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NEW!!【活動報告】第17回「統一教会と政治を考える」質疑応答篇

続いて、川内博史さんの司会で、質疑応答となりました。

川内博史さん
これまでの緻密な調査・取材に基づく、事実の持つ重みを、ものすごく強く感じました。
カルト、社会的に問題のある団体、反社会的団体は、本当に大きな問題です。しかし、反社会的な団体を利用する政治はもっと問題じゃないか、というところに、非常に強く思いを共有するところがあります。
しかし、権力は人間のもつ便利さを利用するんです。何が便利か。嫌なことは忘れるんです。これまでの政権の様々な問題が、忘れ去られてきました。私たちが問題意識を持って追及し、指摘をし続けていると、「いつまでやっているのか」と言われてきました。
その繰り返しですが、もうここまで日本の政治がカルトと結びつき、お互いに利用するなかで、ここまで腐敗してきたとするならば、皆様のお力で、政治を変えていくしかないんだと、そこが、鈴木エイトさんの今日の結論だと思います。
では、みなさまからの質問タイムとします。

■統一教会より危険な「摂理」
会場の方1
市内で大学生を中心に、カルトの注意喚起をしている者です。
九州圏内だと、統一教会から派生した「摂理」が、大学生の間で非常に広がっています。「摂理」について何か情報があったら、教えていただければと思います。
もう一点、統一教会は「摂理」を含めて、今非常に情報がおもてに出ないように注意していて、注意喚起が難しい状況になっております。若い方へ、どういったアプローチで注意喚起をしていったらいいか、アドバイスがあれば教えていただきたく思います。
【「摂理」は、韓国の「キリスト教福音宣教会」の通称。創設者の鄭明析(チョン・ミョンソク)は1999年に元信者女性の拉致・監禁事件において鄭による女性信者への性的暴行が告発され、2007年に北京で拘束され、2009年に女性信者への強姦及び準強姦罪で懲役10年の実刑判決を受けた。】

鈴木エイトさん
今、統一教会よりは「摂理」のほうが大学生にとっては喫緊の課題であって、特に九州は相当浸食してるんですね。
大学生が取り込まれて、第2世代もできています。韓国発祥で、教祖の鄭明析(チョン・ミョンソク)は元統一教会なんです。
2世への刷り込みも、統一教会のレベルではなくて、教団を離れると悪魔に頭を食われるみたいなことを、映像を見せて説いています。特に若い女性信者が性被害にあっている状況もあります。
10年ぐらい前に一度けっこう報道されましたが、それ以降、ちゃんとメディアも報道しきれていないので、「摂理」に関しては本当に注意してほしいと思います。
九州においても、牧師さんが注意喚起をし、日本脱カルト協会もリリースを出して情報を流しているので、そういうところを拾ってほしいと思います。僕も「摂理」に関しては、なかなか発信しきれていないので、ちゃんと発信していこうと思います。
大学生の勧誘は、SDGsを掲げているケースが多いです。小学校へ臨時講師として入り込むとか、ボランティア活動を通じたり、オンラインサミットなどを開いて取り組んでいる。コロナ禍が落ち着いているなか、今後対面での勧誘も相当広がって来るケースがあります。
とにかく、カルトって怪しくないんですよ。いろいろな大学が、「怪しいカルトに注意しましょう」と頑張っているんですが、怪しかったら気づくんです。怪しくないから、気をつけないといけない。簡単に個人情報を交換したり、教えたりしない。
あとチラシなどに連絡先とか所在地が書いてないところは、まず怪しい。
POSSEもそうなんです。
【特定非営利活動法人POSSE。若者自身によって若者の労働問題を解決することを目指して設立された。】
政治的なセクトで、一方でちょっといいこともしているので微妙なんですけど、実態としてはかなり悪質なセクトです。
あとはマルチ・カルトの「環境」もあります。こういうところも含めて、大学生が狙われています。すぐに判断しない、自分の情報を教えない、ちゃんと調べる、そういうワンクッションを置いてほしいと思います。
今の質問をしていただいた方は、本当に貴重な活動をしていただいてると思う。いろいろ情報共有できたらなと思います。

■怪しい弁護士を見分ける方法は
会場の方2
弁護士でも、ちょっと怪しい方がいるんですが、そういう人を見破る方法とか、何か手がかりを存知でしょうか。

鈴木エイトさん
信者弁護士もいますし、2世の弁護士も何人かいます。変な保守派の弁護士で教団に協力している人とか、第三者を装いながら実は代理人だったこともあるので、見分け方があったら、僕も教えてほしいくらいです。
変なことを言っている人がいたら、変なことを言っていると、ずっと指摘するべきと思います。

■自民党・清和会と統一教会の関係は
会場の方3
自民党との話が多かったんですが、自民党でも清和会が中心だと思っています。どこまでいろんなことを調べられているのでしょう。
鹿児島の場合は、清和会の代議士と言えば、川内先生が今度また戦う、宮路(拓馬)さんのお父さん(宮路和明)が清和会だったんです。私も清和会の議員の先生のところに、30年前にいました。
この統一教会の問題は、スタートは清和会だと思ってます。

鈴木エイトさん
萩生田光一さんもそうですが、統一教会は名称変更をしたいということで、相当、文部科学省系のところに、関係ある政治家を送り込んでいます。
自民党の派閥の中で統一教会と関係を持っている議員は、歴史的経緯を見ても清和会が一番多いです。でも、中曽根さんなど、清和会以外の人とも強いパイプを持ってきているので、清和会だけを見るのも、またちょっと違ったりはします。
維新とも、いろいろ関係性も見えてきているので、特定の派閥でどうこうという見方、そういうアプローチも必要ですが、同時に、そうではない見方もしていくべきかなと思います。
いろいろ貴重なご指摘ありがとうございます。

川内博史さん
今のご質問でいうと、スタートは岸信介さんすね。安倍晋三さんのお祖父さんから始まっていますが、もう今日にいたっては、政治はもちろんのこと、ありとあらゆるところに、統一教会の勢力が浸透をしているという理解でよろしいでしょうか?

鈴木エイトさん
そうですね。いろんなところに根を張って侵食してるのは確かです。
ただ統一教会自体はそんなにたいした団体ではないという認識も、一方では正しく、そんなにたいした団体ではないのが、これほどはびこって根を張って、影響を与えてきた問題性というのがあります。
そういう人たちを入り込ませるようなシステムになっていたことが問題なので、そういうところも、今後考えて、カルト規制法、政治家とカルトとの関係を規制するようなものが必要になるのかなと思います。

川内博史さん
たいした団体でもない統一教会が、なぜそれだけ侵食できるのかというと、集金団体としてものすごいお金を集めて、お金を配るからですか。

鈴木エイトさん
そうです。それと、マンパワー的なところです。

■被害者はお金がなくなったらどうなるのか
会場の方4
被害に遭われた方のことが気になったんです。報道等で、自己破産まで追い込まれたと目にしますが、全財産がなくなってしまった後、信者の方は、何らかの活動をさせられるのか、切り捨てられるのか。お金がなくなってからは、脱会できるんですか。
この事件があって、いろんな報道がなされましたが、その後その信者の方へのサポートというか、被害に遭われた方が救済されるような動きは広がっているのでしょうか。

鈴木エイトさん
山上被告の母親も、自己破産した後も献金を続けているんです。絞り取れるものは、とことんまで利用されるのが実態です。
勧誘マニュアルなどを見ると、言い方が悪いんですが、「病気を持ってる人とか障がい者には声をかけるな」とあります。教団に貢献できない人は誘わないんです。通常の宗教であれば、そういう人こそ救済の対象にすべきなんですけど、そういう団体ではない。
絞れるところまで絞る、使えるまでは使う団体です。
被害者の支援について、被害弁護団もあり、集団交渉し、時効などで難しいような人も含めてちゃんと救済していく動きがあります。
解散命令請求との兼ね合いもあります。教団に解散命令が出ると、高裁の判決での段階で、清算人がつくんですが、その段階で清算される可能性があります。宗教法人でなくなると、教団は自前の不動産を持てなくなるので、関連団体に名義を移したり、個人に移したりし、お金は韓国へ運んでしまって、被害者の賠償がなされない可能性があるので、資産を移させない、それを保護するための法整備も必要だという議論が進んでいます。
いかに被害者に対して弁済ができるかを考えて、進めていかなければなりません。
教団内部では、完全な報道被害だという被害者意識がどんどん膨らんでいます。脱会者が増えているかどうかも、集計は出ていませんが、そういう人たちに対してもどうアプローチをしていくか。
本当に分断が起こってしまっています。完全に内と外、敵と味方という見方があって、現役の2世たちも、外への攻撃性というか、被害者意識を強めています。
いろいろときめ細かく見ていかなければならない、どんどん課題は大きくなっていくと思います。

■自民党支援のネットと統一教会の関係
会場の方5
私はよくSNSを見るんですが、今はなくなりましたけど、「Dappi」や「J-NSC(自民党ネットサポーターズクラブ)」が、もしかしたら統一教会と関係があるのではないかと見ております。あと、創価学会とも、もしかしたら関係があるのかなと思っています。
統一教会と創価学会の関係があれば、と思ってまして。

鈴木エイトさん
統一教会と創価学会は、関係ないと思います。「Dappi」や「J-NSC(自民党ネットサポーターズクラブ)」には、いろいろ統一教会が動員している形跡はありますね。
自民党は3回続けて比例復活しかできない議員は公認されないのですが、救済措置として3000人の党員を集めればOKなんです。そういう党員に、統一教会が派遣している話もあります。自民党員に、統一教会から送り込まれています。
ネット工作も、ちゃんと調べ切れていませんが、自民党と統一教会が連携してやっていたんではないかという形跡はあります。
その辺は、今後の調査になると思います。

■憲法20条の「信教の自由」があるから、解散させられないのでは
会場の方6
統一教会に解散命令がなかなか出ないのは、憲法20条「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」があるからではないですか。
被害者救済だけでは、また被害者が出てくるわけです。抜本的に、宗教に対して解散命令ができない点で、憲法20条に対して限界を感じています。

鈴木エイトさん
そこはちょっと間違っています。憲法20条は信教の自由を保障して、信仰しない自由も保障しています。
そもそも、解散命令請求は宗教法人としての解散命令だから、団体は残るんです。
信教の自由自体に抵触するものではないんです。税制上の優遇措置をなくさせるだけなんです。信者の信教、内心の自由には一切触れません。
ただ宗教法人として建物が持てなくなるので、集会をする施設などが持ちにくくなるという意味では、多少信教の自由に影響があるかもしれません。
憲法20条があるから解散命令請求が出しづらいということは、論理の筋道立てとしてはまったく関係のない話です。
何の影響もないと思います。宗教法人法にのっとってやっていることなので。

川内博史さん
今の方の質問は非常に重要な問題だと思います。
統一教会の問題は、信教の自由とはまったく関係のない問題なのだ、というご説明をしていただきました。
なぜならば、宗教法人としての解散命令請求というのは、宗教法人格を国として与えていたことに関して、解散してねと言うだけ、税制上の優遇措置がなくなるだけの話であります。
もし統一原理なりの統一教会の教義というものを信じる人がいるのであれば、それは宗教活動として、誰にも侵すことのできない自由ではあるけれども、ここまでいろんな裁判で、判決が出ている通り、身分を隠して勧誘することは違法ですと、それこそ信教の自由を侵していますという判決が出ております。
これまでの統一教会のさまざまな活動について、社会的に問題のある活動をしていた、反社会的活動だったことについては、その責任を引き受けていただく。
だから、解散命令請求である。憲法20条とは関係のない問題ということです。そこは、みんなで意識を共通させておく必要があると思います。

鈴木エイト
統一教会が悪質な団体だってことは、みんな分かっているんですが、そこをちゃんと宗教法人法に則って解散命令権へ持っていけるか、文化庁が証拠を集めているところです。
そもそも公益法人なんだから税制上の優遇があるんです。統一教会は、公益に資することをやっているかという、根本的な問題なんです。

■山上被告は「第二のオズワルド」か
会場の方7
山上被告のことについてです。
ケネディ大統領が殺されたとき、一応、オズワルドが犯人とされました。山上被告は「第2のオズワルド」ではないかというのは、鈴木さんの考えにあるのでしょうか。

鈴木エイトさん
まったく切り捨てていい話ではないかもしれませんが、山上被告がそういうコマとして使われて、別の方向から銃撃されたとしても、彼がそれを認識してたかというと、そうではないと思うんです。
僕はそういう陰謀論的なことに取り合う必要はないかなと思っています。
いろいろな穿った見方はいくらでもできます。今回の事件に関しても、消えた銃弾であるとか、いろんな話はありますが、僕は取り上げる必要はないと見ています。
ただ、まだ表に出ていない情報なども換算すると、共犯者説とか、いろいろな情報があるので慎重に見ていくべきだとは思いますが、陰謀論的なところは、僕は取り合いません。

■旧同盟系の研修期間「富士政治大学校」と統一教会の関係は
会場の方8
私は郵便局の労働組合にいたんですが、もうひとつの労働組合が富士政治大学校【民社党第2代委員長西村栄一が創立した、民社・同盟系の研修期間】で、統一教会の教授が洗脳する教育をやってるという話がありました。旧同盟系は全部、今でもそんな流れのある人の学校で研修しているんです。そのへんのこと、わかる範囲で教えてください。

鈴木エイト
すみません。全然わからないです。教えてください。

川内博史さん
ありがとうございます。今の答え、鈴木さんは自分で調べたこと以外は答えないというか、答えられない。事実しか彼には興味がないんだなと、彼は事実を掘り下げて問題をクローズアップしていく人なんだなということを、改めて感じました。
今後、多分、いろんなところに興味・関心を持ち、彼の調査が及んでいけば、さらに新しいことをご報告いただけると思います。
今日は、スライドをものすごく速くまわしていて、「もっと見せてよ」とみんな思いましたね。【会場、笑い】
私たちは権力側からいろんなことを忘れさせられてしまっています。この問題は、日本の民主主義にとって、あるいは若者たちの未来にとって、ものすごく重要な問題なので、絶対忘れないために、時々、鈴木エイトさんには来てもらって話していただきたいと思います。

【盛大な拍手】

その後、会場から「川内先生、絶対に国会へ戻って下さい」の声が上がり、さらに、盛大な拍手で、閉幕となりました。

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