質疑応答では、青木理さん、寺脇研さんへの厳しいご意見が続出。
会場にいらしていた方々が、いまの日本の政治、社会、そしてマスメディアへ強い危機感と不満、苛立ちなどをお持ちだと、よく分かりました。
今回は女性の発言も、いつになく多かったのも特徴です。
質問は、おひとり2分の時間制限。お名前を明らかにされた方は明記しました。
司会・さこうもみ
お2人のお話の最後、地方自治体の力の話は興味深く聞きました。最近は、「恐れぬ自治体(フィアレスシティ)」という言葉もあり、地域から変えていけるといいなと思いました。
ここから、質疑の時間とさせていただきます。
◾️傍観者にならないでほしい
会場の方 1 女性
すごく残念です。青木さんも、寺脇さんも、ある程度力のある方なんですから、傍観者にならないでほしいんです。「変わらないだろう」なんて言ってないで、変えなければならないんです。もっと本気になって、「変えよう」と思ってください。
【その後、質問ではなかったため、司会者の判断で、次の質問者へマイクが渡されました。】
◾️被爆地・広島のサミットで核抑止を公然と謳い上げたことには、違和感
会場の方 2 女性
地方の政治が変わっていくのは、実に希望です。でも、やはり国が変わってくれないと、わたし、もうすぐ死んでしまいます。早く変えてほしいと思って、立憲民主党をずっと応援しています。でも、先日のG7のあと、5月23日に、岡田幹事長が会見で、「私は被爆者の皆さんとは意見が違う。核抑止は必要だ」とはっきり言いました。また「党もその方針だ」ともおっしゃった。わたしはびっくりしました。公式の場でそのような発言をするのは、立憲民主党が核抑止を進めるということだと思います。
それなのに、記者は誰も質問しませんでした。自分が聞き間違えたのかと思い、YouTubeで何回も見ました。はっきり「核抑止」と言っています。
立憲の支持者のみなさん、私の少ない支持者のみなさんは、口をつぐむか、「ウクライナに核があれば今回のようなことにならない」という意見が広まっています。
青木さん、記者だったら質問すると思うんですが、私がおかしいですか。
青木理さん
まったく、同感です。
詳しくは知らないんですが、ゼレンスキーの記者会見で、中国放送の記者が「この広島でのサミットで武器の供与が議論されたことをどう思うか」と質問したら、ネット上で炎上したんですね。中国放送のなかでは、「よく質問した」「当たり前のことだ」と先輩の記者からも後輩の記者からも言われ、質問した記者への批難の声はなかったそうで、ああよかったと思いました。
広島ビジョンは、政治的立場によって受け止め方はいろいろでしょうが、被爆地・広島のサミットで核抑止を公然と謳い上げたことには、違和感を感じます。
広島サミットの前に、ある自民党の大物OBと話したんですが、しみじみと「サミットは広島ではなく、長崎でやるべきだったんじゃないだろうか」と言っていました。
G7の影響力が下がり、一方でグローバルサウスなどが上がってきていますが、1975年からサミットは開かれてきた。日本でも、東京、北海道、伊勢志摩、沖縄などで行なわれましたが、総理大臣の選挙地盤で行なわれたのは今回の広島だけです。広島だけが被爆地だからと許されているのはおかしいのではないか、という話でした。
本当に岸田さんが「核なき世界」を目指すのであれば、長崎でやるべきだったのではないか。広島には、すでにオバマ大統領が行っていて、広島からのメッセージも発せられています。だから、自分の選挙地盤ではなく、長崎でやるという発想が必要だったのではないか――こう、自民党のOBの人が言っていました。
僕は自民党を評価しているわけではありませんが、こういう発想をし、発信できる政治家がいたという点に関しては、良かったと思います。
◾️難民は国の人権意識のリトマス試験紙
会場の方 3 女性
青木さんも言われましたが、直近で起きた恐ろしいことが、入管法の採決でした。内容としても、人の命がかかっている問題だし、決め方も日本の民主主義が崩されてしまうような決め方がされたと思います。
「立法事実」の問題です。「日本に難民はほとんどいない」という誤った情報を伝えた人の言葉だけをもとにして、衆議院で審議され、参議院でも、誤った情報だと明らかになったのにそのまま審議されています。【その後、成立】
世界の水準から見ても、日本のあり方がおかしいということが、報道されないまま、国民が何が起こっているのかよく分からないまま、ここまで来てしまっていると思います。
私自身、国会に今週は毎日通いました。でも、マスコミが報道してくれません。5500人が集まっているのに、そういう市民の声も伝えられない。こういうマスコミの足腰の弱さを非難してもしょうがないのかもしれませんが、もっともっと、こういう息吹があるんだと伝える力があると思うんですが、この報道についてどう思っていらっしゃいますか。
青木理さん
まったく、同感です。
難民条約は、移民を受け入れるのか、外国人労働者を受け入れるのかというのとは違うんです。移民や外国人労働者は、政策の問題です。もちろん、外国人労働者が、非常に劣悪な環境にいて、それは問題です。労働者として日本に来てくださる方と隣人として共生できる仕組みにしないと、ほっといても、誰も来てくれなくなると言いたくもなります。
でも、それと異なり、難民に関しては受け入れ国が保護することが責務なんです。その難民の方々をどう扱うかに、その国がどれくらい人権意識を持っているかのいちばん明確なメルクマールがある。一種のリトマス試験紙だと思います。
日本は、ご存知のように日本の難民認定率は1パーセントにも満たない状況です。
アメリカでもヨーロッパでも、難民流入が右派ポピュリズムやトランプ現象を生み出して、社会が葛藤している面がありますが、日本は、そのはるか手前、「入れない」という段階にあり、こんなことをしているのは絶望的状況だと思います。
先日、刑事訴追されたトランプは、「メキシコとの国境に壁を作れ」とか、「移民を叩き出せ」と言っていましたが、そのトランプさんの名言というか迷言に、「理想の国は日本だ」があったらしいです。【会場、笑い】
トランプイズムは、日本のほうに根付いていると思うと、がっかりします。
マスメディアに関しても、おっしゃる通りです。新聞はそこそこ報じていますが、遅いですね。テレビにいたっては、ほぼやっていません。僕もテレビメディアの片隅にいる立場ですが、泣きたくなります。
さきほど、「影響力があるんだから、がんばりなさい」い言われました。その通りだと思いますが、メディアの仕事はあくまでも傍観者ではあるんです。だから、傍観者の立場は貫こうと思っています。「書いていることが生ぬるい」と言うのであれば、その批判は甘んじて受けますが。現状がひどいというのは同感です。
会場の方 4 男性
フリーのライターで角田といいます。私は『教育委員会の真実』という本を10年前に書いたのですが、ご存知でしょうか。
教育委員会について長年調べていまして、地方分権のせいもあり、自治体によってかなり温度差があるんです。
【以後、特定の団体や個人の話題となり、会場からも「あなた、やめなさい」との声が上がり、一時は騒然とした空気となりました。このくだりは、カットします。】
【時間がなくなってきたので、以後は、会場の方に質問をしていただき、そのあとで、お2人にまとめて答えていただくことになりましたが、このレポートでは、質問ごとに回答を記します。また、順番も実際のものとは異なります。】
◾️入管庁を法務省から切り離すべき
会場の方 5 女性
武蔵野市議会議員の山本ひとみです。
私も入管法がおかしいと思い、デモや集会になるべく行き、市内でもスタンディングをしてきました。
私自身、何度も難民申請をしている友人がいますし、聞いた話では、国境に入ったとたんに軍事政権に抵抗していた人たちが殺害された可能性があるそうです。そういう危険がいっぱいある法案が強行採決されたのは非常に残念です。
でも、こういう人権侵害に心を痛めている人たちが広がっています。今回の運動で希望を感じるのは、若い人、20代の人が多いことです。ジャーナリスト、新聞記者は、国会正門前の集会には時々、きていましたが、もっと市民の運動を見に来ていただき報道していただきたい。映画にしていただきたい。これは不可能なことですか。
青木理さん
入管法の問題で若い人たちがデモや集会に来ていることは、僕も国会前や高円寺で見て、同感でした。組合の動員ではない若い人たちがいるのは、希望です。
しかし、法案は通ってしまいました。
この問題は、さきほども話した、法務・検察のあり方を変えるべきだと思います。これは今回のテーマのマスメディアの問題とは無縁ではなく、メディアが法務・検察を聖域化してしまった。
「朝日新聞」が大阪地検特捜部の証拠改ざんを報じて問題となったこともありました。一時期、民主党政権のとき、検察のあり方を根本的に変える会議ができたんですが、すっかり骨抜きにされてしまいました。
入管の業務は法務・検察が担っていますが、この法務・検察は治安機関ですから、治安維持の発想で、難民とか外国人は管理と監視の対象でしかない。難民認定をする組織の独立性を高めると同時に、出入国在留管理庁(入国管理局を前身とする法務省の外局)を法務省から引っ剥がすべきです。仮に監視や管理が必要だとしても、人権を重視する組織にすべきです。
日本の政府で人権擁護を担当しているのは法務省なんですね。これは泥棒に合鍵を渡すようなものです。法務官僚に人権擁護を担当させるのはどう考えてもおかしい。
先進国では韓国もそうですが、国家人権機関を独立させています。そうすれば、今回のウィシュマさんのような事件が起きたとき、その国家人権機関が迅速に調査し問題点を直せと言える。
人権擁護局と入管を法務省から引き離すべきだと思います。
僕は傍観者ですが、傍観者として書いて、このことは、しゃべっていきたいと思っています。
◾️ラジオ番組が突然終わってしまった
会場の方 6 男性
青木さんが出ていらした、TBSの夕方のラジオ番組が好きで聴いていたんです。青木さんはたしか月曜日に出ていらして、他のコメンテーターのなかでは宮台真司さんが好きでした。それが、5年くらい前でしたか、突然終わってしまい、モヤモヤが残っています。とても悲しかったんですが、当事者のおひとりとして、青木さんにとって、番組が突然終わるのはどんな体験だったのでしょう。
青木理さん
「ディ・キャッチ」(TBS)のことですね。終わりました。【2019年3月】
ただ、ラジオもテレビも、雑誌もそうですが、始まったら終わるものですが、たしかに、終わり方は残念だったと思います。荒川強啓さんもお年でしたので、いずれは終わったとは思いますが、突然、打ち切りのようになって終わりました。その後は、緩い情報番組をやっています。
これは「お金の問題」と、面倒なことをやってあちこちから何か言われるなら、そういうことのない緩い番組にして聴取率、視聴率を取ろうよと発想は、テレビ・ラジオメディアに流れている証左なんだろうな、と。
国谷さんや岸井さんを辞めさせたのも同じベクトルで起きたことでしょう。
しかし、TBSラジオを持ち上げるわけではありませんが、きちんとした報道番組もあるので、希望はあります。
◾️武蔵野政治塾の運営に提案
会場の方 7 男性
田辺といいます。今回初めて(武蔵野政治塾に)参加したんですが、この運営について提案したいと思います。
我々がなぜここに来ているのかというと、現状の何が問題で、なぜそうなったのか、どうすれば変えられるのか、それを聞きたいからだと思うんです。
今日は、現状の何が問題かは、うかがうことができましたが、なぜそうなったのか、どうすれば変えられるのについては、私の聞いた限りでは、なかったと思います。
話は飛びますが、宮崎謙介という元国会議員が書いた本(『国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。』徳間書店)を読んだんですが、「デモを2時間するよりも政治家と20分会ったほうが得るものは大きい」というようなことが書いてありました。
私も反原発デモに参加してきましたが、「負け犬の遠吠え」という言葉がありますが、事態の改善にはなっていません。やはり何らかの形で政権に入っていなければならないという現実があると思います。
今日のテーマは「メディアは生きているか」だったと思います。政権側に与したほうが情報を取りやすいというのはあると思いますが、それをどうやったら変えられていくのか、お伺いしたい。
◾️地方からでも変えられる、民間でできることがある
寺脇研さん
今日はマスコミがテーマだったので、その話をしましたが、役所も忖度ばかりですね。行政、政治、司法、みんなおかしくなっていると思います。そのなかで何ができるか。
地方では何もできないと言われました。以前、「不登校」はよくないこととされ、「登校拒否」と言われ、学校へ行かない子を無理矢理連れて行きましたが、いまは止めました。広島県教育委員会が、それを止めようと決めたからです。そうすると、よその県も、そうしようとなり、文部科学省も地方がそうしているのならと制度を変えてくれたことがあります。
地方の教育委員会、地方の行政にもできることはあります。そういう事例については、機会があればゆっくりお話しします。
メディアを変える手段としては、私がメディアを持つ、青木さんがメディアを持つということがひとつあります。YouTuberになる道があります。
教育に関しては、私はもう役人ではないので、変えることはできませんが、メディアは持てるかもしれない。
難民の問題で、運動に若い人が増えたのは、嬉しいことです。いままでの、「いい大学へ行きなさい、会社に入りなさい、大学へ行ってからそういうことは考えなさい」を、少しでも変えようとしたことの成果が出ているのかなとも思います。
私は役所を辞めて10年以上になりますが、いま、隣の杉並区にある「カタリバ大学」【NPO法人カタリバがやっていて、寺脇さんが学長】という民間の学びの場を作りました。そこに関心を持っている若い人たちが来ています。そういう民間の街場で学びの場を作ることで、少しは役に立てるかもしれない。
さこうさんも、そこで学んでいたひとりです。最近マスコミに就職した人がかなりいて、彼らが記者になってくれれば、また希望があるかなと思っています。
さっき「変えられない」と言ったので、やる気がないと思われたかもしれませんが、客観状況が難しいのは事実ですが、自分にできることはやっていきたい。
役所にいればできることもありますが、追い出されたので、外で何かをやる。メディアを持つことも考えています。
◾️マスメディアの将来は絶望か希望か
会場の方 8 男性
藤田といいます。マスメディアの将来に関してお尋ねします。非常に劣化し、監視機能を失っているマスメディアが増えている状況だと思います。今後、10年後、20年後、あまり変わらないという見通しでしょうか。それとも、もっと悪くなるという見通しでしょうか。
たとえば、「朝日新聞」が「読売新聞」と同じような路線になって、はたして生き残れるのかとか、「ニューヨーク・タイムズ」みたいに反転して成功するメディアが出てくる可能性があるのか。
関連して、劣化したメディアのなかで、私たち市民は個人としてどう対処をすればいいのか。私自身は、50年ほど「朝日新聞」を購読していましたが止めて、「東京新聞」にしました。あるいは、テレビにも問題があるので、そろそろテレビ受像機を捨てる時期が近いのかなとも思っています。
悩ましいのは、新聞もテレビも、ときにはいい記事、いい番組があることです。
青木理さん
マスメディアの将来は、正直言って、もっと悪化すると思います。
アメリカは日本よりも何周も早く紙メディアの危機が訪れて、地方のメディアはバタバタと潰れていきました。その潰れたところが、トランプ政党になってきています。
アメリカで取材している記者にきくと、地元に密着したメディアが潰れると、情報が流れないだけでなく、市民運動も弱るそうです。
行政の腐敗が見逃され、市民運動も弱ると、トランプ的ポピュリズムに流れます。
ただ、「ニューヨーク・タイムズ」は反転し、デジタルの契約者が数百万から1000万近くになり、息を吹き返しています。「ワシントン・ポスト」もです。
これはアメリカの特殊性で、「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」はローカル紙なんです。だから、部数はせいぜい数十万部、100万部いっていなかった。ところが、デジタルになると、英語ですから、世界中の読者が契約するようになりました。
クオリティ・ペーパーに徹したことで、デジタルになると反転でき、かつてより経営基盤は強固になっています。
日本の新聞は、数百万部を維持するガリバー的なものでしたので、崩れていくのも時間がかかり、いまでも「朝日」が400万、「読売」が600万くらいと言われていますが、いずれ崩れ去る。
しかし、日本語のメディアですから、デジタルに替わっても世界中で読まれるわけではない。「朝日新聞」のデジタル版の会員は、30万くらいのはずです。もちろん、これは大きな数字ですが、800万とか900万を出していた時代の記者、取材体制は、これでは維持できなくなります。そうなると、既存メディアはどんどん細っていく。
残念なことに、日本では、それに替わるデジタルメディアが生まれてくる兆候が、ないんですね。個別にがんばっているメディアもありますけど。
にもかかわらず、ネット上の一次情報――取材して校閲もしている情報――の発信源は、僕の見るところ、ほぼ新聞と雑誌が担っています。
「週刊文春」もそんなに明るくないでしょう。一次情報の流れる量が、どんどん減っていくでしょう。
メディアの中で生きてきたから言うわけではありませんが、メディア、健全なジャーナリズムは社会に必須なインフラなんです。これがなくなると、空気と同じです。我々が接種できる、良質で客観的で公平な一次情報が入ってこなくなると、社会が弱っていく。
なんとかしないといけない。メディアは興行物でもあるんです。
ダメなメディアは徹底的に批判してかまいませんが、数少ない、がんばっている記者、編集者、プロデューサー、番組には、声援を送って、なんとか、そういう人たちがふんばっていけるようにしたい。それと並行して、新しいメディアをどう作るか。
◾️記者、プロデューサー、編集者に声援を
青木理さん
「デジ・キャッチ」の話が出たのでしますが、がんばっている番組ってけっこうしんどいんんです。
僕のような人間を出そうとする、テレビやラジオのプロデューサーやディレクターは、根性のあるヤツなんです。僕なんか出さないで、当たり障りのないことを言う人を出しておけば、トラブルにもならないし、政権にも睨まれない。それで視聴率が取れれば一番だと思っている人が多い。
出ていたラジオ番組の生放送で、僕が「ネトウヨの連中」と言ったら抗議が殺到しました。
人間って不思議で「正の感情」はぶつけてこないんです。「よかったよ」「素晴らしいよ」という反響はあまりない。
だけど、「負の感情」は、ものすごい勢いでぶつけてくるんです。「けしからん」「許さん」「左翼だ」「半日だ」「朝鮮半島へ帰れ」とものすごい抗議がラジオ局にきました。
プロデューサーは女性だったんですが、このとき女性は強いなと思いました。番組が終わって、プロデューサーに「まずかったかな」と言ったら、「まずいですよ、青木さん、絶対にやめてくださいね」と言うんで、「これからどうしたらいい」と訊いたら、「これからはネトウヨのみなさんと言ってください」【会場、拍手と爆笑】とニコニコ笑っていました。
そういう人たちが、支えてくれています。
入管法の現場に来た記者たちは――デスクに「行け」と言われて来ている人もいますが――良質な記者です。がんばっている、がんばろうとしている記者です。だけど、なかなか大きな記事にならない。ですから、新聞社に「なぜあの記事、もっと大きく載せないのか」「記者ががんばっているのに原稿をボツにしたのか」と抗議するのはいいし、するべきです。
がんばっている記者、プロデューサー、書籍の編集者、制作者には声援を送りましょう。良質なジャーナリズムを公共財として残していくよう、一緒にがんばりましょう。
【拍手】
【最後は、武蔵野政治塾の事務局長・橘民義から、閉会の言葉です。】
武蔵野政治塾は「静かに、落ち着いて、そして激しく議論する」ところです。
今日は、「静かに、落ち着いて」くださった方もいれば、「激しく議論」された方もいらして、本来の姿となり、私としては非常に満足しています。
実は、うちのネコが家出をしまして、55日間、帰ってこなかったんです。他人の世話になっていたんです。
私は探すために、自分でポスターを作って電信柱に貼りました。岡山で県会議員をやっていたんで、ポスターを貼るのは得意なんで、ネコの写真付きのポスターを貼ったんです。
それを写真に撮ってネットに上げてくれた人がいて、それを見て、みつけてくれた人がいて、帰ってきたんです。これで話が終わったら、めでたしめでたしで、面白くないでしょう。
帰ってきたネコに聞いたんですよ。「55日間、おまえ、何をやっていたんだ」と。
そうしたら、「世の中、見てきた」と言うので、「どうだった」と訊きました。
「ひどいもんだよ。給料は上がらないのに家賃は上がる。年金も上がらない。もうやっていけないギリギリだという人がたくさんいる。引きこもりの子どもじゃなく、引きこもりの大人がいる。子どもを産みたいけど、産めない人がたくさんいる。こういうこと、おじいちゃん――私のことです――知っている?」と言うので、「知っているつもりで、政治塾をやっているんだよ」という会話をしました。
今日は、青木さん、寺脇さん、ありがとうございました。
絶対に政治記者にはなりたくない、政治取材はしたくないとおっしゃっていた青木さんが政治塾に出てくださったのはすばらしいことです。【拍手】
そして、「聞き役でしかない」とおっしゃっていた寺脇さんがたくさんしゃべってくださり、これもすばらしいことです。【拍手】
キーワードは「新宿・ゴールデン街」と「大手町の日本最大の発行部数の新聞社」だったと思います。
絶対に、青木さんも寺脇さんも傍観者ではないです。傍観者だったらこんな所に出てこないです【拍手】青木さんが傍観者だったらテレビに出ないし、本を書いたりしない。寺脇さんも変な映画を作りません。【笑い】心から感謝しています。
話が傍観的だったかというと、私はそうではないと思います。現状を深くきちんと言うことは、傍観ではないと思います。
事務局の運営についての提案がありました。「なぜこうなのか」「どうすればよいのか」が提案されないと面白くないとのご指摘でした。それは私もその通りだと思います。
ただ、「なぜ」は言えても、「どうしたらいいか」は難しい。政権に入っていくのもひとつの手かもしれません。
ここで私個人の意見を言わせていただくと、いまの政権に入ることには反対です。時間がかかっても、新しい政権を作ることを諦めないで目指すのが大事だと思っています。【拍手】
いろいろな議論のなかで、立憲民主党の話も出ました。党内にはいろいろな人がいます。原発に反対の人も賛成の人もいます。岸田さんのように軍事費を2倍にすればいい言う人もいれば、それは駄目だという人もいます。それでも一緒にやっていくのか、それではやっていけないのかは、逆に、私たちが選挙で判断するしかないんです。立憲民主党にああだこうだ言っても、そういう議員が当選してきているんですから。それが現状です。次の選挙で、こっちの人を通しましょうということしか、私たちにできることはないんです。
選挙と、選挙に向かって運動していくことしかないので、がんばっていこうと思います。
武蔵野政治塾は、みなさんに何かをお願いするところではないし、何かを考えてくれ、感じてくだされば十分なわけで、青木さんや寺脇さんのような面白いゲストをお呼びして、しつこくしつこく、諦めないでやっていきたいと考えています。
【今回は、事務局の判断で、ここへの掲載は見合わせた部分もあります。リアルな武蔵野政治塾は、エキサイティングです。ぜひ、会場にお越しください。】