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NEW!!【活動報告】第23回「統一教会と政治を考える」in高松 講演篇

第23回は、2024年2月11日に、香川県高松市で開催されました。
テーマは「統一教会と政治を考える」です。
【講演では、現在の「世界平和統一家庭連合」について、旧名称である「統一教会」として、発言されていますので、ここでもそのように記します。】
今回は衆議院議員・小川淳也さん(香川1区、立憲民主党)のコーディネートで、武蔵野政治塾と、「憲法擁護香川県民連合」(護憲香川)、そして小川淳也さんの後援会との共同開催でした。

小川淳也さんから、鈴木エイトさんの紹介です。
「鈴木エイトさんにお越しいただくことが決まったのは、去年の秋でした。このカルト的集団が国政に影響を及ぼしている可能性が濃厚である問題は、非常に重大な深刻な問題ですが、2月のこの日まで、この問題への有権者の関心が持続しているだろうか、下火にならなければいいがと、正直なところ、不安を感じておりました。
しかし、ここへ来て改めて、解散請求をした文部科学大臣が統一教会の支援を受け、推薦状にサインをし、政策協定を結んでいたことが明らかとなり、また、官房長官にも大きな疑惑が降りかかっています。まさにこのタイミングで、改めてこの問題の根深さを思い起こさせてくれた、文科大臣と官房長官のお二人に感謝を申し上げたい。【笑い】
鈴木エイトさんは、今日、『サンデージャポン』からの出演依頼を断って、ここ高松にお越しいただきました。
大きな拍手で迎えいただきたいと思います。」

■ボランティア・ジャーナリスト
滋賀県出身なんですけれども、香川への上陸は初めてなんです。数十年前、中学生の時に一度、自転車で淡路島一周をしたことがあります。まだ橋が出来る前でした。鳴門海峡まで来て、「あれが四国か」と思ったものでした。あのとき、渡ることのできなかった海を、ようやく渡れました。
自己紹介としては、僕は自分のことを、「ボランティア・ジャーナリスト」と呼んでいます。ちゃんとした出版社や新聞社に勤めた経験が、実はないんです。ブロガーとしてライターを始め、そこからジャーナリストとして活動を始めるようになりました。なんだかんだで、昨年はいろいろな賞をいただきましたが、そのなかで唯一、賞金が出たのが石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞だけでした。

■初めての単著『自民党の統一教会汚染―追跡3000日』
初めて単著として本を出せたのは一昨年(2022年)9月、『自民党の統一教会汚染―追跡3000日』(小学館)でした。題名は小学館が付けたんですが、第2次安倍政権発足以降の約9年間を追跡してきたという意味です。
「3000日」という題名については、仲間のライターから「大丈夫なのか」と言われました。なぜかと言うと、偉大な大先輩である江川紹子さんの本、『「オウム真理教」追跡2200日』があるので、マウントを取ったのではと思われたようです。江川さんとも親しくさせていただいておりますので、大丈夫です。

安倍晋三元首相銃撃事件の犯人である山上徹也被告から、事件前にメッセージが来ていたことが後日分かりまして、そのことを『自民党の統一教会汚染2  山上徹也からの伝言』(小学館)、『「山上徹也」とは何者だったのか』(講談社)に書きました。
自民党の政治家と統一教会との関係については、安倍元首相の事件前から、共著という形で書いてきました。しかし、なかなかそれが一般には広まらなかった。事件後には、他にも本も共著として本を出させていただいたり、編集者として関わらせていただいてきました。

■統一教会とは
統一教会は、正体と目的を隠した偽装勧誘や霊感商法などで、数々の社会問題を起こしてきた宗教団体ではありますが、いろいろな政治団体と関連団体を持っている、一大コングロマリットのようなものです。
日本への進出は1959年で、信者数は60万人と言われていいますが、実際は10万人を切るくらいだと見ています。
教祖の文鮮明とその妻・韓鶴子は、「真の父母様」と呼ばれています。文鮮明教祖が2012年に亡くなった後は、後継候補だった息子たちを追放する形で起きた韓鶴子総裁による独裁体制が続いています。
霊感商法は1970年代からマニュアルなども作成されていました。
なぜこんな団体による不法行為が長年にわたり取り締まりを受けていなかったか。その理由は、日本に進出した初期から続く、有力な政治家の後ろ楯があったからです。

■偽装勧誘現場に遭遇した
僕自身が、カルト問題に関わるきっかけは24年ぐらい前、渋谷駅の改札を出たところで、統一教会の偽装勧誘現場に遭遇したのがきっかけです。
「手相の勉強をしています」とか「意識調査アンケートに協力してください」と、ウソをついて勧誘をしています。
【勧誘している写真を見せ】特徴的な勧誘の現場です。勧誘されている女性がいて、隣の黒い服の女性が勧誘している信者です。その近くにスマホを見ている女性がいますが、これも仲間なんです。勧誘している女性が、うまく引き込めそうだというタイミングでブロックサインを出すと、偶然を装って合流します。これは「共助」と呼ばれています。必ず2対1の状況を作って、逃げられないようにします。
最初、こういう勧誘現場に割って入り、「これは統一教会の偽装勧誘ですよ」と被害になりそうな人に教える活動をしていました。最初は相手(信者)がウソをついてごまかそうとしているのを論破するのが楽しかったのですが、信者たちに接していくうちに、だんだん、彼らも最初はこういう形でだまされて勧誘され、マインドコントロールされた被害者なんだという、カルト問題の構造に気づきました。それからは、信者と、コミュニケーションを取るようになりました。

■どのような勧誘方法があるのか
「転換期トーク」という方法もあります。「あなたの人生最大の転換期です」と声をかける手口があります。運命鑑定士、運勢鑑定士などを標榜しています。
「声かけマニュアル」があり、それを入手しました。「お顔の相、いいですね」と「賛美」し、「アンケートをお願いします」と3回言ってみる――と書いてあれます。
【信者のメモを撮ったスライドを見せ】ここに「正」という字がいくつもありますが、これは声をかけた人の数を示します。これを見ると、218人に声をかけて、ようやく立ち止まってくれたことが分かります。
そこに鈴木エイトが割って入って邪魔をしているわけです。だから、非常に嫌われています。
カルチャーセンターの卒業生を標榜して勧誘することもあります。

■ビデオセンターでおこなわれていること
勧誘して連れて行くのは「ビデオセンター」です。「偽装教科施設」であり「信者生産拠点」です。
入り口には「ウエルカム」と書いてあります。
【スライドに水晶が映る】これは2000年代に主力商品だった「風水四神」をかたどった水晶で、1体150万円で、4体・600万円まで、相手の経済状況に合わせて購入させるということをやっていました。

【施設の写真】これは名古屋の施設ですが、ここにも「ウェルカム」とも書いてあったので、僕はいつも歓迎されていると思って、入ることにしています【笑い】。
ここにあるパンフレットには一切、統一教会のことは書いてありません。
毎週水曜日にカレーを出すなど、週3回、4回、5回行くとプレゼントがもらえるなど、毎日通わせようとしています。当然、施設の正体は知らせないままです。毎日通わせ、どんどん刷り込みをして、信者を生産していくわけです。
なぜ「ビデオセンター」というか。ビデオブースがあるからです。そのビデオも、最初は宗教的な教義の内容ではなく、社会不安を煽る映像です。それを見せて、だんだん宗教的な教義を刷り込んで、合宿などを経て信者を生産していきます。だいたい、2カ月ぐらいのスパンでやっていました。
僕はこういうところに入れてもらえた時は入って、ビデオを見ている受講生たちに施設の正体を知らせて救出する活動をしていました。中に入れてもらえないことがほとんどなので、そういう時は外で待ち伏せをして、施設から出てくる受講生に声を掛けて救出してきました。

■大学での勧誘は、怪しくない
他にも、エステとか風水講演会、清掃活動などで勧誘しています。地域のお年寄りと連携して、いろんなセミナーを行なったり、信者司法書士がお年寄りに後見人制度のレクチャーをしているような実態もありました。
駅前清掃、老人ホーム訪問などもしています。
近年コロナ禍だったので、CARP(カープ、原理研究会)という統一教会の学生組織は、SDGsをうたって、オンラインサミットとして「COLLEGE SUMMIT for peace」をやって、いろいろな大学関係者を巻き込んでいました。統一教会とは知らずに参加している大学の学長や、大学の先生なども大勢いました。
大学に行くと「怪しい勧誘に注意してください」という看板がありますが、カルトの勧誘はフレンドリーな形で近づいてくるので、怪しくないんです。こういう看板に、まったく効果がないわけではないんですが、カルトの実態というのは「怪しい」ものじゃないということです。
こういうことを伝えるために、僕は「日本脱カルト協会」のカルト問題啓発DVDの監修もしています。

■カルトは誰もが被害に遭う可能性がある
カルトは、「人間関係を構築する手法で、誰もが被害に遭う可能性」があります。
被害者が次の被害者をリクルートしていくので、その連鎖を止めるために、僕は偽装勧誘阻止をし、ビデオセンターから受講生を救出していく活動を続けてきました。
その結果、僕は統一教会から「要注意人物」として全国指名手配になってしまいました。
【統一教会が作った、鈴木エイトさんを要注意人物としたチラシが映ります】これを見ると、作成は統一教会本部広報局なんですね。僕はこれを見て「許せない」と思い、書いてあるところに電話をして猛抗議をしました。「何であんな不細工な写真を使うんですか」と。【笑い】そして、写真の差し替えを要求したところ、こうなりました。【写真が替わったチラシ】
よく見ると、「長身・185センチくらい」とあるんです。僕はたしかに背は高いほうですが、185はないので、これも180センチに訂正してもらいました。
チラシには、一緒にカルト新聞を出している藤倉善郎さんの写真もありまして、彼も「鈴木エイトだけ差し替えてずるい、自分の写真も差し替えてほしい」と、メイドコスプレ写真を教団に送ったんですが、差し替えてもらえませんでした。【笑い】

■霊感商法とは
霊感商法とは何か、具体的にお話ししていきます。
「先祖の因縁」などを説き、高額な壺・印鑑・多宝塔・水晶・貴金属・絵画などの商品を購入させるものです。
2009年に摘発された後は、家系図を使う手口に移行していました。
全国でいろいろな家系図セミナーが開かれていたんですが、使っているイラストが全部一緒なんです。そういうところから、全国的な組織性が疑われる事例もあります。
2013年頃の主力商品は、「天福函」という8冊の教典が入ったもので、430万円献金した人に授けられました。さらに、3000万円とか1億円を献金した人には、プラスして教祖のサイン付きの写真などがもらえます。
こんな形で信者から収奪したお金が、年間で数100億円、韓国に送られていたことがわかっています。
全国弁連(全国霊感商法対策弁護士連絡会)の被害集計によると、1300億円くらいの被害が集計されていますが、実際の被害額はその数十倍、1兆円を超えているという指摘もあります。

■破壊的カルト
こういう団体は「破壊的カルト」と言われています。なぜ「破壊的」かというと、通常の悪質商法では金銭的被害だけですが、家庭、家族、人生そのものが破壊されてしまう。
ですから、統一教会の問題は、宗教の問題ではなく、カルトの問題なのです。
では、カルトとは何か。人権侵害がそこにあるかどうか、ここがいちばんのポイントです。
統一教会の勧誘手法は、「自由な意思決定」を侵害しています。合同結婚式は「婚姻の自由」を侵害しています。
昨年、韓国で行なわれた合同結婚式の取材に行ったんですけれども、多くの日本人二世たちが参加していました。元信者の方が書いた『カルトの花嫁』(冠木結心著、合同出版)にも、そういう事例が書かれています。
二世問題は、幼少期から偏った教義の刷り込みという問題です。

■教団の転換期
2009年に「新世」事件が起きました。
全国で統一協会の霊感商法の販売会社が摘発されたんです。教団が一番肝を冷やしたのが、2009年2月、渋谷の印鑑販売会社「新世 」が警視庁公安部から摘発を受け、教団の渋谷教会や南東京教区事務所が家宅捜索を受けたことです。渋谷教会と南東京教区事務所は、教団本部のすぐ目の前のビルにあり、警視庁公安部は統一教会本部への強制捜査を狙っていたんですが、有力な政治家の口利きによって寸前でストップしてしまいました。この政治家の名前は、私の一冊目の本に書いてありますが、亀井静香さんです。
この一連の摘発を受け、教団の韓国人総会長が反省しました。と言っても、霊感商法をしたことを反省をしたのではなく、政治家対策を怠ったから摘発を受けたと反省し、この時期からさらに政治家対策を本格化させていきます。
このとき教団はコンプライアンス宣言を出していますが、これは教団ぐるみで行なってきた組織的な偽装勧誘などを、信者個人の責任に押し付ける非常に欺瞞的なものでした。
内部資料を見ると、「喜んで献金をしているような資料を残す」などとあります。また「借入金は本来、返すもの」と書いてあります。これは分かりづらいんですが、信者になりたての人とか、これから信者にする資産家に対して、土地とか家屋を担保に銀行からお金を借りさせて、それを貸してほしいということです。それをなし崩しに献金に変えていく。「本来、貸したお金は返さないといけない」と、わざわざ書いて謳わなければならないのは、つまり貸したものではないということになっています。
そのほか、「喜んで学んでいる映像を残す」「念書を取る」などが書かれています。
こうして、日本から収奪したお金で、教団は韓国に豪華施設を建てています。

■ジャーナリストとして活動するきっかけ
「ジャーナリスト」として活動しだしたのは2011年からでした。
東京の足立区に衰退化していた地域のお祭りがあり、統一教会がそれを乗っ取ったことがあったんです。
それを取材して「衰退する地域社会とカルトの侵食」という社会的なルポを書き、その時からジャーナリストとして活動を始めました。
統一教会はいろいろなところで「純潔ラリー」をしています。【伝統的な家族観を重視し、結婚するまでは男女の純潔を守らせる教義があり、それを訴える催し】
2011年に秋葉原と吉祥寺で行なわれた純潔デモの時に、街宣車からシュプレヒコールを上げている青年リーダーがいました。彼がその後何をしているかというと、山際大志郎さんの秘書になり、首相官邸にも出入りしています。彼個人が秘書になりたくて就職活動したのかというと、決してそうではなくて、文鮮明教祖の指示でした。
「まず国会議員に秘書として食い込め。食い込んだら議員の秘密を握れ。次に、自らが議員になれ」という指示が出され、この指示のもと、秘書養成所もあると言われています。

■統一教会と地方議員
こういう実態を知ったことから、僕は政治家と統一教会の関係を追及する「孤独な戦い」を始めました。
最初は地方議員からでした。信者である素性を隠して立候補したケースもありますが、まったく無名の候補者が信者を使いたおしてトップ当選したケースもありました。東京の足立区の事例です。直ちに関係が発覚し、私が取材をした途端に、信者たちを「ポイ捨て」してし、「まったく知りませんでした」と言っています。しかし、信者だと分かった上で使っていたという、証拠をちゃんと取っています。
カルトの信者たちは人権侵害を受けている被害者です。そういう被害者である信者を、さんざん使っておきながら、「ポイ捨て」する政治家は、カルトよりもひどいんじゃないかと、追及しました。
【スライド】左側が、素性を隠して立候補した信者の方で、右が長谷川たかこさんという、今現役の足立区の区議会議員で、実は2014年には衆院選にも出られています。

■参院選での教団への支援依頼
それから国政にかかわる政治家の追及を始めました。
第2次安倍政権発足後、2012年12月、国際勝共連合新会長の就任パーティーに多くの国会議員が参加しました。
2013年7月の参院選では、当時の首相だった安倍晋三さん肝いりの候補者だった北村経夫さんへの組織票を、統一教会に依頼したと示す内部FAXを入手しました。北村経夫さんは、「踊る宗教」と呼ばれた天照皇大神宮教の教祖である北村サヨのお孫さんです。北村サヨは、安倍晋三さんの祖父である岸野信介元総理の恩人と言われている方でもあります。
そんな背景から、「(安倍)首相からじきじきにこの方(北村さん)を後援してほしいとの依頼」があり、「当グループの組織票頼り」とも書かれています。「参院選後に当グループを国会で追及する運動が起こるとの情報があり、それを守ってもらうためにも、今選挙で北村さんを当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です」とも書かれていました。
これは安倍晋三さん個人が教団に頼んだ個人的な関係なのかというと、決してそうではなく、当時の菅(すが)官房長官も関与していました。
北村経夫さんはこの時、選挙運動期間中に支援者を帰した後、ひとりでこっそりと統一教会の教会に行って講演していたんです。そのことを知った支援者が、北村さんの選対事務所の責任者を問い詰めたところ、菅官房長官の仕切りだったことを答えています。
つまり、政権のツートップが反社会的な団体と裏取引をしていたということが発覚したんです。
北村さんは教団票8万票の上乗せして、当選を果たしました。
こうした実態を書こうとしても、どの雑誌も興味を持ってくれず、結局、「週刊朝日」だけが掲載してくれました。

■安倍晋三さんと統一教会の関係
2005年と2006年に、安倍さんが教団の関連団体に祝電を送ったとき、はメディアはちゃんと報道しています。
他にも政治家家が教団の関係団体に祝電を送る、年会費として数万円を払う、と発覚すれば、メディアは政治家に取材をし、政治家は弁明に追われるという、メディアと政治家の正常な関係がありました。
ただ、これ以降は、ほぼ政治家と統一教会に関する報道はなくなりました。
では安倍晋三さんが統一教会と本当に親しく付き合っていたのかというと、実はそうでもないんです。
僕の知り合いのある政治家が、落選中に安倍さんに選挙の相談をしたら、「君には応援してくれる宗教団体があるのか」と訊かれたので、その人は「統一教会とは仲良くしています」と言うと、安倍さんは「祖父と父親は親しくしていたけど、僕はあの教団が嫌いだ」と、はっきり言ったそうです。
一昨年の安倍さんの事件があった時、その人は、「報道されていることと、僕の認識とは違います」と、連絡してくれました。
教団と距離を置いていたはずの安倍さんが、それから7年経って、なぜ教団に組織票を依頼するようになったのか。その謎は正直言って、まだ完全に解明されていません。
ただ、教団の内部資料などに書かれているものを見ると、教団と政権は「反ジェンダー」の点で共鳴関係にあったと思われる記述があるんです。

■統一教会、名称変更の裏で
2013年の参院選の次は、2014年の衆院選の前に、萩生田光一さんなどが、教団関係団体のイベントに参加しています。そして、2015年8月、下村博文・文科大臣が文化庁に圧力をかけて教団の名称変更を認証させたんじゃないかという情報を得て、取材しました。
1997年頃に教祖の指示で教団名を「世界平和統一家庭連合」へと変更し、全世界で認められていたんですが、日本では認められなかった。それが、ようやく認められたということで、教団は大喜びでして、幕張メッセで名称変更記念式典を開き、多くの国会議員が参加をしていました。
さらに名称変更記念のショートムービーを何本か作り、教団本部の前に大型モニターで外に向けて上映をしていました。ただし、そのうちのひとつは公開3日でお蔵入りとなりました。
制作したのは当時の広報局長の鴨野守さんで、これが影響したのか、富山県へ帰ることになりました。飛ばされたのではないかと言われていましたが、本人に問い合わせると「違う」とのことです。そして、北陸で何をしていたかというと、富山県の新田知事の擁立などに関わっています。
さらに2000年代のジェンダーバックラッシュでも暗躍されていました――と、以前の講演で話したところ、誰かが鴨野さんに伝えたらしく、「暗躍」と言わないでくれと抗議がきたので、「活躍」と言うことにします。【笑い】

■利用される2世信者たち
2世問題が、一昨年の事件からいろいろと報じられるようになってきました。
僕が『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』で描こうとしたのは、現役の2世たちがどのように教団や政治家に使われているかでした。
2016年1月に、突如、国際勝共連合大学生遊説隊「UNITE」(ユナイト)という団体が全国で活動を始めます。
どういう時期かというと、2015年秋にSEALDSが注目を浴びていたんです。さらに、選挙権年齢が18歳に引き下げる最初の国政選挙を迎える時期でした。
さらに、野党候補の一本化に共産党も初めて同意しています。それまで、ところかまわず全選挙区に候補者を立てて野党共倒れに協力し、ある意味、自民党にとって必要な存在でもあった共産党が、初めて自民党の脅威になってきた時期です。
そんなときに、安保法案賛成、憲法改正支持、共産党反対、安倍政権支持を訴える保守派の大学生グループが活動を始めました。勝共連合と名前はついているんですけども、UNITEの主張によれば、「国を憂うる大学生たちが自主的に声をかけて全国に広がっていった、勝共連合の部組織ではなく、自主独立組織」だそうです。
ところが、何か変だなと思うことがありました。
香川一区の平井卓也衆議院議員が、FACEBOOKにこんな投稿をしていたんです。テレビ東京がUNITEのデモを「改憲支持 大学生が渋谷でデモ」と報道したのを引用し、「このようなデモはあまり報道されませんが、学生はシールズというイメージは間違いです。」
自民党のネットメディア局長などを歴任された平井卓也さんが、このタイミングでこういう投稿をするのはおかしいんじゃないかと思い、UNITEの活動には政権の意向が働いているんじゃないかと取材を始めました。
すると、UNITEの遊説現場は勝共連合の遊説隊長が仕切り、メンバーが全員が2世信者だと分かりました。2世信者に内部研修が行なわれ、遊説現場には教団幹部たちの姿がありました。

■UNITEの正体
そんななか、ついに正体が判明します。最初の全国一斉遊説の前日のメールを入手すると、そこには「エイトがくるかもしれない」とあり、その対策の内容でした。翌週の遊説の当日も、「エイトが出没しました」とまるでひとをクマ扱いするメールがまわされていました。
最初のメールには「以下はUNITEと勝共連合の関係です」として、「外的には、2つの看板を背負っての活動」とあるんです。なぜ元はひとつの組織であるのに、2つの看板にして、大学生の自主的な運動だと標榜する必要があるのか。
学生が自主的に安倍政権を支持しているという運動があるという状況を欲しているのは誰かというと、当然、安倍政権ですよね。これは安倍政権への忖度か、意向を受けて活動してるんじゃないかと、「週刊朝日」にも書きました。
この団体が配っていたのが「女子高生にもわかる憲法改正」とあるチラシです。「高校生にもわかる憲法改正」なら、まだわかるんです。なぜここに「女子」を付ける必要があるのか。非常にミソジニー、マチズモ的な体質の団体だといます。
僕がUNITEの正体を暴いてしまったことによって、1年でほぼ活動をやめています。
最後に渋谷で行なわれたデモの時、記念写真を撮った後に、差し入れとして段ボール2箱のエクレアが配られていました。その時に何と言って配っていたかというと、「OBからの差し入れ」でした。なぜ結成初年度の団体なのに、OBがいるのか。詰めが甘いですね。

■安倍首相(当時)が首相官邸に教団幹部を招待
2016年の参院選では、宮島喜文さんへの教団の組織票が、安倍さんと細田さんによって差配されたという情報があります。さらに重要なのは、安倍さんが首相官邸に教団幹部を招待したという情報です。これは確度が高い情報を手に入れています。
当時の教団の内部書類を見ると、UNITEや教団に好意的な報道が増えてきたとか、「2020年に国の宗教になる」などと書かれています。

■教団の行事へ参加する国会議員たち
2016年2月から、世界平和国会議員連合が活動しており、日本でも創設大会には100人規模の国会議員を集め、衆議院の議員会館で行なわれています。
最初のネパールでのキックオフ大会に行かされたのは山本朋広さんと山際大志郎さんです。ところが、山本さんのSNSをチェックしてみると、「どこに行かされるのやら」「国際会議に来賓として出席」と書いてあり、自分の意思で行っていないようなんです。では、誰の指示なのか。
韓国での総会には日本からは4名の国会議員が参加しています。山本朋広さんと武田良太さん、ほかに引退した政治家2人でした。
2017年5月に、統一教会の北米会長一行が日本にツアーできて、自民党本部で会見もしています。
そのことを韓国の韓鶴子に報告する時には、「ヨシヒデ・スガが私どもを菅首相官邸に招待してくださいました」と言っています。
つまり、首相官邸のツートップ、安倍さんと菅さんが反社会的団体の幹部を首相官邸に招待をしたことが発覚しています。
統一教会の政界汚染が止まりません。以後も続々と巨大イベントに国会議員が参加しています。
2017年5月14日の母の日には、有明で1万人集会が開かれ、山本朋広さんの「マザームーン」発言もありました。北村経夫さん、中川雅治さんも参加しました。
こういう政治家は対外的な広告塔なのかというと、実はそうではなく、内部統制の手段に使われています。
高額の献金ばかり要請されているので、これでいいのかと思っている信者に対して、政治家のお墨付きがある、政治家に礼賛されているちゃんとした団体であると思わせるためなんです。
こういう点においても、政治家がお墨付きを与えてしまうことの罪深さがわかると思います。
教団幹部は、自民党の国会議員団をアメリカ外遊に引率している事例もあります。
そのなかには香川県ゆかりの方もいます。先日亡くなった元防衛庁長官の方です(大野功統さん)
全国霊感商法対策弁護士連絡会は、全国会議員に、教団と関係を持たないように申し入れています。
にもかかわらず、直後のイベントに多くの国会議員が参加しています。この時の院内集会を取材したメディア関係者は僕を含めて2人しかいませんでした。多くのメディアは興味を持っていなかったんです。
【教団イベントに参加した国会議員が次々とスライドで上映されました】

■統一教会のイベントに参加する平井卓也議員
統一教会のイベント「PEACE ROAD」に平井卓也議員も参加しました。日本とアジアの平和を祈り自転車で走るイベントです。
PEACE ROADにはいろいろな国会議員が参加していますが、ヘルメットをかぶって自転車に乗って走ったのは、逢沢一郎(衆議院、岡山一区)さんと、平井卓也さん(衆議院、香川一区)と磯崎仁彦さん(参議院、香川県)しかいません。
財務副大臣で税金滞納報道があった神田憲次さんも参加しています。
2018年10月25日、キャピトル東急ホテルでの国際勝共連合創設50周年記念式典が開催されました。会場は国会の議員会館のすぐ裏で、大勢の国会議員が参加していました。僕は、勝共連合の関係者による撮らせまいとのディフェンスをかいくぐりながら、出入りする議員の写真を撮りました。
これをきっかけにして、「ハーバー・ビジネス・オンライン」(扶桑社)に、「安倍政権と問題教団の歪な共存関係」という連載を始め、家庭教育支援法をめぐる策動などについても書きました。

■統一教会からの推薦状
いま話題の教団からの推薦状については、下村博文さんが、国政報告会で、推薦状を手に教団関係者と記念撮影した写真もあります。
教団は、さまざまな市民運動の妨害にも関わってきました。
「沖縄の辺野古基地建設に賛成」のチラシと、「性教育に反対」のチラシがあるんですが、よく似ています。
統一教会が安倍政権と蜜月を築くにあたり、韓鶴子総裁が何を言っていたかというと、安倍晋三首相を「屈服と教育の対象」に設定しているんです。

■「ぶっ殺す」と言われました
2019年は北村経夫さんの二度目の参院選でした。教団信者が大量動員され、演説会場も教団関係者が仕切ってました。そのひとりから、僕は「左翼ジャーナリストは帰れ」と言われました。僕は左翼でも右翼でもないので、帰らなくていいなと思い、中へ入りました。【笑い】
この関係者とは、翌々月ぐらいにばったり会いました。どこで会ったかというと、青年信者を選挙運動員として政治家へ斡旋する極秘会合があるとの情報を得て、京王プラザホテルに行ったところ、その人がいたんです。
そしてまた取材妨害されました。このとき、その関係者は僕に「あの隠し撮り野郎か」と言い、さらに、「私にそっくりな知り合いが、『あの隠し撮り野郎、今度会ったら、ぶっ殺す』と言っていた」と言うんです。
そこで、「あなたが僕を殺すんですか」と訊いたら、「いや、私にそっくりな知り合いだ」と言い張るんです。そこで本当に別人なのかなと思って、あとでキャピトル東急にいた関係者の写真と比べると、ネクタイもスマホのケースも一緒だし、顎の形も同じでしたから、明らかに同一人物でした。

■これでは「安倍カルト内閣」だ
2019年の参院選では萩生田光一さんを直撃してある言質を取ったり、僕の地元である練馬区では菅原一秀さんから取材妨害を受けたり、いろいろありました。
その後の、第4次安倍再改造内閣では、教団と関係をもってきた人たちが、大勢抜擢されていました。そこで「安倍カルト内閣」として、日刊ゲンダイに記事を書きました。

弁護士団体もいろいろと申し入れをしていますが、政治家が無視して、名古屋での教団の「サミット&4万人集会」に、いろいろな政治家が参加しています。
祝勝会では、2世信者による「無条件ダンス」が行なわれています。これは、完全無条件にあなたについていきますという内容で、信者に踊らさせて、韓鶴子総裁が涙ながらに見るという、目も当てられない光景です。
政治家の方は、被害者のことをよく理解してほしいと思います。

■取材していて逮捕寸前に
僕は疑惑の政治家への直撃取材をずっとやっています。当時の僕は、まったく無名のジャーナリストでしたので、質問しても無視されていました。でも、選挙運動期間中であれば、政治家がどこにいるのか分かるし、直撃しても逃げられないんです。
そうすると逆に、選挙自由妨害で逮捕寸前になるケースもありました。
菅原一秀さんが二世信者を激励するような集会に出ていたということが分かったので、事務所を尋ねたところ、「中でお待ちください」と言われ待っていたところ、110番通報されまして、建造物侵入で刑事告訴までされました。
2019年のことで、練馬警察署で、3時間の事情聴取を受けました。警察署から出ると、僕は頭を下げて、その後、菅原一秀さんの練馬の事務所の前で、緊急謝罪会見を開きました。何を謝罪したかと言うと、僕は菅原一秀さんの選挙区(東京9区)である練馬区の有権者なので、「菅原一秀さんがこんな人とは知らずに投票してしまったので、東京9区の有権者を代表して、こんな人物を国会議員にしてしまったことをおわびします」という、非常にわかりづらい記者会見をしました。
菅原一秀さんは、「あなたのは取材じゃなくて脅迫だ」とおっしゃるんですが、長年にわたり、丁々発止をやってきた仲なんです。

■教団のダブルスタンダード
まだまだ疑惑はあります。
そのなかに、教団のダブルスタンダードがあります。2世信者を使って、韓国では従軍慰安婦の方々に謝罪したり、安倍政権に謝罪を迫るようなこともしているんです。そのことを記事に書いたところ、教団にとって都合が悪かったようで、教団は東京地裁に記事削除の仮処分申請を申し立てました。
教団のダブルスタンダードは、いろいろなところにあります。そもそも、日本の保守派の政治家たちがなぜこんなに反日思想を持つ団体と関係を結んできたのかについては、みなさんも疑問を持たれることだと思います。

■教団の功労者の政治家
2020年以降、顕著になったのは、韓国での大規模集会です。ここに国連の元事務総長の潘基文(パン・ギムン)が出て、5000万円をもらっています。トランプ、文在寅(ムン・ジェイン)、金正恩などから電報やビデオメッセージが届いていました。日本からも、元参院議長、元防衛庁長官、元国会議員が参加しています。
香川3区の大野功統さん(2023年7月死去)は、政界を引退した後、敢然と教団の御用達政治家として教団にお墨付きを与えてきた人です。教団にとっては功労者です。
2022年6月、参院選の直前には、「日本・世界平和議員連合懇談会」という新たな団体作られ、協定確認書が取り交わされました。
教団は「地方議員から国会議員に育てあげる戦略」を実行しています。
後援会結成、運動員派遣、選挙応援、当院補充などをして下支えをしてきたわけですが、当時は、「世界平和連合から後援組織を立ち上げてもらいました」と、ぬけぬけとSNSに投稿する国会議員もいました。
愛媛県の井原巧さん(愛媛3区)は、これまでも世界平和連合から励ます会を開いてもらっています。

■統一教会について書ける場がなくなる
このように統一教会の政界侵食が進むなか、ここ数年、僕自身は、書き手として苦境に陥っていました。
2020年5月に、ハーバー・ビジネス・オンラインが配信停止になったため、書く場所がなくなってしまったんです。
でも、この問題を何とか社会に伝えたいと、出版企画を持ち込んだこともあります。ノンフィクションの賞に応募もしました。だけど、通らなかったんです。そのため、穢れた関係性を社会へ問えないまま政界汚染は進んでいきました。
そのなかで、2021年9月に、安倍晋三元首相が、教団の関連団体であるUPI集会へビデオメッセージを送って、韓鶴子総裁を礼賛したことは、ものすごいショックでした。衝撃を受けました。
当然、安倍さんと教団の関係は知っていたのですが、こういう証拠が残る形で教団との関係が表に出ても、自分の選挙、自民党の選挙、自分の政治生命には、何も影響がないと、安倍晋三さんがたかくくっていたことに驚いたんです。
多くの元2世信者たちも、この映像を見た時には「絶望」しかなかったと言っています。
ただ、安倍さんの、政治家としての判断は正しかったんです。大手メディアは全て、このことを無視して報じませんでした。報じたのは4媒体だけでした。「赤旗」「FRIDAY」「週刊ポスト」「実話BUNKA超タブー」です。
安倍さんの国会事務所は弁護士団体からの公開質問状の取りを拒否して開き直りました。

■教団の生き残り戦略
2021年の衆院選では、山際大志郎さんに、地元の秘書として多くの統一教会信者を登用しているのではないかと、直撃取材しました。
教団が、勝共連合などを介して、保守派の政治家にすり寄ってきたのはなぜかという疑問がありました。
東西冷戦が終わってしまった後に、「反共」だった教団がどのように生き残り戦略を立てたか。ジェンダーフリー、同性婚などを「家庭崩壊をたくらむ文化共産主義」としたんです。そういうものもすべて共産主義だとして、これに反対する保守派の政治家を取り込んできた流れがあります。
教団の内部資料を見ても、そういうところで、安倍さんや山谷えり子さんと連動してきた形跡があります。
これは日本会議や神社本庁などと連動している動きではあるんですが、性の問題が関わってくると、やたらに統一教会も口を出してきます。

■政治家のツーショット
岸田さんに申し訳ない事例があります。僕は、教団関係者のブログに、岸田さんとのツーショット写真があったのを拾って、ツイートしたんです。
選挙運動期間中、しかも屋外では、政治家は普通、こういう写真を頼まれたら撮るもので「問題はないです」という例として出したんですが、これが拡散してしまって、岸田さんも統一教会とズブズブなんだと広がってしまい、非常に岸田さんに申し訳ないと思いました。
そこで、「疑惑の人物と政治家とのツーショットは問題はない」ということで、こういう写真も投稿しました。【鈴木エイトさんと、下村博文さんが談笑している写真】
これは前回の参院選(2022年6月)のとき、ちょうど下村さんと行き合い、「2015年の統一協会の名称変更ではいろいろ書かれて大変でしたね」「そうなんだよ、いろいろ書かれちゃってさ」「あれ書いたの、僕なんです」「今度、変なこと書いたら訴えるよ」と話しているところです。
【鈴木エイトさんと、菅原一秀さんのツーショット】さんざん、僕のことをで「あなたのは取材じゃなくて脅迫だ」とか刑事告訴もした菅原一秀さんも、僕がテレビに出るようになって、ちょっと有名になった途端、たまたま地元の駅で会うと、ニコニコして声をかけてくださり、僕を「有名人」と指さしています。
僕は政治家個人の好き嫌いで取材しているわけじゃなく、親しい政党もないんです。政治家と付き合った上で疑惑があれば追及しますよというスタンスなので、仲良く写真を撮って公開したんです。
ところが、僕と菅原一秀さんのいきさつを知っている人にとってはかなり衝撃だったようで、いろいろな反応がありましたが、一番面白かったのは、「まるで、テツandトモみたいだ」というものでした。

■安倍元首相銃撃事件の衝撃
統一教会の政界汚染が進む状況が打開できないまま、2022年の参院選となり、7月8日を迎えました。安倍晋三元首相への銃撃事件です。
第一報に接したときにどう思ったか。暴力団とか政治的なイデオロギーとか、そんな理由で狙われたのなと思いました。このまま安倍さんが亡くなってしまったら、これまで自分が追及してきたことが「無」になってしまうんじゃないかとも思いました。
ところが、その後に「ある団体への恨み」が動機という報道が出て、これは統一教会に間違いない、僕自身も巻き込まれる大騒動になると覚悟を決めました。
そして、ただひとり、カルト教団と政界の関係を追及してきた立場から、何をすべきかを考えました。
改めて可視化されたのが教団の悪質性です。金銭被害、家庭崩壊、2世問題、政治家との関係、地方での暗躍といったことが、どんどん顕在化、可視化されました。
そして、なぜこんな団体が政権からの保護を受けているのかというと、メディアの監視機能が働いていなかったからでした。でも、2006年ぐらいまではちゃんと報道されていました。
その後、当然、教団側からのクレームはあるんですけど、どちらかというと、メディア側の自主規制によって、報道されなくなっていきます。ちょっと面倒くさい団体や問題を扱うとクレームが来るだろう、同じぐらいのニュースバリューがあるネタだったら、こっちを報じようということで、あえてこういう団体を報じるのを避けてきたんです。それによって「空白の30年」が生まれたと思います。
安倍晋三元首相の銃撃事件を機に、健全なジャーナリズムがある程度、復活したと思います。
ただ、事件直後のメディア報道は、なかなか教団名が報じられませんでした。教団側が抵抗したり、メディアを選別していたことがありました。

■メディアへの売り込み
事件後最初の教団の記者会見に一部メディア、フリーの記者は排除されました。僕も入れてもらえませんでした。そこで、僕は何人かと、同じ場所で緊急会見を開き、「さっきの教団の記者会見は、ぜんぶウソです」と発表したんです。
次に僕が行なったのが、メディアへのデータ提供です。この問題を追いかけていたのは僕だけでしたので、多くのメディアから連絡がありました。そこで、これまでに得てきた、画像、映像、内部資料などを、オープンソースにしてメディアに提供しました。お金も取らずに提供したんです。
その意図は、これは自分ひとりで抱え込むネタではなく、すべてのメディアに追及してほしいと考えたからです。僕の取材手法は、パズルを埋めるような作業で、まだまだ穴だらけでした。そこをいろいろなメディアで協力して追っていきたい、埋めていきたいという気持ちがありました。つまり、チーム・ジャパン的な追及をしたいと考えたんです。
いろんなメディア関係者に、このような重大な問題を見過ごしてきたことによって、政治家が銃撃される事件に発展したという悔恨がありました。
一方で、当初のメディア報道でのいろんなコメンテーターの発言に危機感を抱きました。安倍晋三元首相と教団の関係性をちゃんと指摘する人はほぼいなかった。そのことによって誤った言説が流布することに危機感を抱きました。
岸信介と文鮮明の関係から、一気に安倍晋三さんのビデオメッセージに飛んでしまい、その間のことを誰も語っていなかった。「政治家なら、頼まれたらビデオメッセージもできますよ」「安倍さんは勘違いで殺されてしまった」みたいな、短絡的な話が流れました。
これに危機感を抱いた僕は、自分の売り込みをました。「ハッシュタグ #鈴木エイトを出せ」とSNSに書いたんです。この問題をちゃんと語れるのは僕しかいないと、メディアに売り込むと、ようやく、いろいろなメディアから声がかかりました。
7月下旬に、郷原信郎弁護士のYouTubeチャンネル、「サンデーステーション」(テレビ朝日)、「報道特集」(TBS)にVTRテンタビューで出て、7月31日の「サンデージャポン」(TBS)と8月1日「情報ライブ ミヤネ屋」(読売テレビ)には、スタジオで生出演し、いまに至ります。
報道番組に限らず、バラエティー番組でも、教団からのクレームに屈せず、ちゃんと報道してくれるところがあり、あらゆるところに「ジャーナリズム」が根付いていると感じました。

■2世問題や被害者救済
国会で立憲民主党の山井和則さん(衆議院議員、京都6区)などががんばってくれまして、寄付・献金で成り立つ宗教団体やNPOを規制する「不当寄付勧誘防止法」が成立し、厚労省の「宗教的虐待」に関するQ&Aを児童相談所へ通知もできました。まだまだ不十分ですが、動いています。

■政界とカルト教団の関係
自民党側は統一教会との関係について、簡単な自主点検で済ませています。さらに、「死人に口なし」と言わんばかりに、全部を安倍さんに押しつけるような動きもあります。安倍晋三さんは亡くなった後、教団に使われています。
一昨年の自民党の自主点検は、非常に欺瞞的でした。最初から「党として組織的な関係がないことは確認済みであります」という前提で、アンケートをとっています。さらに、8つの点検項目があるんですが、その中で一番重いものでも「選挙支援」なんですよね。
本来であれば、「秘書を使っているか」とか、「政策決定への影響」であるかとか、「誰の指示で教団イベントに参加したのか」とかを質問するべきなんですが、何も聞いていません。
赤報隊事件では、兵庫県警の資料に「自民党本部に勝共連合のメンバーが10人いる」としっかり書かれています。二世信者のSNSを見ると、秘書に信者がいるだけではなく、国会議員にも信者がいると読み取れるものもあります。
その辺を含めて、茂木幹事長に質問書を送付したんですけども、「ご質問の件については、ガバナンスコードに則り適切に対応しているところです。貴殿が入手されたという兵庫県県警本部作成の資料なるものは、その有無を含めて把握しておりません」という回答しか返ってきませんでした。
でも、回答が来ただけ、ましなんです。二階さんが幹事長だったときは、何10通も質問書を出しましたが、1回も回答はありませんでした。あれだけ政策活動費を使っているのに。
岸田さんがずるいのは、「大事なことは未来へ向かって、関係を絶つこと」と言っていることです。一見、すごい、ちゃんとしたことを言ってるようですが、イコール「過去の詮索はしません」ということなんです。
ここのロジックに気をつけてほしいんです。
過去の検証なしに、関係を断つことは不可能です。これは現在進行系の問題です。長年にわたり継続してきた問題なんです。

■萩生田光一議員の、呆れた人違い説
萩生田光一さんは、安倍さんの事件後、統一教会の関連施設を訪問したことや、会費の支払いも認めていますが、「正直申し上げて、その団体と統一教会の関係は、名称が非常に似ていますので、そういう思いはあったんですけれども、あえて触れなかった」と言ったと、2022年8月18日の東京新聞に書いてあります。
けれども、僕が参院選後に直撃したときはちゃんと関係性を把握されていました。
萩生田光一さんは、去年の「文芸春秋」で、「教団の八王子教会に市議会議員時代から通っていたと言われるが、あれは自分ではなく、自分にそっくりな別の市議会議員だ」という、人違い説を唱えだしているんです。僕はこれにはびっくりしました。

■政治家に統一教会からお金が渡っている疑惑
実はトランプ前大統領に3億円、ペンス前副大統領に6000万円が教団関係団体から支払われたと、アメリカで報道されて、僕もその書類を確認しています。
でも、安倍さんには無償で出てもらったなどと言っています。本当にそうなんでしょうか。
実は、鳩山由紀夫さんが、教団イベントに出席してくれと頼まれた時、断ったら、「謝礼としていくらでも出す」と言われたそうです。それでも出席していません。

■教団は資金難に陥り、苛立っている
今、教団本部は完全に韓鶴子体制になっています。教団本部にある石像を見ますと、韓鶴子総裁が真ん中に立っていて、文鮮明が韓鶴子総裁にかしずいているんです。
韓鶴子総裁は、いま苛立っています。
日本で解散命令請求が出されたことのほか、三男派との裁判で敗訴し1000億円以上の支払い命令が出ています。さらに、日本からの送金が停止されています。
相当な資金難に陥っています。
教団は、現状、完全に開き直っています。
謝罪にも賠償にも応じず、被害者や弁護士団体などを攻撃しています。「献金は自由意志だった」として集団交渉にも応じません。
改革は口だけで、「偏向報道」「宗教迫害」「宗教ヘイト」だと、自分たちが被害者だと盛んにアピールしています。
ようやく解散命令請求が去年出されましたが、それまでの質問への不誠実な回答には「過料」通知が出されています。会見では、国への敵意を露わにしていました。

■盛山文科大臣には感動した
僕は、盛山文科大臣をすごく評価したんです。「解散命令請求の対象事実」について、こう語っていたんです。
「長期間にわたり継続的に本件宗教法人の財産的利得を目的として、献金の獲得や物品販売に当たり、多数の者を不安又は困惑に陥れ、相手方の自由な意思決定に制限を加えて、相手方の正常な判断が妨げられる状態で献金又は物品の購入をさせて、多数の者に多額の財産的損害、精神的犠牲を余儀なくさせ、その親族を含む多数の者の生活の平穏を害する行為をした」
我々カルト問題に取り組んできた側からすると、「自由な意思決に制限を加え」「正常な判断が妨げられる状態」で献金や物品の購入をさせ、さらに本人だけでなくて、「親族の被害」にまで言及してくれたので、盛山さんの会見で、この発言を聞いた時にちょっとウルウルしたぐらいでした。
実際には文化庁が作ったものを読んでいただけでした。今は、ちょっと残念ですよね。
解散命令請求の前に、財産保全の法整備が必要とされていましたが、これはなかなかうまくいきませんでした。
宗教法人法81条をもとにした解散命令は過去に3件あります。この3例から、だいたいタイムスケジュール的には1年から1年半ぐらいの間には、高裁で確定すると見てます。
解散命令が出ましても、法人格がなくなるだけで、任意団体としては継続できます。信教の自由を侵害するものではなく、税制上の優遇がなくなり、また法人としての不動産の取得ができなくなります。
教団側は、国会議員にファックスを送り付けて圧力かけたこともあり、ちょっと残念な法案で終わってしまいました。

■統一教会の抵抗
昨年7月以降、教団側は相当な抵抗を見せています。
メディアに対して著作権侵害で訴える、「反社」質問状、解散命令請求への嘆願書、地方議会を提訴(請願権・参政権の侵害)と陳情、情報リークによる政治家牽制、国への対決姿勢を鮮明、SLAPP(訴訟恫喝)の乱発などです。
昨年12月、岸田首相が教団関係者と面会したと、朝日新聞が報じました。
これは簡単な自己申告制の点検で済ませたツケだと思っています。統一教会、勝共連合が日本に入って50年になりますが、その間の個々の政治家の接点ではなく、統一教会と政界の関係についての徹底調査と検証が必要でした。それをしなかったので、あとからいろいろな接点が出てきて、そのたびにメディアに追われることになるんです。
教団側は僕に対するネガティブキャンペーンもずっと行なっていました。2019年には、「鈴木エイトはフェイクニュースを書く人間だということが、各メディアにファックスで送られました。
「はげたかジャーナリスト 鈴木エイト」という怪文書がまかれたこともありました。
「0810対策案」という文書もあります。「0810」は僕のことで、鈴木エイトがイベントに来たらこのように対処しましょうという、マニュアルです。
教団のネガティブキャンペーンは、僕だけでなく、全国弁連の弁護士、紀藤正樹さんや、元2世信者の小川さゆりさんなど、教団にとって都合の悪い人物が標的になっています。
僕に対して、2件の訴訟が起こされていますが、僕は自分に対する訴訟に関しての教団側の記者会見に、自分で取材に行くこともやってきました。
僕の支援団体があり、寄付も募っていますので、よろしくお願いします。
教団側は、去年から、地方自治体、地方議会、弁護士、コメンテーター、テレビ・ラジオ番組などに対して、いろいろなSLAPP訴訟を起こしています。
これの狙いは、まず、言論封殺です。メディアの萎縮を狙っています。そして、個人へのダメージです。訴訟となると、ちょっとお金もかかりますから。
これまで教団側は、SLAPP訴訟を成功体験として持っていたわけです。

■必要な「勇気ある告発者の保護」
メディア報道での問題点として、「勇気ある告発者の保護」があります。僕は、被害者を前面に立てる報道は見直すべきだと思っています。フランスは、そういう意味では先進国で、被害者は前面に立てないんです。
脱会した2世たちが攻撃にさらされていて、どんどん表から姿を消しています。
僕はジャニーズ問題にも首を突っ込んでいまして、2018年にジャニー喜多川による性加害問題関連のツイートもしていました。そんな僕ですら、当時は「同性愛行為」と書いていました。「性加害」と書くべきでした。
この時期に、ぼくはなぜ「性加害」と書けなかったのか。自分の認識が甘かったわけです。
ジャニーズ問題を追っていることから、ジャニーズ事務所の「NGリスト」にも名前が載りました。
ジャニーズ問題と統一教会問題の共通点は、「メディアが放置してきたこと」「メディアも加担していたこと」にあります。
親ではない第三者による性虐待、たとえば教団による加害については、児童虐待防止法の改正が必要です。

■きちんとした調査報告を
オウム真理教事件の後、省庁連絡会議と研究会ができ、総括報告書には「宗教の問題ではなく、カルト問題」として、予防教育、カルト被害者支援、次世代への教訓といったことも議論が尽くされていました。
だけど、この報告書は国立公文書館にしまい込まれて、まったく活かされていなかったんです。
アメリカでは、「コリアゲート事件」(大韓民国中央情報部(KCIA)による、アメリカの関係機関への秘密工作活動で、統一教会も関与)のあと、フレイザー委員会が設置され、報告書が出されました。
日本も、なぜ憲政史上最長期間にわたり首相を含めた人間が銃撃されるにいたったのか、なぜそういう事件が起こるまで、問題が多いとされるカルト団体が放置されていたのか、政治家との関係の中でどんなロビー活動が行なわれ、何がそこにあったのか――これらについて、ちゃんとした調査報告が必要だと思います。そうしないと、再発防止にもならないと思います。
政策決定への統一教会の関与はあったのか、民主主義は本当に歪められたのか、本当にカルト団体との癒着を解消し、健全な政治活動ができるのか、政界カルト汚染の全容解明が必要だと思います。

■山上徹也被告からメッセージが来ていた
山上徹也被告に関しては、僕は、事件の9日前に彼からTwitterでメッセージを受け取っていました。しかし当時の僕は、彼からだと気づかなかったんです。
山上被告からコンタクトしてきたわけですが、彼が僕に何を聞きたかったのかというと、単純に参院選の翌日の教団イベントに、誰がゲストに来るかでした。
事件後に衝撃を受けたのは、彼が僕の記事をずっと読んでいたことです。つまり、彼が安倍晋三という政治家と統一教会とが特別な関係にあると考える根拠にしたのは僕の記事だったわけです。
事件の傍観者、第三者だった自分の立場が、事件の動機に関係する記事を書いた人間として、ある意味で当事者になってしまったわけです。
その頃から、僕は記事の「確度」が問われるようになりました。責任をちゃんと取るということです。
「責任は感じるものではなく取るものだ」というのは、僕のモットーです。僕の責任の取り方は、山上被告の公判において、彼の動機面を裁判員に明示した上で審議されることだと思います。
これは彼の減刑を求めるためではなく、彼が動機面において、なぜ安倍さんを狙ったのか、そこにどういう論理構造があったのか。これが逆恨みであることは、前提として、当然そういう見方もあるんですが、なぜ動機面で安倍さんがターゲットになったのか。その元になる情報は、全部、裁判員に示した上で審議をされるされるべきです。
自分の責任の取り方は、裁判に向き合っていくことだと思っています。
こういうことを本に書いたところ、教団系の新聞「世界日報」は、「鈴木エイトは自分の本で、犯人に影響を与えたと自慢」と書いています。こういう、うがった見方をされるものだなと思いました。

■安倍元首相と山上被告の運命
安倍晋三元首相銃撃事件の現場や、山上被告やその関係者が住んでいた場所などを訪ねています。【鈴木エイトさんが訪ねた場所の写真が映ります】
現場を見る取材をしています。
事件直前の経緯を見ると、非常に運命的なものを感じます。
彼は、前日に岡山へ行き、事件を示唆する手紙を(あるジャーナリストに)投函しました。
岡山での安倍元首相の演説会は、警備が厳重だったので、銃撃を断念します。手紙を回収しようとしましたが、できませんでした。その手紙を読まれてしまうと、翌日少なくともその翌々日には自分が犯行すると示す内容の手紙が、警察に届けられてしまうかもしれない。
そのタイムリミットが迫るなか、翌日の安倍さんの遊説場所が、当初の予定は長野だったのが、彼が育った奈良に変更となりました。彼は、そこに運命的なものを感じたのではないか。
そういう偶然が、山上容疑者からみたら必然となって、生まれた悲劇だと思っています。

■政権中枢とカルト教団との闘いをいかにして継続してきたのか
僕は、自分の取材手法や、「やや日刊カルト新聞」に興味を持ってもらいたいので、あえてちょっと面白いように話しています。これがスタンスです。
これは深刻な問題をいくら深刻だと伝えても、なかなか伝わらないからです。いかに興味を持ってもらえるかも大事だと思っています。
問題意識を継続するためにも、ストイックになり過ぎないように、楽しみながら、やりがいを持って取材を続けてきました。そうやってモチベーションを保ってきたんです。
おかしいと思ったこと、「問題意識」「疑念」をスルーしない。
そして、自分にしかできないことを、自分がやらなければ誰がやるのかとの思いでやってきました。
これはフリーランスだから続けることができた面もあります。
データを蓄積した結果のファクトも重要だと思っています。
誰も見向きもしない、オワコンだと思われてきた統一教会の問題にモチベーションを持ち続けたのは、被害者の存在があったからです。被害は継続し、問題はより深刻化していたからです。
だから、尾行されたり、暴力を振るわれたり、個人情報を探られたり、SLAPP訴訟を起こされたり、いろいろなことがありましたが、なんとか続けてきました。
今後の取材テーマとしては、アメリカの大統領選を追ってみようと思っています。トランプ候補には統一教会が絡んでいるようなんです。
他にもカルト的な構造による社会問題は、宗教カルトだけでなく、いろいろあります。政治カルト、経済カルト、マルチ、政治セクト、陰謀論、反ワクチンなどです。

■統一教会問題の全体の構造
統一教会が政治家を一方的に利用し取り入ってきただけでなく、自民党を中心とした政治家の側も教団を利用し、共存共栄の関係を築いてきたんです。そこに、メディアの監視機能が働かなかったので、エスカレートしていった。
安倍元首相の教団へのビデオメッセージ出演へと連なる両者の穢れた関係が、山上徹也被告による銃弾で広く社会に向けて可視化されました。しかし、本来は、その前に可視化されていなければならなかったんです。

■背景、動機の解明、報道は必要
去年、和歌山で岸田首相が遊説中に狙われた爆破事件ありました。この時、細野豪志さんをはじめ、何人もの国会議員が、山上被告の行動への好意的な報道、同情的な報道があったため、こういう犯行に及んだのではないかとの声をあげ、論争になりました。
僕はこれに危うさを感じました。「動機を報じるべきではない」「動機を報じるとテロを肯定し、模倣犯が出る」という意見は、メディアの調査報道を否定する考えです。
事件の背景や経緯を報じるのは、本来のメディアの果たす役割です。そういう報道に対し、政治家が横槍を入れ、テレビでは、コメンテーターの古市憲寿さんや橋下徹さんたちも、それに賛同するようなおかしな発言をしていたので、僕は、ひとつひとつ、チェックして突っ込んできました。
これは、個別に論ずるべき事項をゴチャまぜにしているんです。
まず、要人警護、警備体制の問題として、ローンウルフ型テロの対策があります。
動機面では、カルトの被害者という社会問題があるのに、それを放置してきたこと。
カルトを規制すべき立場の政治家側、行政の無策という問題。
そういったことを全部一緒に論じてしまうと、論点がいろいろなところへ飛び、議論はおかしなところへいってしまう。
個別に述べた上で、総論として捉えなければいけないのに、こっちの議論をしているときに、こっちの結論を持ってくるとおかしなことになります。
この人はこういう点で論理が破綻しているんだなと、チェックしてほしいです。

■自民党派閥裏ガネ問題と統一教会は無関係ではない
いま問題の自民党の派閥の裏ガネ問題ですが、実は統一教会と無関係ではないのかなと考えてます。
信者を秘書にしている議員がいるなかで、そこに議員の生殺与奪を握っている秘書もいるんじゃないかと思われます。パーティー券を教団関係者が購入している事例も報告されています。

■統一教会が政治家との関係をリークしている
また、いま教団サイドからの政治家との関係のリークがなされています。
盛山文科大臣については、地元の統一教会支援者が憤っているという話です。しかし、教団と勝共連合幹部は、自民党を敵にまわしたくないので、それを抑えていたんです。特に朝日新聞を利することをしたくないということで抑えてきました。
けれども、今回は個別の信者、地域の幹部の信者たちのリークを黙認している状況なんです。
自民党の場合、衆議院で3期連続で比例復活の議員は、次は公認しないルールがあるんですが、年間数千人の党員を獲得した場合は、それを免除する救済措置があります。そういう議員が、統一教会に頼み党員になってもらい、その党費も負担してもらっているわけです。
盛山さんはそれに該当するわけではないのですが、信者党員にしてみれば、自分や家族までも党員にして党費を払っていたのに、手のひらを返すように、解散命令請求をしたので、もう我慢できないと、教団との関係をリークしているんじゃないか。
これが推薦状です【スライドに映ります】。共産党の宮本徹さんが出してくれたものですが、推薦状の元になっているのが推薦確認書で、その項目のなかには、「文化共産主義勢力の攻勢を阻止する」とか「LGBT問題、同性婚法制化に関しては慎重に扱う」「憲法を改正し、安全保障体制を強化する」「家庭教育支援法及び少年健全育成基本法の国会での制定に取り組む」などがあります。非常に偏った内容だと分かります。
さらに、推薦をもらうには、教団の「基本理念セミナーに参加する」ことが条件となっています。
この基本理念セミナーとはどういうものなのか。教団内部の資料を見る、統一教会、勝共連合の代表者が、国会議員を「教育」しています。

■我々、国民、有権者は何をすべきか。
主権者は国民です。民意が反映されないで法整備がどんどん進んでいます。入管法がそのひとつだし、LGBTの法案も本当に十分なものでしょうか。
自民党のかなりコアな岩盤支持層である偏った人たちがいます。必ず選挙で投票する人たちです。その偏った思想の人たちだけを、自民党の一部の保守派の政治家は見ているのではないでしょうか。
そんな政治家を選んだのは有権者です。ですから、投票率を上げることで、こういうカルトの影響、偏った思想のある人の影響を、排除、軽減できます。
国民の知る権利に応えることがメディアの役割だと思います。
僕は別にどこかの政党を支持しているわけでなく、誰に投票してくださいとも言いません。政治的な判断を表に出すことはありませんが、有権者が判断するにあたり適切な情報を提示することが自分の仕事だと思っています。

統一教会との関係と裏ガネの調査は、本来、自民党が率先してやるべき事案です。
でも、現状ではとてもやる気があるようには見えません。ならば政権交代して、やってもらうしかないということになります。

~質疑応答編に続く~

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