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NEW!!【活動報告】第19回「統一教会と日本の政治」質疑応答篇

鈴木エイトさんの講演が終わりました。
津村啓介さんが、「大変ためになる、興味深いお話をありがとうございました」とお礼を言い、「解散請求、山上被告の裁判も始まっていく中で、これまでの確かなファクトと、これからの宗教活動と政治の問題を考えていく視点を示唆していただけたと思っております」とまとめられました。
続いて、津村啓介さんの司会で、質疑応答コーナーとなりました。
おひとりがいくつも質問した場合、鈴木エイトさんはまとめて回答されていますが、ここでは一問一答にしました。

■質問1 聖書配布協会とは?
ご講演内容とは直接関係ないのですが、「聖書配布協力会」というのが、宮城県に本部があって、岡山市内でもあちこちに「聖書」のキリストの言葉を書いた黒い鉄板の看板があります。この会についてご存知でしょうか

鈴木エイトさん
聖書配布協力会は知りませんでした。調べておきます。

■質問2 統一教会はキリスト教なのか
今日は、統一教会についてその宗教的性格はお話しにならなかったので、その点をお聞きしたい。私は53年ほど前、大学生のときに、統一教会の人が配っているビラを見て、「これは絶対にキリスト教ではない、陰陽五行説とかシャーマニズムの宗教だろう」と睨んでいました。いまもその見方は変わらないのですが、鈴木さんは、統一教会とキリスト教との関係、アジア的宗教との関係について、どのように考えておられますか

鈴木エイトさん
統一教会に関しては、最終的な救済者をイエス・キリストとしていない時点で、キリスト教ではないんです。(キリスト教からは)異端として捉えられるものだと思います。おっしゃったように、韓国の土着的シャーマニズムとが相まった宗教団体です。
僕のスタンスとしては、教義には踏み込まないようにしています。特に韓国では、この問題に関わっている人のなかには異端問題として関わっている人が多いのですが、僕は、正統か異端かはキリスト教の内部でやってくれという立場です。要は、どういう被害が起こっているかです。
ただ、その被害の元になってるところに教団の教義が影響を与えているのであれば、そこは取り上げます。しかし教義の中身について、「そこがおかしい」という話は一切したことがなく、そこは自分の興味の範囲外ではあるんです。
神学的に捉えても、統一教会が問題ある団体で、その教義も問題だという認識はあります。ご質問の意図は、分かります。キリスト教ではない、ということですよね。

■質問3 このような事件が起きたのは、日本の法律に何か悪いところがあったのか

鈴木エイトさん
フランスには反セクト法があります(注、2001年6月制定。正式名称「人権及び基本的自由の侵害をもたらすセクト的運動の防止及び取締りを強化するための法律」。その団体の性質ではなく反社会的行為に着目して、個人だけでなく団体も処罰対象となる法律)。日本版の反カルト法へ向けた議論はすべきだと思います。
フランスとは国の性格が違うし、法律の制定のしかたも違うので、そのまま導入すべきとは思いませんが、日本版の反カルト法、特に政治家とこういう団体の関係を規制するような法律の制定へ向けての動きは、ぜひやってほしいと思います。

■質問4 不当寄付勧誘防止法での野党の対応
事件が起こってから作られた不当寄付勧誘防止法を作った過程での、野党の対応は良かったがどうか。

鈴木エイトさん
昨年の不当寄付勧誘防止法に関しては、マインドコントロールをいかに捉えるかのところで不十分でした。
本来であれば、こういう高額な献金などをさせている一部の団体、特に自分の生活、自分の家庭が崩壊するようなレベル、借金までして献金をするようなレベルになると、普通はありえない。そういうところにマインドコントロールがあると縛ることができたはずでした。
ところが、ピンポイントに悪質な団体を規制する法律ではなく、広く浅く、献金や寄付で成り立っているNPO団体、宗教団体全体を規制するようになってしまい、かなり実効性が薄まってしまった。
その点で、野党の追及の仕方もちょっと甘かったのではないか、もっと他のやり方があったのではないかとも思います。実際に動いていた政治家の皆さんは、本当に頑張っていたので評価したいところなんですけど、最終的にできた法律は、まだまだ物足りないので、今後、直していってほしい。
野党に要求したいのは、統一教会と政治家の問題を自民党の追及に使おうとしていた側面があったので、それはそれでいいんですけど、その先までを見据えてやって欲しかったという思いはあります。

■質問5日本の若い女性が海外に連れて行かれたことによって、少子化に影響を与えていると考えているか

鈴木エイトさん
これについては、分からないですね。
統一教会は信者数60万人と公称していますが、実際は10万人ぐらいしかいなくて、かなり海外へ行っていますが、それが少子化に繋がったかどうか。多分、少子化自体は統一教会の影響の割合はあまりないと思います。

■質問6 反社会的なカルト、宗教カルトを見分けるポイントは

鈴木エイトさん
反社会的な宗教カルトの見分け方は、内部で人権侵害が起こっているかがポイントだと思います。人権侵害をしていることがカルトの必要最低条件です。
日本脱カルト協会や全国弁連も冊子を出し、見分け方も書いてありますが、言っていることとやっていることが違う、最初の入り口と奥が違うであるとか、その辺から、「ここおかしい」、どこかで「あれっ変だ」と思うところがあるはずなので、その疑念をしまい込まずちゃんと出していく、追求していくことだと思います。
「怪しい勧誘に気をつけましょう」と、いろいろな大学に張り出してありますが、カルトの勧誘は怪しくないんです。学食にひとりでいるところに、明るく近づいてきたりするので、「怪しい勧誘」ではないんです。「怪しくない勧誘に気をつけましょう」なんです。見分け方があるかないか自体も、実に微妙です。
いろいろな団体が、手を変え品を変えて、いろいろな手口でやってくるので、非常に注意をすべきだと思います。

■質問7 公共施設使用を規制すべきか
岡山で先日、統一教会の関連団体がスピーチコンテストをして、会場使用を許可するべきかどうかが問題になりました。あまり厳しくやりすぎると、団体の性格や申し込んだ人の考え方によって「お前はだめ、お前はいい」みたいになるのも嫌だなと感じているんですが、どう考えたらいいか教えてください。

鈴木エイトさん
世界平和女性連合(WFWP)の弁論大会の件は、いろいろな自治体で判断が割れています。
国が定義づけしていないことが問題で、自治体で世界平和女性連合はダメと判断するのにはリスクがあります。
少なくとも統一教会に関しては、公益性がいま問われて、解散命令請求に向けた質問権の行使が行われているので、その団体と関連団体に対して、行政側が一旦ストップをかけることには、一定の合理性があると見ています。
今後、解散命令請求がなされれば、国が解散命令請求を出した団体の関連団体として、規制しても問題にはならないと思います。微妙なところではあります。
全国弁連は、今回のWFWPに関してはこういう団体だと打ち出しています。
東京の多摩市では、統一教会が土地を取得した問題で、市長の判断で「解散命令請求が出るまで工事をストップしてくれ」と交渉していますので、少なくとも国側がどういう判断をするかがひとつの指針になるんじゃないかと思います。
宗教団体に対しては、戦前の宗教迫害の反省から、行政側、国側が規制をかけすぎるのは問題です。
フランスの反セクト法は、上から「この団体はセクトだ、カルトだ」と認定するのではなく、個々の被害を集めて、これだけ継続してこれだけ被害が集まっているから、この団体はそういうことをやっているとして、規制をかけていくんです。ファクトベースで見て、規制をかけています。
教団側は今、「宗教迫害だ」と、いろいろな訴えをしていますが、すり替えですよね。
統一教会の問題を追及している、僕を含めたメディアに対して、「国際人権法に抵触する宗教ヘイトだ」と言ってすり替えてくるんです。
統一教会という個別の団体に対する問題の追及と、宗教団体へのヘイトとをうまくごっちゃにして論じていますが、ちゃんと分けて、根気よく返していかないと、そういう団体の思惑にはまってしまうことになります。行政側もその辺はしっかりと対応してほしいと思います。
地方行政が対応するためには、国が指針を出してほしいと思います。

質問8 統一教会の資金集めの方法は
信者自身が自分の財産を差し出すパターンと、もうひとつ大きなものとして、信者たちを動かして、一般市民の方、企業からお金を集めてくる手口もがあるかと思います。
最近も続いてるもの、あるいは最近までやってたものに、どのような商品とか手口があるのか、教えていただけますか

鈴木エイトさん
2010年までは霊感商法が主だったので、信者だけではなく、これから信者になる人とか、一般の人を誘い込み、そういう形で年間2000億円が送られていたという話もあります。それ以降は信者からいかに高額な献金を集めるかということになりました。
信者が持っている不動産を担保にしてお金を借りさせています。
また、被害者側が敗訴した案件でもあるんですが、結構裕福なお年寄りの養子になって、遺産を教団側に寄贈する事例も報告されています。
手を替え品を替え、年間数百億円が韓国に継続して送られてきています。信者の話を聞くと、10億円とか数千万円を献金した話はざらに出てきます。信者がやっている関連企業もいくつかあります。まだまだ解明されていない資金の流れがあると思います。
2011年の資料では、400億円・500億円の年間収入があります。表向き、霊感商法を商品を介在させない形にした後でも、それだけの収入がある。それは10万人いる信者から普通に集めるだけなのか。お金の流れは、まだまだ分かっていないところもあります。出所もですが、どうまわって韓国へ行き、どういうふうに政治家へ回っているかも含めて、解明すべきところだと思います。

最後に武蔵野政治塾の橘民義事務局長からの挨拶がありました。

■政治を変えていこう
【橘民義事務局長の挨拶】
私は昔、岡山で県会議員をしていまして、その当時にお世話になった方々も、今日、ここにいらっしゃいます。懐かしい所で、武蔵野政治塾を開かせていただきました。
武蔵野政治塾は、去年の10月に始め、1年もたたないうちに、今日で19回目となりました。いつもこんなにたくさん集まるわけではありませんが、最低でも100人ぐらいの方に来ていただいて、いろいろな講師の先生の話を皆さんに聞いていただいて、いろんなことを議論していこうという、そういう塾であります。
「武蔵野」としたのは、私がいま東京に住んでいるからで、東京の武蔵野市でスタートしましたが、先月は鈴木エイトさんに鹿児島まで行っていただきましたし、群馬県でも開きました。
全国でいろいろな人と一緒に話を聞き、いろいろなことを考えていただいて、そして議論をします。けれど、議論で終わりではいけない。議論することにも意味はありますが、その結果どうするか、なんです。
私たちが今生きているこの世の中は、どうなんだろう。私たちは何ができるのか。
私たちの日本は1945年に世界大戦で負けて以後、戦争をしていませんが、世界では、朝鮮戦争から始まり、ベトナムで戦争があったり、中東で戦争があったり、アフリカでは国内で戦争があったりと、ずっと戦争が続いて、今もウクライナにロシアが侵攻しています。
私たちの世界は、良くなっているのかと思ったら、全然良くなっていない。そこを考えなければいけない。
改めて日本の国内を見ていきましょう。皆さん、どうですか。
年金は減ることはあっても、増えない。給料も増えない。なのに物価だけは上がっていく。障害を持っていて本当に生きていきにくい、病気を持っていて治らない、そういう人もたくさんいらっしゃる。家の中では息子が小さいときからずっと引きこもりという家庭もあると思います。就職が決まらない。失業してしまった。借金地獄になってしまう。そんな、住みにくい世の中になり、鬱になって、自分で亡くなる方も年間に2万人以上います。
こういう世の中を、ほっとけないじゃないですか。
だから、それをほっておかないためにはどうするか。
こういう世の中を作ってきたのは誰ですか。やっぱりそのときの政権が作ってきたんですよ。その一番トップの人が、統一教会とズブズブで、統一教会を利用して、統一教会に利用されながらやってきた。
そうやってきたことを、何とか変えなければいけないと思うから、私もこうやって皆さんと一緒に話し合う機会を持とうとしているんです。
どうしたらいいのか。
変えることができるのは、選挙のときなんですよね。選挙のときに皆さんが、「これまでの日本のこんな政治を作ってきた政党ではない方がいい」と、行動に示して、なんとか変えていっていただきたいと思います。
政治を変えていきましょう。

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