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【活動報告】第5回「政治と旧統一教会」講演編

11月17日木曜日、府中市・市民活動センタープラッツ、バルトホールで、有田芳生氏を迎えてのセッションイベント「政治と旧統一教会」が開催されました。

4回目のイベントですが、先に12月10日に第4回を開催するとお知らせしていたので、「第5回」となります。

有田芳生氏には第2回でも旧統一教会(以下、「統一教会」)について話していただき、それを会場で聞いた府中市議会議員・前川浩子さんからの強い要望で、急遽開催することになりました。

というのも、府中市に統一教会系「霊連世協会」の施設が建てられようとしているので、それを阻止するために、ひとりでも多くの方に統一教会のことを知ってもらう必要があるからです。

告知から開催日までの期間が短かったのですが、約70名が集まり、有田氏の話を聞き、その後には活発な意見公開もなされました。マスコミが報じないことまでを含めての、興味深い内容でした。

今回は作家・中川右介氏にまとめていただきました。

司会は前川浩子市議、最初に橘民義事務局長から、「武蔵野市政治塾」についての説明があり、稲津けんご市議のプロレス風の紹介で、有田氏が登壇。

「今日私がお話するのは大きく三つの問題です。

ひとつは、安倍晋三元総理暗殺事件の真相。

二番目が、統一教会と国会議員の関係、霊感商法、多額の現金などが問題となっていますが、そうではない、もっととんでもない問題を抱えているということ。

三番目に統一教会と政治の問題を話そうと考えています。」

と前置きしながらも、最近の話題二つから始まった。

 

■山上容疑者の鑑定留置延長

最初の問題は、山上徹也容疑者の鑑定留置が、11月29日に終わる予定だったのが、来年2月6日まで2か月以上も延長された件だ。これによって、検察による起訴、裁判も遅れることになる。

「裁判をやらなければ、事件の背景の真相もわからないというまま終わってしまう。

このままでは安倍晋三元総理暗殺事件の真相が闇に葬られる可能性もまだ残っている。」

と有田氏は危機感を募らせていた。

なお、この後、さすがに2月までは長いと、奈良地裁は延長を1月10日までに短縮する決定を出した。

 

 

■養子あっせんの真相

第二の問題が、統一教会が組織的に養子縁組をあっせんしていること。

有田氏によると、養子縁組は合同結婚式と連動しているという。

「統一教会では、私たちは生まれた時から罪を持っていて、その罪を清算するために、償うために、合同結婚式に出るということになっています。

統一教会の教えには『三位基台』(さんみきたい)があり、これは三組の男女がお互いに支え合っていくという考えです。統一教会では、家庭は子どもが生まれることで完成するという考えなので、子が生まれない家は養子をもらうことになります。

合同結婚式は信者になったからとすぐには出られません。経済活動をして成果をあげた人が参加資格を得ます。女性の場合、成果があがるのは30代半ばになりますので、なかには子が生まれない家もでてきます。一方、統一教会は避妊も妊娠中絶も禁止なので、何人も子が生まれる家庭もあります。

そこで三位基台の3組のなか、A家には子どもが何人も生まれたが、B家には生まれなかった場合、A家の子をB家の養子とするわけです。

いま問題となっているのは、ある夫婦に12人の子が生まれて、そのうちの8人が養子に出された例です。テレビなどで統一教会を批判している信者二世の小川さんという女性は、妹が生まれたら、その直後に他の家庭に養子にいったそうです。

生まれる前から養子先が決まっている例もあれば、高校生くらいになって、養子に出されるケースもあります」

これは法律的にも問題。養子縁組のあっせんを反復継続して行なうには都道府県への届け出が必要で、統一教会が許可を得ずにあっせんを続けていた場合、「養子縁組あっせん法」に違反する可能性がある。

 

 

■山上容疑者が安倍元首相を襲撃する前日の手紙

最近の事件の話の後、本題のひとつ、安倍晋三元総理暗殺事件についての話となった。

事件前日からの安倍元首相と山上容疑者の動きが、時系列で振り返られた。

まとめると、こうなる。

7月7日

安倍元総理は兵庫県神戸市で自民党候補者の応援演説。

岡山へ移動して、夜7時から自民党候補者を応援。東京へ帰る。

山上容疑者は、奈良の自宅マンションを出て、新大阪から新幹線で岡山へ。そのカバンには手製の散弾銃。演説会場に入ろうとしたが、警備が厳しくて入れず、諦めて岡山駅に戻る。

途中のコンビニにあった郵便ポストに一通の手紙を入れる(この手紙については後述)。

帰路の新幹線の中でネットを通じて、翌7月8日に安倍元総理が奈良へ選挙応援に来ることを知る。

 

実は、安倍元総理は、7月8日は自民党の長野県の候補者の応援をする予定だった。だが、7日に発売された「週刊文春」で、その候補者の女性スキャンダルが報じられたので、自民党本部は安倍元総理を長野へ派遣するのはやめて、奈良と大阪へ行き、それから埼玉という日程を組んだ。

 

7月8日

安倍元総理は朝、飛行機で関西へ移動し、近鉄の大和西大寺の駅前に到着。

午前11時半過ぎ、マイクを持って語り始めると撃たれた。

山上容疑者はその場で身柄を確保された。

有田氏は「あまり報道されていませんが、山上容疑者は、引き金を引くときに、「韓鶴子(かん つるこ)」と言葉を発していたんです」と明かす。

韓鶴子は、文鮮明教祖の三番目の妻で、文鮮明が40歳のときに17歳で結婚し、14人の子を産んだ。文鮮明には、認められているだけで合計17人の子がいるとのことだ。

そして、「ここに今回の問題の深い真相が潜んでいます」と、山上容疑者と統一教会について語る。

 

■文鮮明と韓鶴子

文鮮明は、1920年に北朝鮮の平安北道の定州で生まれ、1932年に日本へ行き早稲田高等工学校で勉強し、44年に朝鮮半島に戻って、宗教を勉強した。

一方でいろんな事件を起こし、懲役5年で北朝鮮の刑務所に入れられていたところ、1950年に朝鮮戦争が起き、そのどさくさで出獄した。

1954年に「世界基督教統一神霊協会」(統一教会)を設立。日本では1959年に設立され、1964年に東京都の認証を経て、宗教法人となる。

「日本での布教では、東京では武蔵野教会がかなり重要な拠点でした。三鷹、西荻窪にも拠点がありました。1970年代には、国際勝共連合は共産党の選挙妨害をやっていました」

文鮮明は2012年に92歳で亡くなり、韓鶴子が後を継ぎ、世界平和統一家庭連合・総裁、世界平和女性連合、天宙平和連合の総裁も務めている。

 

■山上容疑者が事件直前に出した手紙

有田氏は、山上容疑者が事件直前に出した手紙があるとして、読みあげていった。

ジャーナリスト・米本和弘氏に宛てた手紙で、ネットで検索すれば出てくる。

以下が、その手紙の全文だ。

 

【私は「喉から手が出るほど銃が欲しい」と書きましたがあの時からこれまで、銃の入手に費やして参りました。その様はまるで生活の全てを偽救世主のために投げ打つ統一教会員、方向は真逆でも、よく似たものでもありました。

 

私と統一教会の因縁は約30年前に遡ります。母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません。

 

個人が自分の人格と人生を形作っていくその過程、私にとってそれは、親が子を、家族を、何とも思わない故に吐ける嘘、止める術のない確信に満ちた悪行、故に終わる事のない衝突、その先にある破壊。

 

世界中の金と女は本来全て自分のものだと疑わず、その現実化に手段も結果も問わない自称現人神。

私はそのような人間、それを現実に神と崇める集団、それが存在する社会、それらを「人類の恥」と書きましたが、今もそれは変わりません。

 

苦々しくは思っていましたが、安倍は本来の敵ではないのです。あくまでも現実世界で最も影響力のある統一教会シンパの一人に過ぎません。

 

文一族を皆殺しにしたくとも、私にはそれが不可能な事は分かっています。分裂には一挙に叩くのが難しいという側面もあるのです。

 

現実に可能な範囲として韓鶴子本人、無理なら少なくとも文の血族の一人には死んでもらうつもりでしたが鶴子やその娘が死ねば3男と7男が喜ぶのか或いは統一教会が再び結集するのか、どちらにしても私の目的には沿わないのです。

 

安倍の死がもたらす政治的意味、結果、最早それを考える余裕は私にはありません。】

 

■安倍晋三元首相が狙われた理由

手紙にあるように、山上容疑者は文鮮明の一族、なかでも韓鶴子総裁を狙っていたという。

実際、2019年10月8日に、統一教会の集会が開かれていた名古屋のホテルへ行っている。

そこに参加していたのが細田博之衆議院議長で、「今日のことは安倍晋三総理に報告します」と言ったことは、いまや全国民が知っている。

その次の日、愛知県常滑市で54万人の集会が開かれ、山上容疑者は韓鶴子を暗殺しようとしたが、会場に入ることができず、諦めて帰った。

その後、彼は統一教会の歴史を勉強し、1960年代後半に岸信介元総理が国際勝共連合と関わっていたことなどを知る。

「今年2月、山上容疑者はインターネットで、驚くべき映像を目にしました。昨年9月10日に韓国で行なわれた天宙平和連合(UPF)の大会で流された、安倍晋三元首相のビデオメッセージです。これは一日限定で流れたものでした。

安倍元首相は、『天宙平和連合の韓鶴子総裁に敬意を表します』と言いました。

これを見て、山上容疑者は、安倍晋三総理にターゲットを変えたのです」

 

■山上容疑者の生い立ち

続いて、有田氏は山上容疑者と、その母の生い立ちを説明した。

母は14歳のときに弟を交通事故で失くしていた。これが最初の悲劇。大阪市立大学を卒業して栄養士になり、27歳で結婚、夫は建築関係の仕事をしていた。

山上容疑者の兄は難病だった。徹也容疑者は1981年に生まれ、妹が生まれる2か月前に、父は自殺した。うつ病とアルコール中毒だったようだ。

そんなときに、奈良の統一教会の信者が、統一教会とは言わずに近づいてきて、熱心に悩みを聞いてくれた。それが入信のきっかけだった。

「人生の悩みを抱えているときに、統一教会にすがってしまったんです。もともとお母さんは立正佼成会の信仰があったので宗教への関心もあったんですね。

統一教会の教えは、みなさんも注意してほしいのですが、近づいてくるときに『先祖』を使います。それがマニュアルです。

家系図を書かせ、自分の両親、夫の両親、二代、三代、と遡らせる。そうすると、どの家にも短命の人、精神的に問題のあった人、障がいを持っていた人などが、かならずいます。そこにつけこみ、色情因縁があるとか言って、先祖の悪い因縁が息子に悪い影響を与えて病気にしたなどと言って、不安を掻き立て、お金を払わさせます」

 

■1億円の献金で破産

山上容疑者の母は、見事に引っかかってしまい、夫の生命保険5000万円を払ってしまう。さらに払い、1億円を超えた、2004年に破産してしまう。

「山上容疑者は成績はよく、同志社大学工学部に行きたかったんですが、お母さんが1億円も献金してしまったので行けません。

お兄さんも難病治療をしたかったのですが、お金がなくて受けられない。36歳で世をはかなんで、飛び降り自殺しました。

その前に、山上容疑者は海上自衛隊に入り、広島県呉で訓練をしていました。その頃、お兄さんと妹を受け取り人にした生命保険に入り、自殺も図っています。命はとりとめました。

そのとき、お母さんは韓国に修練会に行っていて、帰ってきませんでした。そういう家庭でした」

手紙にある、「私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません」とは、こういうことだったのだ。

統一教会はお金を持っている人しか狙わない。まず、100万円の貯金があるかどうか調べるという。持っていない人には寄ってこない。だが、若い人は、お金はなくても本人が労働力となるので、勧誘する。

そうやって、信者を増やし、献金を増やしていった。

 

■統一教会は武器を作っていた

次に、「ウコンの力」を製造している株式会社コスモフーズが統一教会系の企業であり、他にも私たちの生活の身近なところに、統一教会があるという話が続いた。

これらは第2回と重なるので、ここでは省こう。

今回、有田氏が教えてくれたのは、統一教会が武器を作っていたことだ。

「統一産業」という企業で、武器を製造して韓国の軍隊に納入していた。統一産業は日本にもあり、1960年代の終わりには「鋭和B3」という散弾銃も作っていた。

この散弾銃は2500丁も日本に輸入されていた。札幌から鹿児島まで、統一教会の信者が営んでいる銃砲店が30ほどあり、仙台、東京、名古屋には射撃場も作っていた。

警察も、この集団は何をしているのか注目し、1973年には衆議院の内閣委員会で問題になった。さらに、15000丁を輸入しようとしたので、警察はストップをかけた。

そこで、統一産業は、「鋭和B3」ではなく、「鋭和3B」を作り始めた。それが1973年段階で16700丁、日本に輸入されていた。その空気銃は10m離れたところから1.2センチ弱の鉄板を貫通する殺傷能力を持っていた。何をするつもりだったのか。

当時、早稲田大学の原理研究会の学生たちが韓国の統一教会本部に行って研修を受けている。日本に戻ってきて、その空気銃を持って山の中で軍事訓練をしており、これも警察は確認している。

 

■統一教会と赤報隊事件

軍事訓練と関連があるのかは不明だが、1987年5月に、朝日新聞神戸支局が銃撃された事件があった。記者がひとり亡くなっている「赤報隊事件」だ。

この事件と統一教会との関連について、有田氏は語る。

赤報隊事件で朝日新聞社は、5月の神戸の他に、1月に東京本社銃撃事件、9月に名古屋本社社員寮襲撃事件、翌88年3月には静岡支局爆破未遂事件などの被害にあっている。

「赤報隊の犯行声明を読みますと、『反日朝日は戦前に戻れ』とあるように、右翼、とくに新右翼の可能性がありましたが、朝日新聞を襲う動機という点では、統一教会・国際勝共連合の可能性もあると、警察は見ていました。

朝日新聞社の『朝日ジャーナル』は、1986年から87年にかけて、霊感商法批判キャンペーンを続けていたんです。87年2月に東京の弁護士らが霊感商法被害救済担当弁護士連絡会(被害弁連)を結成し、5月に全国の約300名の弁護士が全国霊感商法対策弁護士連絡会を結成しました。

これで統一教会の信者たちは霊感商法ができなくなった。その年の5月6日に、神戸支局が襲われたのです。

警察も、統一教会・国際勝共連合の跳ね上がりが犯人である可能性も考えていました。

その捜査資料を持っています。結論だけお伝えします。たとえば、信者たちの名前が30何人書かれているリストの、ある信者の項目には、『非合法、軍事組織』と書いてありました。

そのなかには、元自衛隊員もいて、なぜか一酸化炭素中毒で死んでしまいますが、『統一教会軍事部隊』と書かれていました。彼らは山の中で軍事訓練をしており、警察は全部調べています。それなのに、残念ながら、赤報隊事件は時効です」

真相は分からないが、いまだ赤報隊事件の真相は闇の中だ。

 

■自民党国会議員の秘書には統一教会信者がたくさんいる

最後に、自民党と統一教会との関係では、国会議員、地方議員もさることながら、国会議員秘書が問題だと指摘された。今でも、自民党の国会議員の公設秘書、私設秘書に統一教会の信者がたくさんいるのだ。

有田氏は8月に、自民党の安倍元総理と親しい大臣経験者の政治家から「統一教会の秘書はいっぱいいるよ。みんな優秀なんだ」と言われたという。

「その人たちに自民党はアンケート調査をして、統一教会と関係ありますかみたいな馬鹿な質問をしているんです。

統一教会と政策協定を結んだ人たちはいっぱいいますが、名乗らない。これから今年だけではなく、来年以降、この問題は続いていきます」。

全国の地方自治体に対しても、統一教会は「家庭教育支援条例を作ろう」という運動をしており、知らないで、野党の議員も巻き込まれているケースがある。

「統一教会には、本当に深い問題があるということを知っていただきたい。

知らないうちに私たちの周りにも近づいています。そして、人生のふとした合間に、迷い込んでしまうんです。そういう問題としても、理解してください」

と、講演は結ばれた。

3つの題目があったが、最後の「統一教会と政治」は、時間がいっぱいとなってしまった。だが、続く質疑応答コーナーで、この問題は語られるので、後半もお読みください。

 

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