなり高く評価していたんですが、全国の教団関係者から一斉にブーイングが来たらしく、当時教団の渋谷の本部の前にある大型モニターで上映していたんですけど、3日でお蔵入りになりました。
それが原因かはわかりませんが、鴨野さんは金沢や富山など北陸地区に左遷されています。でも、鴨野さんはそこで頑張ってしまって、世界平和連合を通して、富山県の新田知事の擁立に関わるなど、非常に北陸で頑張ってしまったというオチがついています。

◾️「利用される2世信者」

去年の事件以降、いわゆる宗教2世という形で、教団の元2世の方々がいろんな苦しみとか葛藤を発言される機会も多く、また韓国で苦労された方もいらっしゃいました。そういう脱会された2世人たちの苦悩がいろいろ報道されています。
僕が前の本(『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』)で描こうとしたのは、現役の2世たちがどのように教団や政治家に利用されているかでした。

◾️学生団体「UNITE」(ユナイト)登場

2016年1月に、突如「UNITE」(ユナイト)というグループが登場しました。
どういう時期かというと、2015年秋に学生団体SEALDsができ、連日国会前でデモを行ない、選挙権が18歳へ引き下げられる最初の選挙を迎える前でした。さらに、一番重要なのが、共産党が野党の候補者一本化に初めて同意をした時期でもあります。
共産党は全選挙区に候補者を立てていたので、野党が共倒れになり、結局、自民党に協力してるような政党だったんですけど、このとき初めて共産党が(自民党、統一教会にとって)脅威になったわけです。
すると、急に「憲法改正」「安倍政権支持」「共産党反対」を掲げる「UNITE」が登場しました。一応、「勝共連合大学生遊説隊」という名前が付いています。
彼ら彼女たちの言い分としては、「勝共連合とは直接、参加団体ではない」「国を憂える学生たちが自主的に始めた活動だ」ということでした。
疑問に思ったのが、自民党のネットメディア局長の平井卓也さんが、渋谷で行なった街頭デモをフェイスブックで紹介し、「このようなデモはあまり報道されませんが、学生はSEALDsというイメージは間違いです」と投稿しているんですね。
これは何か変だ、妙に政治家が連動している、UNITEの結成や活動に自民党の意向が働いているんじゃないかと調査を始めました。
現場では、勝共連合の遊説隊のリーダーが仕切り、UNITEのメンバーが全員2世だと発覚しました。
そんななか、ついに正体が判明します。西東京教区の信者たちに回ったメールで、「エイト(鈴木エイトさんのこと)が来るかもしれない……とのことですので、対策関連の内容です」とありました。
そこには、UNITEと勝共連合の関係は「外的には2つの看板を背負っての活動ですので関係性を明確にしてください」とあります。
UNITEは「勝共連合の趣旨に賛同した学生たちが、主体的に立ち上げた組織です」「勝共連合の下部組織ではなく、学生たちが運営する自主独立組織です」などとあるんですが、外付けの2つの看板を背負っているということは、中は一緒ということです。
別に勝共連合の傘下組織、下部組織でも問題ないはずなのに、なぜ2つの看板を背負う必要があるのか。そこには政権の意向が働いてるのではないかと、調査を続けました。

このUNITEの姿勢が一番表れているのが、このチラシです。
【スライド「女子高生にもわかる憲法改正」】
吉祥寺で、2016年6月に配っていたものです。「高校生にもわかる憲法改正」ならば、まだ分かるんですが、なぜ「女子高生」と「女子」をつけるのか。こういうところに普通に、女性蔑視が表れています。
これがどういう時期かというと、2016年の参院選の前で、宮島喜文という候補者への組織票の差配を安倍さんか細田さんが依頼したのではないか。
この時期、安倍さんが首相官邸に教団幹部を招待していました。これは、あるルートから確実な裏を取っています。

◾️「UNITE」(ユナイト)は活動しなくなる

2016年12月にUNITEは渋谷でデモをしたんですが、僕がUNITEの正体を暴く報道をしたので、これを最後に、表立った活動はあまりしなくなりました。
結成1年目のUNITEが、記念撮影をしたんですが、その後にお菓子が配られました。「OBからの差し入れです」と言ってエクレアが配られたんですが、なぜ結成1年目の団体にOBがいるのか。このように、いろいろ細部で甘いところがあるんです。
教団のいろいろな資料にも、UNITEがどんどん出てきます。

◾️世界平和国会議員連合

この時期、教団が何をやってたか。
世界平和国会議員連合を作って、全世界で、その国の国会議員を巻き込んでいました。
日本でも2016年11月17日に衆議院議員会館の国際会議場で、100人以上の国会議員と秘書が集まっています。自民党が主なんですが、当時の民進党の人もいました。
2017年2月に韓国で行なわれた総会で、韓鶴子が「国家復帰指令」を出しました。「国家復帰」とは、言ってしまえば、その国を征服するようなものです。教団の教えのもとで支配するという意味で捉えてください。
このときに韓鶴子から国家復帰指令、つまり日本の国の宗教を統一教会にするという指令を受けたのが、山本朋広さん、武田良太さん、民進党の鈴木克昌さん、柳本卓治さんの4人です。多分、韓国語で言われたので、何を言われたかは分かっていないと思いますが。

2017年5月には、統一教会の北米大陸会長兼世界副会長の金起勲(キムギフン)が、「ファクトファインディングツアー」として、「ワシントンタイムス」など教団関係のメディア関係者、アメリカの下院議員たちを連れて来日し、自民党本部を訪ねています。高村正彦副総理、田中和徳国際局長などと会談しています。高村さんは元教団の顧問弁護士で、教団から車をもらってますね。
このとき、北米会長が韓国に帰って、韓鶴子に驚くべき証言、報告をしています。「ヨシヒデ・スガが私どもを首相官邸に招待をしてくださいました」と証言しています。

◾️マザームーン

同じ5月の母の日に「有明1万人集会」で、山本朋広が韓鶴子に、「実の母にも渡したことのない特大のカーネーションをマザームーンに捧げました」と言っています。
宮島善文も、前年の参院選のときの取材では「統一教会の支援なんて全く受けていません、知りません」と秘書が答えていましたが、翌年のイベントでは、「皆さんのおかげで当選しました」と、ぬけぬけと言っています。
「マザームーン」は流行語大賞を取るかと思ったんですけど、ノミネートもされなかったのは、非常に、残念でした。

◾️教団の招きでアメリカ旅行に参加した国会議員

祝勝会には、北村経夫さんと中川雅治さんが参加をしています。この時期、2017年7月13日から、武田良太さんなど自民党の国会議員団が、教団の招きでアメリカへ行きました。自民党以外では鈴木克昌さんもいます。全員、名前は分かっています。
去年の不当勧誘寄付防止法成立に尽力した議員たちもいます。どのツラ下げてやってるんだという気もします。
教団のいざないで、アメリカへ行ってます。議員の政治資金収支報告書や資産報告書を調べると、このときの旅費が載っていなかったりするので、お金は誰が出したんだろうなという疑問があります。
このとき、全国霊感商法対策弁護士連絡会が、統一教会と関係を持たないように全国会議員事務所に申し入れをしています。にもかかわらず、翌月の教団のイベントに国会議員が参加をしています。

◾️韓鶴子への報告会

韓国での韓鶴子への報告会では、梶栗正義さんというUPFジャパン(天宙平和連合の日本支部)の議長で勝共連合の会長が、「今、日本の国会議員たちは80年代に勝共推進議員が200人いた時代と同じような空気になっている。日本の国家復帰のために、日本の政治家の渉外活動を頑張ります」と報告しています。
その中で、僕のツイートがなぜか報告されました。僕は、山本朋広が「みなさんのおかげで、自民党は大変お世話になってます」と発言したのを聞いて、「今後、統一教会と自民党の関係が、公明党と創価学会のような関係になっていくんじゃないか」とツイートしただけなのに、宋龍天・全国祝福家庭総連合総会長が韓鶴子に「日本で最も統一教会家庭連合に批判的な言論人が、イベントが終わる頃には、真のお母様を礼賛しました」と報告しました。僕は、そんなこと、どこにも書いていないんですけどね。また、「イベントを見に来ていたフジテレビと朝日新聞の記者が真のお母様を礼賛していました」とも報告しています。フジテレビと朝日新聞に取材したら、「そんな発言は全くしていない」。
教団に取材したら、「世界日報の記者と勘違いしたようです」と言いました。
韓鶴子はそういう嘘の報告を受けているということです。

◾️政治家への直撃取材

僕は疑惑の政治家を直撃するのが大好きで、山本朋広も防衛副大臣のときの衆院選(2017年)で直撃取材をして嫌がられ、「選挙の自由妨害」ということで警察車両に2時間ぐらい留め置かれて、逮捕されそうになりました。
すぐに弁護士に電話して、「逮捕されるかもしれない」と伝え、一緒に「やや日刊カルト新聞」をやっている藤倉さんにも「ひょっとしたら逮捕されるかもしれません」と伝えましたら、ひどいんですよ、「え、エイトさん、逮捕されるんですか。見に行かなくちゃ。すぐ行きます」なんて言うんです。でも、その前に解放されました。
地元の大船警察署は、一介のジャーナリストの僕よりも、ときの防衛副大臣を信用したわけです。藤倉さんは、「警察を呼んだってことは、やっぱり自衛隊を呼ぶわけにはいかなかったんでしょうね」と言っていました。
そこで、「自己防衛のために警察を呼んだ自己防衛副大臣」という記事を書きました。

次は菅原一秀さんです。僕は彼の地元なんですが、この年の11月の統一教会の憲法改正イベントに出て、信者を激励していたんです。
その前の衆院選でも、統一教会信者を大量に使っていたとの疑惑があったので、本人を直撃しました。最初はいろいろ答えてくれたんですけど、途中から完全無視となりました。
菅原さんとも、5年か6年ずっと、抗争を続けてきました。
菅原一秀さんの百面相が見られる映像が、YouTubeに上がっているので、ぜひ見てください。

◾️統一教会のイベントに参加する国会議員

統一教会のイベントに参加する国会議員がどんどん続出しています。
【スライド】
マスゲームをしているみたいですが、「無条件であなたに尽くします」という内容の韓国の歌を歌っています。韓鶴子はこれを聴くのが大好きなんです。
2018年7月の岡山のイベントでは、菅政権で官房長官を務めた加藤勝信さんが、秘書を代理出席させて祝電を送っています。来賓で来た山下貴司さんは、そのあと法務大臣になっています。【スライドには、他に、北村経夫、逢沢一郎が映っています】

2018年9月に幕張メッセで行われたイベントに、どんな政治家が参入するのか調べるために潜入してしようと、藤倉さんと考えまして、隣でアイドルイベントをしていたので、オタクっぽい格好をして、潜入しようとしたんですが、すぐにバレて、ゲラゲラ笑われました。

2018年10月25日に、国会の議員会館のすぐ裏にあるキャピトルホテル東急で、「国際勝共連合創設50周年記念式典」が開かれたとき、勝共連合の係員の妨害をかいくぐりながら、参加した政治家を写真に撮りました。

◾️家庭教育支援法をめぐる策動

勝共連合が何をしていたか。家庭教育支援法を巡る策動です。
青少年健全育成条例もそうなんですが、2010年代後半から、家庭教育支援法を制定する運動をしていました。各地にダミー団体を作り、地方議会に請願をさせました。全国各地で、ほぼ同じ文面の「家庭教育支援法の制定を求める意見書」という請願書が出されています。
これが地方議会で採択されると、中央へ行き、衆議院と参議院で統一教会と関連する議員が出すという流れができていました。

◾️反ジェンダーの策動

教団がずっとやってきたのが、反ジェンダーの策動です。渋谷区がパートナーシップ条例を制定するときにも、「家庭を守る渋谷の会」というダミー団体を作り、署名活動をやったり、ビラを作っています。このビラのフォントは、沖縄の基地移設に関する教団のチラシと、沖縄の性教育に反対する教団の関連団体のチラシと、ほぼ同じです。
教団はいろんな局面で市民運動などに首を突っ込んで、いろんな策動をしていることが分かります。

◾️日本人幹部修練会

教団の実態がよくわかるのが、2018年9月の「日本人幹部修練会」です。
この中で、韓鶴子の「みことば」では「45年に広島に何か落ちましたか。原爆が落ちましたね」などと言っているなかで、安倍晋三を「屈服と教育の対象」と設定しています。
「私たちは、その国の最高指導者を打ち負かさなければならない、屈服させなければならない」と言っているんです。表向きは安倍政権と蜜月を築きながら、その裏では安倍晋三を屈服と教育の対象と捉え、指示を出しています。
国会議員に対しての原理教育も、教団の内部資料から発覚しています。
去年の参院選のときの「協定確認書」がありますが、その中に、「基本教理セミナーを受けさせる」というのがありました。
教団内部資料にも、「VIPの渉外と教育」とあります。

◾️安部カルト内閣

2019年の参院選で、「北村経夫さん、次はどうかな」と大宮の演説会に行ってみると、信者が大量動員をされていました。教団関係者が会場を仕切っていたんです。
参院選では、他にも、萩生田光一さんを直撃したり、菅原一秀さんから取材妨害を受けたりとか、いろんなことがありました。
この時期の第4次安部再改造内閣を、僕は「安部カルト内閣」と名前つけたんですけど、教団と関係を持ってきた政治家が大量に抜擢されました。

全国霊感商法対策弁護士連絡会が全国会議員の事務所に申し入れをしているんですけども、取材に行ったのは、僕のほか、数人というレベルでした。その前のときもそうでした。
申し入れをしたにもかかわらず、教団イベントに政治家がどんどん参加をしていました。
名古屋の「4万人サミット」がひどかったのは、地方議員が合同結婚式に出ているんです。
70人くらいが出て、30組が結婚しました。そういう形で信者になってしまった。

青年信者を選挙運動員として政治家に斡旋する会合があるとの情報を得て、「平和大使と地方議員の集い」の会場へ行ってみると、北村経夫の講演会を仕切っていた人がいました。
この人は、僕と分かると、「お前が隠し撮り野郎か。私にそっくりな人が、隠し撮り野郎に今度会ったらぶっ殺してやると言っていたぞ」と言うので、「あなたが僕を殺すってことですか」と言うと、「私にそっくりな人だ」と、あくまで自分ではないと言い張っていたんですが、比べてみると、ネクタイも一緒だしスマホのケースも一緒だし、顎の形も一緒で、明らかに同じ人でした。

この会合には、前の前の年に菅原一秀さんが紹介を受けたという情報もありました。
こういう形で選挙運動員の欲しい政治家に、教団が斡旋していると実態が分かりました。

◾️世界戦略総合研究所

世界戦略総合研究所というのがあります。教団を引退したおじいちゃんたちがやっている団体です。安倍晋三さんは在野時代(民主党政権時代)の2010年に、教団の関連関連イベントにしょっちゅう行っていました。この会長は、国際勝共連合の事務総長を務めていた阿部正寿さんで、安倍晋三さんをもう一度、総理総裁にするために盛り上げようと、高野山へ連れて行ったこともありました。
こういう半分民間みたいな人たちの動きが、安倍晋三と統一教会をさらに結びつけたと見ています。ここの事務局長が、「桜を見る会」に3回連続して呼ばれており、安倍晋三さんとの密な関係が見えています。

◾️教団のダブルスタンダードも発覚

一方では2世信者たちに、UNITEとして安倍政権を支援する活動させておきながら、この時期、韓国に2世信者たちを1000人以上派遣して、元徴用工とか従軍慰安婦に謝罪するツアーをさせています。日本大使館や安倍政権へ謝罪を求めるような会見もしています。
こうした教団のダブルスタンダードの記事を出したときは、教団側から速攻で記事を削除するよう仮処分申請がなされました。

◾️2020年2月、教団が韓国で大規模な集会

2020年2月に、教団が韓国で大規模な集会を行なったときは、金正恩とかトランプ、文在寅(ムン・ジェイン)から祝電が届いていました。
一番特筆すべきは、前の国連事務総長が5000万円もらっています。
このときも、日本の国会議員、元国会議員が参加しています。
一昨年、「日本・世界平和議員連合懇談会」が衆議院の議員会館で開かれ、自民党の国会議員が大勢参加をしています。

◾️ UPF集会に、安倍晋三がビデオメッセージ

そして一昨年の9月。UPF集会にトランプと一緒に、安倍晋三さんがビデオメッセージで、リモート登壇し、韓鶴子総裁を礼賛しました。
安倍晋三さんは、このイベントにビデオメッセージを送って全世界に流れたとしても、自分の政治生命、自民党の選挙などに一切関係はないだろう、影響はないだろうと、たかをくくっていたと思います。
実際、このとき報道したのは、「しんぶん赤旗」「フライデー」「週刊ポスト」「実話BUNKA超タブー」の4媒体だけでした。
「実話BUNKA超タブー」の4ページ近い記事は僕が書き、「フライデー」も僕のコメントで構成されたものでした。基本的に、大手の新聞とかテレビ局はこのことを一切、無視したんです。
安倍晋三さんも全国弁連からの質問状を「受け取り拒否」しています。完全に開き直って教団の広告塔になっていたわけではないんですが、自分がこういう団体と関係あることが公表されたとしても、何の影響もないだろうと考えていた。その見立ては正しかったんです。実際に、どのメディアほぼ問題視しなかったわけです。
ただ、安倍さんは、ビデオメッセージをそのときに配信するだけでアーカイブに残さないという条件をつけていました。完全に開き直っていのではなく、こういう教団と関係を持つことの問題性を分かっていながら、関係を持っていたと思います。
教団側は、「安倍晋三さんがビデオメッセージを快諾したのはUPFインターナショナル、ワシントンタイムス経由でトランプがOKしたから安倍さんもOKした」と言っていましたが、実はそうではなく、梶栗正義(国際勝共連合会長、UPFジャパン議長)さんが直接、安倍晋三さんに依頼をしたことが、翌月の教団の内部映像でわかりました。
この2人の関係性は2010年8月5日に、教団の関連のシンポジウムがあった日に、梶栗さんが安倍晋三さんの国会事務所へ陳情に行ったのがファーストコンタクトで、その後、2021年にUPFのイベントへのビデオメッセージの依頼となります。
このビデオメッセージが、教団の被害者である山上徹也被告に対してはどう影響したかについては、検証すべきだと思います。

◾️消費される2世信者たち

2021年の衆院選で、山際大志郎さんを直撃しました。山際さんの事務所には相当数の統一教会信者が秘書として入っています。
令和3年、一昨年の勝共連合の憲法改正イベントで、2世信者たちが「勝共応援歌」という、「血がたぎる」とか、昭和の感じの歌を、勝共女子が歌っていました。学生たちも、「共産主義の脅威」なんて叫んでいました。そんな脅威はいまさらないのに、偏った環境教育を受けていることがわかります。
2022年、去年の参院選では下村博文さんに対し、推薦状が出されたようです。下村さんは参議院ではありませんが、この時期にいろいろ受け取っていたのではないかと、報道がされました。

◾️政治家とのツーショット
【スライドには、「教団関係者と岸田首相のツーショット」
これは「教団関係者と岸田首相のツーショット」として僕がツイートしたものです。
2021年の衆院選の時期で、屋内ではなく屋外での写真です。教団関係者と政治家が外で会うことはありうるので、そこでこういうツーショット写真は問題ないですよという意味で、ツイートしたんですが、これが広がってしまい大変なことになりました。

【スライド「鈴木エイトさんと下村博文のツーショット」】
参院選の運動期間中(2022年6月30日)に、僕が下村さんと会ったときの写真です。
「教団名称変更のときにいろいろ書かれて大変でしたね」と言ったら、「そうなんだよ、いろいろ書かれちゃってさ」と言うので、「あれ書いたの、僕なんですよ」と言ったら、「今度変なこと書いたら訴えるよ」と言われました。

【スライドには、「鈴木エイトさんと菅原一秀のツーショット」】
さらに、奇跡的な写真も撮れました。2023年3月14日に、ずっと無視されてきた菅原一秀さんが、なぜか上機嫌で、僕を見つけて、「お、テレビの有名人」と声をかけてきたんです。そのときの写真です。
菅原一秀さん個人の好き嫌いでやってるわけじゃなく、疑惑は疑惑として追及していくつもりです。

◾️参院選終盤の7月8日に起こった事件が全てを変えた

2022年7月8日に奈良大和西大寺駅前で安倍元首相が銃撃され、亡くなりました。
このとき顕在化したのが教団の悪質性です。金銭被害、家庭崩壊、2世問題などが、過去のことではなく、現在進行形の問題なんだということを、多くの人が知りました。政治家が教団とずっと関係を持ってきた、地方で教団が暗躍していたことも知りました。

◾️教団による政治家の取り組み

2016年の教団の内部資料に、「2020年議員渉外活動と教育目標」があり、「目標」として、「国会議員362人(選挙区の3分の2)と連携をする、地方議員1万人と連携をする」という目標を立てています。
現在(2013~2015年)として、「国会議員150人、地方議員800人と連携」している。
さらに、「食口」議員が地方で44人。「食口」は、韓国では「家族」という意味で、信者議員のことです。さらに、「後援会を結成している国会議員が76人」。
でも、今年の統一地方選では、44年も信者議員は発覚していません。だから隠れ信者議員とか、関係が発覚していない国会議員もまだいっぱいいます。

2世の間に出回っているSNS関連にあった資料には、「衆議院議員の秘書を募集している」とありました。「神奈川県で衆議院議員に当選された政治家の方が秘書を募集しているとのことです。(UCの方ではないとのこと)」とあります。
「UC」というのは統一教会のことです。
さらに、「現在衆議院議員の秘書をしている方(食口の青年)がおりまして、その秘書の方から少し経由して、連絡が入っております。」
衆議院議員の秘書に信者がいることが分かります。
「情報によると、議員は体育会系の方(UCではない)」と、この国会議員が統一教会の信者ではないと、わざわざ言っています。ということは、統一教会信者の国会議員もいるのではないかと、分かります。
国会議員とか政治家に対して、「あなたは教団の信者か」と訊くことは、まったく問題はありません。議員に対して、その人の信仰について訊くのは有権者の投票判断に非常に有益な情報なので、何の問題もありません。

◾️教団についてのメディア報道

2006年ぐらいまでは、教団関連の政治団体などに政治家が年会費・数万円を支払ったとかいうレベルでも、メディアは報じていました。それに対して政治家もちゃんと答えていた。
メディアの監視が働いていたんですが、それ以降、ほぼなくなりました。
それはなぜかというと、教団側のいろいろなクレームも影響があったと思いますが、どちらかというと、「面倒くさい案件はもう扱わないでおこう」となったからでしょう。統一教会に限らず、幸福の科学もそうなんですが、報じるとクレームが来るわけです。
同じぐらいの大きさのネタだったら、「面倒くさいからやめて、こっちにしよう」という感じで、「空白の30年」が生まれたんじゃないかと思います。
そうなると、こういう団体と関係持つ政治家への監視機能が働かなくなります。

それが、去年の事件を機に、こんな重大なことを見逃していたのかと、各メディアが我に返り、健全なジャーナリズムの復活へ向かったんじゃないかと見ています。

◾️安倍晋三元首相運札事件直後のメディア報道

事件当日の7月8日の夜、山上容疑者の動機として「ある団体への恨み」と報じられ、それが20時30分には「ある特定の宗教団体への恨み」と報じられました。
21時30分に、県警の山村和久捜査第一課長が「弁解録取」から、「特定の団体に恨みがあり、安倍元首相がこれと繋がりがあると思い込んで、犯行に及んだ」と発表しました。
この「思い込んで」が世論誘導じゃないかと言われましたが、そうではなく、この「弁録」を取った巡査部長は、まさか安倍晋三さんが統一教会と関係があるなんて夢にも思わなかったので、自分の思いを書いてしまったんだと思います。
選挙前ということも影響したのか、一般メディアでは教団名については報じませんでした。
7月9日の23時22分、Webの「現代ビジネス」が、『【独自】安倍元首相を撃った山上徹也が供述した、宗教団体「統一教会」の名前』という記事を出しました。
さらに7月10日6時:00分、「Smart FLASH」が、『安倍元首相銃撃の山上容疑者 優等生バスケ少年を変えた〝統一教会で家庭崩壊〟…事件前には近隣トラブルで絶叫【原点写真入手】』
この2つのメディアでのみ、教団名を出していました。

7月11日(参院選翌日) 統一教会が京王プラザホテルで会見したことで、各社一斉に教団名を報じたという流れです。

教団の最初の会見は、事件から3日目です。このとき、一般メディアはほぼ入れてもらえず、京王プラザホテルはすごい騒ぎでした。
このとき我々が何をしたか。会見が終わった後に、ホテル側に入れてもらって、「さっきまで教団がやっていた会見は全部嘘です」という会見を開いたんですけど、これもメディアは報じてくれました。

◾️教団の悪あがき

教団はこれまで、メディアに対して、著作権侵害を主張したり、「反社」でないとか、解散命令請求に反対する嘆願書を出したりとか、地方議会へ提訴したり、いろんなスラップ的な訴訟を起こしてます。
鈴木エイトにたいする、「怪文書」とか「対策マニュアル」も出てきました。「鈴木エイトは、フェイクニュースを書く人間なので使わないように」というプレスリリースが2017年に出たり、「ハゲタカジャーナリスト 鈴木エイト」という怪文書が去年、まかれました。
本業は大工とか、根拠がないことが、いろいろと書かれています。誰も知らないようなメディアに僕の悪口が載ったりしています。
「0801対策案」というのもあります。「0801」で「エイト」らしいです。「鈴木エイトと出会ったら、こういうふうに対応しよう」という「対策マニュアル」です。

◾️「反社会的な宗教カルト政治」の問題

この問題は「宗教と政治の問題」という議論がよくされますが、そうではなく、「反社会的な宗教カルト団体と政治」の問題です。
そんな団体をどう規制し、被害を防ぎ、被害者を救済するのかが、政治家の役割であるはずにもかかわらず、そのような教団と取引を行ない、体制保護に寄与してきた政治家たちか少なからずいた。
バカ売れしている『安倍晋三 回顧録』には、統一教会は一切登場しません。安倍さんにとってはその程度の存在だった。
その相手との関係性において、自分の命を喪ってしまったという皮肉でもあります。

◾️政治家の追及がなかなかなされていない

自民党はガバナンスコードをやると言っていましたが、本当に徹底されているのでしょうか。地方ではまったく徹底されていないことが、この前の統一地方選挙で分かると思います。
山際大志郎とか山本朋広は、発言とか振る舞いが面白いので、メディアは当然取り上げるんですけど、本当に取り上げるべきは、そういう人たちを教団のイベントに派遣していた、上の政治家なんです。大物政治家が裏にいるのに、そういう人への責任追及がまったくなされていません。

昨年8月末、自民党は党内で「点検」を行ないました。「アンケート」でも「調査」でもなく、「点検」だと、茂木幹事長はおっしゃっていました。非常に疑問的で、最初の1枚目に「党として組織的な関係が一切ないことは、既に確認済みであります」と先に謳ってるんです。
さらに、一番重いもので、「選挙支援の依頼、組織的動員の受け入れ」で、「秘書として統一教会信者を受け入れている」とか、「政策決定に影響があった」という話は一切ない。
最初から党として関係がないと足かせをつけ、これ以上のことは書くなよという枠を決めている点検で、まったく意味のないものだと思います。
「空白の30年」を繰り返さないためには、幕引きを許さず、追及すべきだと思います。

◾️教団から政治家への資金

政治家にお金がいっぱい流れているのではないかという話があります。
鳩山由紀夫さん、福田康夫さんに、謝礼を払うので出てくださいという話があったと報道されました。福田康夫さんは「教団から出席依頼があったけど拒否した」と、朝日新聞の取材に答えていますが、僕は2021年に福田さんが教団イベントに招聘されたという情報を得たので問い合わせたら、「そんな話は一切ありません」と否定していました。僕には、嘘ついてたことになります。

◾️統一教会問題の今後

今後のことですが、報道が少し減っているのは仕方ないと思います。
解散命令請求はどうなるか。再来月(7月)で事件後1年となり、山上被告の公判前整理手続きが6月に行なわれるので、このタイミングでまた報道が増えていくと思います。

全体の構造は、統一教会が政治家を利用して取り入ってきただけではなく、自民党と統一教会が相互に利用し合って、共存共栄関係を築いてきた。そこにメディアの監視機能が働かないことでその関係がエスカレートしていき、それが安倍晋三元首相のビデオメッセージ出演へと連なった。
この両者の穢れた関係性が、山上被告による銃弾で可視化された。
こういう流れになると思います。

◾️今こそメディアが矜持を見せるとき

当然、いまも教団や政治家から圧力があると思いますが、忖度、自主規制せず、圧力に臆せず、政権にとって都合の悪いことも報道し続けることができるかどうかです。
まったく報じていないメディアもありますが、心あるメディアはちゃんと報じています。

◾️統一地方選での動き

統一地方選では、元2世の有志の方が、どういう人が教団と関係を持ってきたか、統一教会と関わりのあった議員データを有志チームで蓄積してくれていたんですが、結果としては、ちょっと残念なことになっています。

◾️過去の検証をしないままで関係を断つことは不可能な

岸田さんは「未来へ向かって関係を断つ」とさんざん言うんですが、過去の検証をしないままで関係を断つことは不可能なんです。これまでどのような関係であったかを糊塗する発言です。
本当に関係を断つのであれば、過去の関係を検証しない限り不可能です。自民党執行部は究明や解明を望んでいません。
本当に追求すべきことが追及できているかという問題のひとつとして、自民党本部の職員に10人前後の勝共連合のメンバーがいることがあります。これは、赤報隊事件のとき、兵庫県警捜査一課の資料のなかに書いてあります。
この当時、党本部のなかに統一教会関係者がこんなにいたのに、このことすら、まったく調査しようとしていない。自民党に自浄作用がないことが分かります。

◾️スリリングな韓国取材

今月、韓国へ取材に行き、横田一さん(ジャーナリスト)と現地で合流してきたときの映像があります。
【映像、流れる】
5月5日に仁川空港へ着き、六日に龍平(ヨンピョン)リゾート、7日に清平(チョンピョン)へ行きました。このときに、韓鶴子生誕80周年記念式典、合同結婚祝福式、天苑宮奉献式が行なわれています。
空港で撮っていると、止めさせようとしてきます。何を言っているか分からないので、ポケトークで翻訳しながら話していました。
いろいろスリリングな脱出劇とか、映画にもなりそうでした。
傘で撮影の妨害をする人もいれば、無言でずっとついてくる人もいました。
これが総工費500億円の「天苑宮」です。日本の信者のお金がこの建物に使われています。
教団のハンバーガーショップでお昼を食べたんですが、トイレも使わせてもらえなくなり、教団の施設が一望できる湖からも撮ってはいけないと言われるなど、なかなかスリリングでした。

◾️教団の霊感商法のいま

教団の霊感商法は、表向きは商品を介在したものはやっていませんが、先祖解怨とか先祖祝福に1000万円以上かかります。
天賽家庭(430代先祖解怨&430家庭伝道)のノルマを課しているのが現状です。

◾️文化庁の解散命令請求はどうなる

解散命令請求については、質問権行使を6回もやっているが、なかなか進んでいない、本当にやる気があるのかといわれており、教団側としてはちょっと安堵しているみたいな話も入っていますが、僕が押さえている情報では、文化庁はちゃんとやろうとしていますし、裁判でひっくり返されないために、慎重に証拠を集めている段階だと思います。
文化庁の方々に期待をしたいと思っています。

◾️メディア報道では「勇気ある告発者」を保護すべき

声を上げた人がネット上で誹謗中傷を受けています。僕もスレッドをいっぱい飛ばされてますけど、全然平気で、逆にさらしてサンプルを集めているんですが、心ある元2世信者の方たちが攻撃を受けてるのは非常に可哀想です。それはジャニーズの問題にも繋がることです。告発者は守らなければいけない。
それによって変な差別を受けるようではいけない。カルト問題は、差別問題も同時に起こるんです。そういう人たちも守っていくってことが大事だと思います。
僕は、ジャニー喜多川さんによる性加害報道についても、2018年に報道しているんですが、 なかなか顕在化しなかった。

新しい本(『自民党の統一教会汚染2 山上徹也からの伝言』)で、江川紹子さんとの対談の中で触れているんですが、オウム真理教事件のとき、省庁連絡会議ができ、研究会もあって、総括報告書がまとめられました。そのなかで、脱会者の支援や再発防止について書かれています。
カルトは「宗教の問題ではなく、人権問題、犯罪問題、消費者経済問題」だと、ちゃんと謳われています。ところが、その報告書がどこにあったかというと、公文書館にしまい込まれたままで、まったく生かされていなかった。それが今回の事件なんです。
少なくとも今回の事件に関しては、後世にちゃんとした報告書を作らなければなりません。アメリカ議会のフレイザー委員会の報告書みたいに、なぜ安倍晋三という人物が殺されなければいけなかったのか、事件が起こったのかを、国会で調査すべきだと思います。
そういうことも、この本に書いてあります。

山上徹也被告の公判は、裁判員裁判になりますが、動機面を的確に裁判員へ担保した上で審議されるべきです。
僕の記事もそうなんですが、読んでいないのに文句を言う人が多い。今回の本も「山上徹也からの伝言」という題名だけ見て、僕が山上をそそのかしたんじゃないかとか書いてくる馬鹿がいっぱいいます。本や記事を読んだ上で、どういう反応をしても、それはその人の自由なので構わないんですけど、読まないで言う人がいます。
今回の山上の裁判に関しても、裁判員に対して、彼の動機面、全く関係ない政治家を逆恨みで狙ったわけではなく、彼が安倍晋三という政治家を狙うに至った、彼の中での蓋然性であるとか合理性がどの程度あったのかを、担保したうえで審議してほしいと思います。
それを今回、僕は本に書きました。僕もこの裁判に関わっていくことになるとは思います。

◾️再発防止に必要なこと

再発防止のためには、事件を徹底的に検証することが必要です。昨年の事件の他にも、まだまだ顕在化してない社会問題が多いのではないか。社会的弱者、可視化すらされていない、存在する把握されてない被害者は大勢いるのではないか、そういう人を汲んで救済するのは政治家であったりメディアの役割であると思います。

◾️「カルト問題」は「人権問題」

様々な局面で人権侵害が起こっています。信者も被害者です。彼ら彼女たちの人権を守らなければならない。
この事件が、改めて人権問題を考えるきっかけになればと思います。
弱者救済と権力の監視というメディアが本来の役割を果たす時が、いまだと思っています。

~質疑応答編に続く~

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